突如、階下から怒鳴り声が響いた。
上に泊まっている男女二人に用がある、と喚いている男どもと、それを制する宿の案内人の声だ。
これまでの騎士の話からして、男どもの目的は十中八九、我たちのことであろう。
やはり、この娘は未だに狙われておる。
我と騎士は息を呑み、とっさに身構えた。
その直後、下の騒ぎがぴたりと止む。
やがて、階段を踏みしめながら上がってくる足音が、ゆっくりと響いてきた。
案内人は、買収でもされたのだろう。
我は数多のラノベを読んで知っている。
異世界の宿屋の案内人など、金であっさり裏切るものなのだ。
一方、騎士はそんなことを気にする余裕もないのか、緊張した面持ちで扉の外の気配を探っている。
階下へ降りる道は閉ざされたのだ。
出口は窓しかないが、病み上がりの娘を放り出すわけにもいかぬと判断したのだろう。
騎士は即座に腰の剣を抜き放ち、滑るように娘の前へと立つ。
――戦う覚悟を決めたのだな。
扉へ向けて身構えるその背から、張り詰めた緊張が伝わってきた。
――空気が、変わる。
部屋の温度が、一瞬で下がったかのようだった。
気配を殺した足音が階段を上り、廊下を渡り、ゆっくりとこの部屋へ近づいてくる。
いや、お前ら、先ほどまで宿の者と揉めておったではないか。今さら気配を消しても遅いわ。
我と騎士は、扉の外の気配へ神経を研ぎ澄ませる。
数は――二人。男が二人だ。
騎士にもそれが察せられたのか、足音一つ立てぬよう、静かに扉の脇へと移動する。
さすがは騎士、奴らと違って無駄のない動きだ。
騎士は我に向けて、ベッドの脇へ隠れろと手で合図を送る。
我も、いまだ戦えるほど体力は戻っていない。
素直に従い、ベッドの脇へ身を寄せて低く屈み込んだ。
やがて、気配がこの部屋の前でぴたりと止まった。
扉一枚を隔てた向こうで、慎重にこちらの気配を探っているのが分かる。
――やはり、この娘が狙いで間違いないのか。
あまりにも素人臭かったので、別の部屋の客に借金取りでも来たのかと期待したが、残念ながら我が目的らしい。
扉の横で剣を構える騎士は、息を殺したまま、侵入者を迎え撃つ体勢を取る。
逃げ道のない部屋で娘を守るため、あの位置で戦闘を始めるつもりなのだろう。
だが――それでは。
先頭の一人を斬れたとしても、背後のもう一人には無防備な姿を晒すことになる。
それは騎士自身も理解しているはずだ。
それでもなお、この娘を守ろうというのか。
――気に入ったぞ、騎士よ。
次の瞬間。
扉の取っ手が乱暴に掴まれ、勢いよく開け放たれた。
黒ずくめの男が一人、雪崩れ込むように部屋へ踏み込んできた。
その瞬間を狙い、扉の陰に潜んでいた騎士が、頭上から円を描くように剣を振り下ろした。
光を反射した刃が、美しい弧を描く。
――だが。
鈍い音が響き、刃は弾かれた。
黒ずくめのマントのような服の下に着込んでいた男の鎧が、騎士の一撃を受け止めたのだ。
うめき声を漏らし、一瞬だけ体勢を崩した男は、すぐさま踏みとどまり、下から騎士へ向けて剣を振り上げる。
斬撃を弾かれた騎士は、完全には身を引ききれない。
その顔に、はっきりと焦りが浮かぶ。
騎士に向き合う男が、口元を歪めて笑う。
その背後でもう一人が、わずかな隙間から部屋の奥を覗き込み、娘――我の姿を捉えた。
我と男どもが、一直線上に並んだ。
我の口元に笑みが漏れる。
――この瞬間を、待っていた。
「業火なる……」
(――いや、超絶かっこいい詠唱を挟むと間に合わぬ!)
「――人が焼ける温度の火球よ! 男どもに向かって一直線に走り進め!」
開いた掌の奥で、熱が脈打つ。
数日前に試しで生み出した、あの頼りない火の玉とは比べものにならぬほどの、圧倒的な魔力の奔流。
その代償のように、身体の奥から何かをごっそり削り取られていくような感覚が走る。
それが、手先へと一気に集束していく。
――おお、これなら男どもに火傷を負わせる程度の威力は出よう。
次の瞬間。
轟音とともに、火柱が迸った。
それはもはや炎というより、猛り狂う獣の咆哮だった。
一直線に伸びた紅蓮の奔流が、男どもへと容赦なく襲いかかる。
「なっ……魔法だと!? 動けないのではなかったのか!」
突然の炎に、男たちは反射的に身を引く。
だが、遅い。
火勢は衰えることなく、あっという間に二人の姿を呑み込んだ。
耳をつんざく悲鳴と、肉の焦げる匂い、焼けつくような熱気が、部屋の空気そのものを歪ませる。
近くの部屋の客たちが、燃え盛る炎を見て火事だと叫ぶ。
その声を聞きつけた者たちが、次々と階下へ向かって逃げ出していった。
その燃え盛る男たちの横で、騎士が息を呑んだ。
娘が魔法を扱えることは知っていたはずだ。
だが、これほどの威力になるとは、想像もしていなかったのだろう。
……我も今、初めて知った。
正直、ちょっと驚いた。
この段階で、ここまで威力が跳ね上がるなど聞いておらぬ。
だが、それ以上に胸が躍る。
ついに来たか。
チート、キタコレ。
秘められし母国語による詠唱が功を奏したのか、それとも本来この娘が秘めていた力なのかは分からぬ。
だが、結果として逃げるための隙は生まれた。
「来い、騎士よ! 我を抱えよ!」
娘の声に、呆気にとられていた騎士は即座に反応する。
迷いなく駆け寄り、そのまま娘を抱え上げた。
「窓に向かえ! そのまま飛び降りろ!」
騎士は一瞬だけ躊躇した。
だが、炎に焦げつつもなお追いすがろうとする男たちの気配を感じ取ったのか、すぐに覚悟を決める。
逃げ道は、もはやそこしかない。
騎士は娘を抱えたまま、窓へと身を躍らせた。
甲高い破砕音とともに窓ガラスを突き破り、細かく砕けた破片を散らしながら、重力に引かれるまま落下していく。
我を担ぎ両手が使えぬ状態で二階からの落下。このままでは無傷では済むまい。
だが――。
「シルフィーたちよ、我が手に宿れ。静かなる囁きとともに、小さき旋風を描け!
……というか風魔法出ろ。我たちが地面に激突しないようにクッションとなれ!」
前半の詠唱は、ただ格好をつけたかっただけである。
意味がないことは分かっておる。
だから慌てて後半で直接的に命じる。
まったく締まらぬ。だが背に腹は代えられぬ。
その直截な言葉に呼応するように、体内の魔力が一気に弾けた。
掌から吹き出した風が渦を巻き、二人の身体を包み込む。
落下の衝撃が、ふわりと柔らかな揺らぎへと変わっていく。
我と騎士は、羽のように宙を舞い、ゆっくりと地面へ降り立つ。
「騎士よ、我を担いで逃げよ! お前のことだ、逃げる先の目星はつけてあるのだろう?」
「は、はい!」
地面へ叩きつけられる覚悟をしていた騎士は、傷一つ負っていない現実に、一瞬だけ呆然とした。
だがその命令に我に返り、すぐさま娘を担ぎ上げて駆け出す。
我も回復してきたとはいえ、まだ万全ではない。
自力で走れば、すぐに体力が尽きるだろう。
騎士には苦労をかけるが、こうして運んでもらうしかない。
だが、炎による損傷が比較的浅かった男が、みるみる距離を詰めてくる。
我を大事に抱えて逃げる騎士より、黒焦げを免れた男のほうが何倍も速い。
我は騎士の背に揺られながら、宿屋から追ってくる男たちを足止めすべく、土魔法を発動させた。
「土よ、上に向かって尖れ! 道いっぱいに尖るのだ!」
地面が隆起し、鋭い岩の突起が次々と突き出る。
突き出した岩槍は、追ってきた男へ容赦なく襲いかかり、その身体を真正面から串刺しにした。
よし、一体は潰した。
もう一人は炎に焼けて動けぬだろう。
だが、まだ他に仲間がいないとも限らない。
「土よ、我らの通ったあとのすべての道よ、足に刺さるくらいに尖るがいい!」
その呪文に呼応するように、我らが通った道という道が、ガラス片のように鋭く尖っていく。
これでは、追っ手が来たとしてもまともに走ることはできまい。
ついでに、逃走経路を悟られぬよう、目に入った道という道を手当たり次第に尖らせておく。
突然、足に痛みが走った街の者たちが、あちこちで悲鳴を上げる。
街の者には申し訳ない。だがこちらも命がかかっている。
次にこの街を訪れたときは、必ず何かしらの形で償おう。
だが、我らを売ったあの宿のことは知らん。
今頃は、男どもから燃え移った炎で、宿ごと派手に燃えておる頃だろう。
どう見ても怪しいやつに手を貸すから天誅がくだるのだ。くだしたのは我だが。
火事と罠で混乱しているのか、もはや追っ手の気配は感じられない。
「フィオレ様、このまま森へ入ります! しっかり捕まっていてください!」
「うむ、頼んだぞ騎士よ!」
背後で街の者や警備兵たちが大騒ぎしている声が遠ざかっていく。
街を大混乱に陥れた凶悪指名手配犯(仮)となった我らは、夜闇の深い森の奥へと、一目散に飛び込んでいった。
――果たして我は、このハードすぎる命懸けの逃避行を無事に生き延びることができるのであろうか。
上に泊まっている男女二人に用がある、と喚いている男どもと、それを制する宿の案内人の声だ。
これまでの騎士の話からして、男どもの目的は十中八九、我たちのことであろう。
やはり、この娘は未だに狙われておる。
我と騎士は息を呑み、とっさに身構えた。
その直後、下の騒ぎがぴたりと止む。
やがて、階段を踏みしめながら上がってくる足音が、ゆっくりと響いてきた。
案内人は、買収でもされたのだろう。
我は数多のラノベを読んで知っている。
異世界の宿屋の案内人など、金であっさり裏切るものなのだ。
一方、騎士はそんなことを気にする余裕もないのか、緊張した面持ちで扉の外の気配を探っている。
階下へ降りる道は閉ざされたのだ。
出口は窓しかないが、病み上がりの娘を放り出すわけにもいかぬと判断したのだろう。
騎士は即座に腰の剣を抜き放ち、滑るように娘の前へと立つ。
――戦う覚悟を決めたのだな。
扉へ向けて身構えるその背から、張り詰めた緊張が伝わってきた。
――空気が、変わる。
部屋の温度が、一瞬で下がったかのようだった。
気配を殺した足音が階段を上り、廊下を渡り、ゆっくりとこの部屋へ近づいてくる。
いや、お前ら、先ほどまで宿の者と揉めておったではないか。今さら気配を消しても遅いわ。
我と騎士は、扉の外の気配へ神経を研ぎ澄ませる。
数は――二人。男が二人だ。
騎士にもそれが察せられたのか、足音一つ立てぬよう、静かに扉の脇へと移動する。
さすがは騎士、奴らと違って無駄のない動きだ。
騎士は我に向けて、ベッドの脇へ隠れろと手で合図を送る。
我も、いまだ戦えるほど体力は戻っていない。
素直に従い、ベッドの脇へ身を寄せて低く屈み込んだ。
やがて、気配がこの部屋の前でぴたりと止まった。
扉一枚を隔てた向こうで、慎重にこちらの気配を探っているのが分かる。
――やはり、この娘が狙いで間違いないのか。
あまりにも素人臭かったので、別の部屋の客に借金取りでも来たのかと期待したが、残念ながら我が目的らしい。
扉の横で剣を構える騎士は、息を殺したまま、侵入者を迎え撃つ体勢を取る。
逃げ道のない部屋で娘を守るため、あの位置で戦闘を始めるつもりなのだろう。
だが――それでは。
先頭の一人を斬れたとしても、背後のもう一人には無防備な姿を晒すことになる。
それは騎士自身も理解しているはずだ。
それでもなお、この娘を守ろうというのか。
――気に入ったぞ、騎士よ。
次の瞬間。
扉の取っ手が乱暴に掴まれ、勢いよく開け放たれた。
黒ずくめの男が一人、雪崩れ込むように部屋へ踏み込んできた。
その瞬間を狙い、扉の陰に潜んでいた騎士が、頭上から円を描くように剣を振り下ろした。
光を反射した刃が、美しい弧を描く。
――だが。
鈍い音が響き、刃は弾かれた。
黒ずくめのマントのような服の下に着込んでいた男の鎧が、騎士の一撃を受け止めたのだ。
うめき声を漏らし、一瞬だけ体勢を崩した男は、すぐさま踏みとどまり、下から騎士へ向けて剣を振り上げる。
斬撃を弾かれた騎士は、完全には身を引ききれない。
その顔に、はっきりと焦りが浮かぶ。
騎士に向き合う男が、口元を歪めて笑う。
その背後でもう一人が、わずかな隙間から部屋の奥を覗き込み、娘――我の姿を捉えた。
我と男どもが、一直線上に並んだ。
我の口元に笑みが漏れる。
――この瞬間を、待っていた。
「業火なる……」
(――いや、超絶かっこいい詠唱を挟むと間に合わぬ!)
「――人が焼ける温度の火球よ! 男どもに向かって一直線に走り進め!」
開いた掌の奥で、熱が脈打つ。
数日前に試しで生み出した、あの頼りない火の玉とは比べものにならぬほどの、圧倒的な魔力の奔流。
その代償のように、身体の奥から何かをごっそり削り取られていくような感覚が走る。
それが、手先へと一気に集束していく。
――おお、これなら男どもに火傷を負わせる程度の威力は出よう。
次の瞬間。
轟音とともに、火柱が迸った。
それはもはや炎というより、猛り狂う獣の咆哮だった。
一直線に伸びた紅蓮の奔流が、男どもへと容赦なく襲いかかる。
「なっ……魔法だと!? 動けないのではなかったのか!」
突然の炎に、男たちは反射的に身を引く。
だが、遅い。
火勢は衰えることなく、あっという間に二人の姿を呑み込んだ。
耳をつんざく悲鳴と、肉の焦げる匂い、焼けつくような熱気が、部屋の空気そのものを歪ませる。
近くの部屋の客たちが、燃え盛る炎を見て火事だと叫ぶ。
その声を聞きつけた者たちが、次々と階下へ向かって逃げ出していった。
その燃え盛る男たちの横で、騎士が息を呑んだ。
娘が魔法を扱えることは知っていたはずだ。
だが、これほどの威力になるとは、想像もしていなかったのだろう。
……我も今、初めて知った。
正直、ちょっと驚いた。
この段階で、ここまで威力が跳ね上がるなど聞いておらぬ。
だが、それ以上に胸が躍る。
ついに来たか。
チート、キタコレ。
秘められし母国語による詠唱が功を奏したのか、それとも本来この娘が秘めていた力なのかは分からぬ。
だが、結果として逃げるための隙は生まれた。
「来い、騎士よ! 我を抱えよ!」
娘の声に、呆気にとられていた騎士は即座に反応する。
迷いなく駆け寄り、そのまま娘を抱え上げた。
「窓に向かえ! そのまま飛び降りろ!」
騎士は一瞬だけ躊躇した。
だが、炎に焦げつつもなお追いすがろうとする男たちの気配を感じ取ったのか、すぐに覚悟を決める。
逃げ道は、もはやそこしかない。
騎士は娘を抱えたまま、窓へと身を躍らせた。
甲高い破砕音とともに窓ガラスを突き破り、細かく砕けた破片を散らしながら、重力に引かれるまま落下していく。
我を担ぎ両手が使えぬ状態で二階からの落下。このままでは無傷では済むまい。
だが――。
「シルフィーたちよ、我が手に宿れ。静かなる囁きとともに、小さき旋風を描け!
……というか風魔法出ろ。我たちが地面に激突しないようにクッションとなれ!」
前半の詠唱は、ただ格好をつけたかっただけである。
意味がないことは分かっておる。
だから慌てて後半で直接的に命じる。
まったく締まらぬ。だが背に腹は代えられぬ。
その直截な言葉に呼応するように、体内の魔力が一気に弾けた。
掌から吹き出した風が渦を巻き、二人の身体を包み込む。
落下の衝撃が、ふわりと柔らかな揺らぎへと変わっていく。
我と騎士は、羽のように宙を舞い、ゆっくりと地面へ降り立つ。
「騎士よ、我を担いで逃げよ! お前のことだ、逃げる先の目星はつけてあるのだろう?」
「は、はい!」
地面へ叩きつけられる覚悟をしていた騎士は、傷一つ負っていない現実に、一瞬だけ呆然とした。
だがその命令に我に返り、すぐさま娘を担ぎ上げて駆け出す。
我も回復してきたとはいえ、まだ万全ではない。
自力で走れば、すぐに体力が尽きるだろう。
騎士には苦労をかけるが、こうして運んでもらうしかない。
だが、炎による損傷が比較的浅かった男が、みるみる距離を詰めてくる。
我を大事に抱えて逃げる騎士より、黒焦げを免れた男のほうが何倍も速い。
我は騎士の背に揺られながら、宿屋から追ってくる男たちを足止めすべく、土魔法を発動させた。
「土よ、上に向かって尖れ! 道いっぱいに尖るのだ!」
地面が隆起し、鋭い岩の突起が次々と突き出る。
突き出した岩槍は、追ってきた男へ容赦なく襲いかかり、その身体を真正面から串刺しにした。
よし、一体は潰した。
もう一人は炎に焼けて動けぬだろう。
だが、まだ他に仲間がいないとも限らない。
「土よ、我らの通ったあとのすべての道よ、足に刺さるくらいに尖るがいい!」
その呪文に呼応するように、我らが通った道という道が、ガラス片のように鋭く尖っていく。
これでは、追っ手が来たとしてもまともに走ることはできまい。
ついでに、逃走経路を悟られぬよう、目に入った道という道を手当たり次第に尖らせておく。
突然、足に痛みが走った街の者たちが、あちこちで悲鳴を上げる。
街の者には申し訳ない。だがこちらも命がかかっている。
次にこの街を訪れたときは、必ず何かしらの形で償おう。
だが、我らを売ったあの宿のことは知らん。
今頃は、男どもから燃え移った炎で、宿ごと派手に燃えておる頃だろう。
どう見ても怪しいやつに手を貸すから天誅がくだるのだ。くだしたのは我だが。
火事と罠で混乱しているのか、もはや追っ手の気配は感じられない。
「フィオレ様、このまま森へ入ります! しっかり捕まっていてください!」
「うむ、頼んだぞ騎士よ!」
背後で街の者や警備兵たちが大騒ぎしている声が遠ざかっていく。
街を大混乱に陥れた凶悪指名手配犯(仮)となった我らは、夜闇の深い森の奥へと、一目散に飛び込んでいった。
――果たして我は、このハードすぎる命懸けの逃避行を無事に生き延びることができるのであろうか。



