hugme 蛍光ピンクの蝶

  通称子ども出資制度。正式名称を「育み協力者制度」というその制度が始まったのは、私が生まれるよりもずっと前らしい。この制度が始まるまで、子どもを育てるのは産みの両親だけだったという。

  本当にそんなことが可能だったのだろうか?

  子どもを産み育てるには、非常な労力がかかる。体力、知識、そして金銭。それをたった二人の力で行うなんて、今では考えられない。
  生まれてくる子どもに、適切な成長と最高の教育を。子ども出資制度は、複数の大人たちが協力し合って子どもを育てていく仕組みだ。

  そのために作られたのが、hugme。

  両親の情報を元に、子育てに協力したい、出資したい子どもを選び、お金を支払う。支払った金額によって、子どもと取れるコミュニケーションに差があるらしい――と、授業で習ったけど、正直よく分かっていない。
  朝の挨拶の後にメッセージをよこした「お母さん」。出資している子どもにメッセージを送れるのは、一部の「両親」だけだ。だから、あの人は私にものすごく期待をしてくれている、のだと思う。あの場にいた大多数の「両親」は、私の挨拶を見守ることしか許されていない。
  私は、百五十二人の「両親」たちと、二人の産みの両親によって、正しく育てられている。