宣言通り、翌週の木曜に彼女は会社に戻ってきた。
何事もなかったみたいに、いつものデスクに座る。Slackのステータスは「オンライン」、アイコンもプロフィールも変わらない。雑談部屋でのあいさつも何もない。いつも通りの桐谷澪がそこにいた。
ただ、どこか前よりも軽やかに見えた。そう見えていたのは私だけかもしれない。他の人から見れば、いつも通りの桐谷澪だったかもしれない。
たまに会社で目が合うたび、彼女の表情がほんの少し柔らかくなる。それだけだった。……もしかして、変わったというのは、私の願望なのだろうか。
まあ、どちらでもいい。
「ねえねえ、花岡。桐谷さん帰ってきたじゃん」
昼休み、いつものようにカップスープをかき混ぜていると、亜弓がやってきて声をかけた。
「てっきり副業の件とかで怒られたんだと思ってたあ。てかよく帰ってこれるよね。花岡もそう思うでしょ?」
「あー、ごめん。今日は推しの配信見るから、またね」
桐谷さんみたいになるのは難しい。それでも私は、カバンからヘッドフォンを取り出し耳に装着する。少しずつでも、私は私になっていけばいい。
今週末は学生街の居酒屋のホールのバイトを入れている。きっと地獄のように忙しいだろう。
楽しみだ。
Fin
何事もなかったみたいに、いつものデスクに座る。Slackのステータスは「オンライン」、アイコンもプロフィールも変わらない。雑談部屋でのあいさつも何もない。いつも通りの桐谷澪がそこにいた。
ただ、どこか前よりも軽やかに見えた。そう見えていたのは私だけかもしれない。他の人から見れば、いつも通りの桐谷澪だったかもしれない。
たまに会社で目が合うたび、彼女の表情がほんの少し柔らかくなる。それだけだった。……もしかして、変わったというのは、私の願望なのだろうか。
まあ、どちらでもいい。
「ねえねえ、花岡。桐谷さん帰ってきたじゃん」
昼休み、いつものようにカップスープをかき混ぜていると、亜弓がやってきて声をかけた。
「てっきり副業の件とかで怒られたんだと思ってたあ。てかよく帰ってこれるよね。花岡もそう思うでしょ?」
「あー、ごめん。今日は推しの配信見るから、またね」
桐谷さんみたいになるのは難しい。それでも私は、カバンからヘッドフォンを取り出し耳に装着する。少しずつでも、私は私になっていけばいい。
今週末は学生街の居酒屋のホールのバイトを入れている。きっと地獄のように忙しいだろう。
楽しみだ。
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