記憶喰いの呪剣《ラストメモリア》を、俺は使いたくない

やっぱり、久遠の話題がクラス中に響き渡っていた。

「鬼塚にも勝ったらしいぞ」

「うん。アイツは本当は強いんじゃ」

「かも知れない」

「あれは演技なのか?」

綾人は、もう我慢の限界だった。

「お前ら」

小夜が勢いよく立ち上がった。
「ガタッ!」

「朔君は演技なんかじゃない!

みんな知らないだけだよ!

朔君がどんなに辛い思いしてるか、知ってるの?

本当はあの剣を使いたくないんだよ。

記憶を奪われるんだよ……みんなの事忘れるんだよ!」

みんなはその言葉で沈黙してしまった。

1人の男の子は小夜に問いかけた。

「確かに、記憶を奪われるのは辛いけど……なんであいつは使ってるんだ?」

「……それは」

「小夜、後は俺が話すよ」

「……朔」

「それは、自分の代で終わらしたいから。何で作られたかは、わからない。これを使うと記憶は奪われるのは事実だ。使い過ぎると1ヶ月奪われる。たった1日分でも、取り戻すのには数日はかかるんだ」

みんなは久遠の話を真剣に聞いていた。
みんなの表情は少し暗い顔になっていた。

「今は俺のことは信用しなくてもいい。いつかみんなにも打ち明けられたらいいなって思ってる」

久遠はみんなにラストメモリアの事を打ち明けた。そして自分の机に座った。

黒刃先生が教室にきた。

「お前らこれから授業するぞ。今日は能力について勉強をする」

「剣を使って能力出したりするのが1番多い。だけど、詠唱で炎、水を出す。戦い方によるな。この中で詠唱を主体に戦うやつはいるか?」

数人手を挙げている人がいた。

「その時どう戦う?詠唱には時間かかるだろ?」

「はい。その時は剣で戦います。戦いながら詠唱をします」

「そうか。君たちの先輩は詠唱をしてすぐ、魔法を出せるぞ。魔法使えるやつはすぐに出せるようにしないとな」

「……はい」

そして、授業はお昼まで続いた。

「これで授業は終わる」

「朔、ご飯食べに行こう」

「いいよ」

「私も一緒にいい?」

「友達と食べなくていいの?」

「その友達も連れて行く」

「えっ?」

「いいよね」

「いいよ」

「朔君。後で行くから先に行っててくれる?」

「わかった」

久遠と綾人は先に食堂に行って座る席を探した。

「ここでいいんじゃないか?」

「そうだね。後は小夜を待つだけだね」

「うん」

「お待たせ」

「本当に友達連れて来たんだね」

「うん。連れて行くのに時間かかって。結構恥ずかしがりだから」

「そうなんだ」

「うん。早くきて」

「ちょっと、引っ張らないで」

小夜は友達の手を引っ張った。

「私の友達で月城雪乃(つきしろゆきの)ちゃんだよ」

「知ってる通り久遠だ。よろしく」

「……うん」

「俺は、篠宮だ。よろしく」

「……よろしく」

「私、お腹すいた早く食べよう」

4人でご飯を食べた。そして、月城が久遠に話した。

「……久遠君って。あの剣使ってるけど、怖くないの?」

「怖くないって言ったら嘘になるけど。本当は怖いよ。記憶を喰われるんだから」

「そうなんだ」

「今はこれをつけてるから、ラストメモリアの影響は少し防げるんだけどね」

久遠は呪剣制御腕輪《カース・レギュレーター・ゼロ》を見せた。

「これはなに?」

「これは呪剣制御腕輪《カース・レギュレーター・ゼロ》っていって記憶を少しだけ防げる代物なんだ」

「へぇー。この腕輪かっこいいね。私も久遠君の事怖い人って思ってたの」

「どうして?」

「えっ!だってあの剣を出した時。……怖って思ったから」

「無理もないよ。ラストメモリアは抜いた瞬間剣にオーラを纏うからね。この2人も聞いてびっくりしてたからね」

「うん。呪いがこんな世界にあると思わないでしょ」

「そうだよ。呪いとか伝説って思ってたしな」

「それでもこの2人は仲良くしてくれてる。俺には嬉しいんだ」

「久遠君って本当は優しい人なんだね」

「……そうなのかな」

「うん」

「なに照れてるんだ?」

「嬉しいからだよ。わかってもらえたから」

「そうだよな。嬉しいよな」

「うん」

「……私も久遠君と仲良くしたいなぁ」

「俺も月城さんとこれからも仲良くしたい」

「……ありがとう。私も下の名前で呼んでいいかな?」

「うん。いいよ。俺も雪乃って呼んでいいかな?」

「うん」

久遠はまた新たな友達が出来た。
いつの間にかお昼が終わる時間になっていた。
4人は教室に戻る。

午後からの訓練が始まる。この学園は午前は勉強で午後は訓練となっている。

「これから訓練始めるぞ。今日は2人のタッグを作って違うチームと戦ってくれ」

「朔、一緒に組もうぜ」

「わかった。いいよ」

「組んだら違うチームと戦ってもらう。私が前に出ろって言われたものは出てもらう。久遠と篠宮前に出てこい」

「はい」

「うっす」

久遠と綾人は前に出た。違うチームも呼ばれて前に出てきた。そして試合形式をする事になった。

久遠は剣を取り出した。綾人も剣を抜いた。
綾人は解析を始めた。

「解析領域(アナライズ・フィールド)」

「何だこれ……構うな!あの2人をやれば勝ちだ!」

2人組はまず久遠に攻撃を仕掛けた。

「来たか!」

「フッ。そんな事しても俺がいる限り攻撃は当たらないぜ」

「朔、1人は左から攻撃してくるぞ」

「わかった」

久遠は教えられた通り、相手は左から攻撃を仕掛けてきた。

「キィンッ!」

「何だと」

そして久遠は剣で剣を跳ね返して1人を斬った。
綾人の方も片付いたようだ

「そこまで」

「綾人は何で相手の動きがわかったんだ?」

「あー。俺の能力は解析領域(アナライズ・フィールド)は攻撃の軌道が線で見えるんだ。後は次こう動くって頭の中で計算されるんだ」

「そうなんだ。凄い能力なんだな」

「朔ほどではないよ。俺は解析をして相手の動きを見て戦うからな」

「なるほど。でも綾人らしいじゃん」

「ありがとな」

「次」

全員の戦い方を見た黒刃先生はみんなに足りない所を1人1人話した。

「よし、これで終わりにする。解散」

「終わった」

「これからどうする?」

「俺は、黒刃先生と特訓なんだよ」

「そうなんだ」

「うん。授業が終わったら特訓するんだ」

「ま、頑張ってくれ」

「わかった。ありがとう」

久遠は授業が終わって。黒刃先生の元に向かった。

「コンコン」

「先生」

「来たか。今日も特訓をするぞ」

「はい。その前に話したい事があるんです」

「何だ?」

今朝、早く起きて学園の外に出た時、知らない男性に道を尋ねられたんです。その後、多分だけど、その男性が俺の名前を呼んだんだと思う」

「何だと、それは本当なのか?」

「はい」

「ちょっと待ってろ。電話してくる」

「わかりました」