顎の下まで伸びていた髪をバッサリ切った。
首元に春の風が通り抜け、少しくすぐったい。
もう、マフラーも手袋もいらないだろう。
千秋に「髪を切りたい」と言ったら、行きつけの美容院を紹介された。てっきり場所だけ教えられて1人で行くのだと思っていたら「駅に10時」と連絡が。
「晴人、髪ついてる」
千秋の指が襟の下を掠め、思わず首をすくめる。
「ちょっと!くすぐったいよ」
「はははっ!ごめんごめん。この角度からよく見えたから」
毎日のように会っているから気づかなかったけど、千秋は背が伸びた。この1年でますます差が広がっている。
並んで歩いているとそれがよく分かった。
でも俺だって、ちょっとは伸びてるはず!……たぶん。
「すごいスッキリした!紹介してくれてありがとう」
「うん、どういたしまして」
ニコッと笑った笑顔は、この穏やかな陽気によく合う。
「でも、わざわざついてきてくれなくても。俺1人で行けたけど?」
「分かってるよ。……でも、1番に見たかったから。すごく似合ってる。可愛い…」
「……あ、そう?……ありがと…」
不意打ちに心臓がドクンと鳴り、思わず胸を押さえる。
そんな俺を見て、千秋がニヤッと笑った。
「それ、その仕草さぁ、なんかすごいグッとくるんだけど」
「え?!それって、どれ?」
「こうやって手を当てるの」
千秋の動きを見て、自分の胸を見下ろすと、確かにそこには両手が添えられている。完全に無意識だった。
「は?これのどこが?」
慌てて手を下ろし、わけが分からず眉を寄せる。
焦る俺とは裏腹に、この男は不敵な笑みを浮かべた。
「だってさー、それしてる時って、俺にドキドキしてるんでしょ?あぁ、俺のこと好きなんだなぁ、って思うんだよね」
「な?!」
うわー!恥ずかしすぎる。
人に自分の癖を指摘されるのってこんなに恥ずかしいんだ。それに俺の気持ちバレバレじゃん。
「ね?間違ってないでしょ?」
千秋に顔を覗き込まれ、もう頷くしかない。
「間違って……ない」
俺はいつも千秋の前では素直になってしまう。
ちょっと悔しくて、ギュッと握った拳を、千秋の手が柔らかく包み込んだ。
「さて、どうする?ちょうどいい時間だし、ごはん食べに行こうか」
「おう。頭が軽くなったらお腹すいた!」
「晴人の頭と腹って連動してんの?」
桜の花びらが舞う道を、笑い合いながら並んで歩く。
俺たちは明日から2年に進級する。
「次は同じクラスになれるといいね」
ずいぶん高いところにある顔を見上げると、俺を見つめて優しく微笑んでいた。
首元に春の風が通り抜け、少しくすぐったい。
もう、マフラーも手袋もいらないだろう。
千秋に「髪を切りたい」と言ったら、行きつけの美容院を紹介された。てっきり場所だけ教えられて1人で行くのだと思っていたら「駅に10時」と連絡が。
「晴人、髪ついてる」
千秋の指が襟の下を掠め、思わず首をすくめる。
「ちょっと!くすぐったいよ」
「はははっ!ごめんごめん。この角度からよく見えたから」
毎日のように会っているから気づかなかったけど、千秋は背が伸びた。この1年でますます差が広がっている。
並んで歩いているとそれがよく分かった。
でも俺だって、ちょっとは伸びてるはず!……たぶん。
「すごいスッキリした!紹介してくれてありがとう」
「うん、どういたしまして」
ニコッと笑った笑顔は、この穏やかな陽気によく合う。
「でも、わざわざついてきてくれなくても。俺1人で行けたけど?」
「分かってるよ。……でも、1番に見たかったから。すごく似合ってる。可愛い…」
「……あ、そう?……ありがと…」
不意打ちに心臓がドクンと鳴り、思わず胸を押さえる。
そんな俺を見て、千秋がニヤッと笑った。
「それ、その仕草さぁ、なんかすごいグッとくるんだけど」
「え?!それって、どれ?」
「こうやって手を当てるの」
千秋の動きを見て、自分の胸を見下ろすと、確かにそこには両手が添えられている。完全に無意識だった。
「は?これのどこが?」
慌てて手を下ろし、わけが分からず眉を寄せる。
焦る俺とは裏腹に、この男は不敵な笑みを浮かべた。
「だってさー、それしてる時って、俺にドキドキしてるんでしょ?あぁ、俺のこと好きなんだなぁ、って思うんだよね」
「な?!」
うわー!恥ずかしすぎる。
人に自分の癖を指摘されるのってこんなに恥ずかしいんだ。それに俺の気持ちバレバレじゃん。
「ね?間違ってないでしょ?」
千秋に顔を覗き込まれ、もう頷くしかない。
「間違って……ない」
俺はいつも千秋の前では素直になってしまう。
ちょっと悔しくて、ギュッと握った拳を、千秋の手が柔らかく包み込んだ。
「さて、どうする?ちょうどいい時間だし、ごはん食べに行こうか」
「おう。頭が軽くなったらお腹すいた!」
「晴人の頭と腹って連動してんの?」
桜の花びらが舞う道を、笑い合いながら並んで歩く。
俺たちは明日から2年に進級する。
「次は同じクラスになれるといいね」
ずいぶん高いところにある顔を見上げると、俺を見つめて優しく微笑んでいた。

