記憶喰いの呪剣《ラストメモリア》を、俺は使いたくない

「それは、鬼塚と戦って昇格したんだ」

「そしたら、鬼塚はどうなったんですか?」

「……アイツはCランクからDランクに降格した」

「鬼塚はCランクだったんだ」

「勝負を申し込んだ側が負けた場合、降格することがある」

「そんな事聞いてないですよ。やらなければあんな事にならなかったはず」

「そんな甘いこと言ってたら、Sランクどころか命落とすぞ」

「すみません。後、何で先生が腕輪を持ってたんですか?」

「久遠が倒れた時に預かったんだ。そして研究員に渡して改良してもらった」

「あ……ありがとうございます」

「久遠、ラストメモリア持ってきてるな」

「はい」

「今からその腕輪を使って私と戦うぞ」

「今からですか……。わかりました」

久遠は黒刃先生と訓練所に行った。
腕輪をつけラストメモリアを出した。

「よし訓練開始」

「はい」

先生に斬りかかった。
だが刃は軽くいなされる。
次の瞬間、視界が揺れ、気づけば距離を取られていた。

「こんなんじゃ、強い敵には通用しないぞ」

「はい」

訓練は夕方まで続いた。
それでも──ラストメモリアの代償は現れなかった。

「腕輪をつけてラストメモリアを使ったがどうだ?」

「なんか、前の腕輪よりいい感じです」

「そうか。それならいい。だけど使い過ぎてもダメだ。また同じ事になる」

「わかりました」

「これからは、お前を強くするのは私だ」

「あ……ありがとうございます。俺はもっと強くなるでしょうか?」

「それは久遠次第だ。いつかは、ラストメモリアも使いこなせる時が来るさ」

「そうだといいんですが」

「早く帰れ。また食堂閉まるぞ」

「今日はありがとうございました!」

「プルルルル」

「私だ。どうした?」

「この頃変な動きをしてる組織がいるみたいです」

「そうか。そいつらの狙いは?」

「それはまだわかりません」

「わかった。先生達にも知らせといてくれ」

「わかりました。また情報がわかれば報告します」

「わかった。よろしく頼む」

黒刃先生は電話を切った。

「何が狙いだ?もしかして?」

黒刃先生は何かわかったような気がした。

「まさかな。電話かけてみるか」

「黒刃先生どうしました?」

「今さっきの話だが。ちょっと調べて欲しい事がある」

「わかりました。今すぐ調べてみます」

「黒刃先生。今調べました。狙いは黒刃先生の言った通りでした。どうしますか?」

「やはりか。厳重に警備を頼めるか?」

「わかりました」

黒刃先生は電話を切った。

「大変な事になってしまったな」

黒刃先生は頭を抱えた。

一方、久遠は学生寮に戻った。一旦自分の部屋に戻った。

「疲れた。今日はラストメモリアの代償を受けなかったな……この腕輪のおかげか」

部屋をノックする音がした。

「コンコン」

「はい」

ドアを開けると、綾人と小夜が立っていた。

「朔君。一緒にご飯食べない?」

「いいよ。もうそんな時間か」

「そうだよ。一向に食堂来ないから。小夜と一緒に来たんだ」

「ごめん。今から行く」

3人で一緒に食堂に行った。

「今日、黒刃先生が研究員に頼んで腕輪を改良してもらったんだ」

「そうなんだ。どんなのか見せてくれない?」

「私も見てみたい」

「いいよ」

久遠は綾人と小夜に呪剣制御腕輪《カース・レギュレーター・ゼロ》を見せた。

「前のやつと全然違う」

「うん」

「改良したけど何が変わったんだ」

「今日、1日ラストメモリアを使ったんだ。そしたら代償を受けなかった」

「そうなんだ。使い過ぎたら記憶奪われるんだよな」

「だけど、俺は覚悟を決めないといけない。ラストメモリアから逃げていたら、何も変わらない」

「朔も覚悟を決めたんだな」

「うん」

「無理だったら私達が朔君を守るから」

「ありがとう」

「うん」

「おう」

3人はご飯を食べて就寝まで話をした。
久遠は部屋に戻った。

「汗もかいてるしお風呂も入らないと」

お風呂に入って、1日の汗を流した。
そしてお風呂から出て、体が疲れていたのかすぐに眠ってしまった。

少し、早く目が覚めた。

「今、何時だ。まだ、6時だ。少し散歩するか」

散歩に出て、学園の外を歩いた。辺りは静かだった。
学園の外には出ていいが、始まるまでには戻らないといけない。

「すみません。ここに行きたいのですがどこに行けばいいですか?」

男の人が久遠に聞いてきた。

「ここを真っ直ぐ行けば着きますよ」

「そうですか。ありがとう──久遠朔君」

その声に、反射的に振り向いた。
──だが、そこには誰もいない。

「プルルル」

「ピッ」

「ボス、ターゲットに接触しました。本当にこの学園にいました」

「わかった。引き続きよろしく頼む」

「わかりました」

「ピッ」

「"あれ"を奪えば──この世界は終わる」

久遠は、学園に戻った。ちょうど、朝食が始まっていた。

「朔、おはよう」

「おはよう」

「今日さぁ、早く目が覚めてさ。学園の外出たんだけど」

「そうなんだ」

「うん。で、人に道聞かれたんだ。それも朝、早くに」

「それ大丈夫なのか?」

「多分。教えて学園に戻ろうとしたら、俺を呼んだ人がいたような気がしたんだ。後ろを振り向いたら誰もいなかった」

「学園の外で、お前の名前知ってる奴なんていないだろ」

「……うん。そうなんだけど」

「それ、なんか怖くないか?」

「うん。いちおう、黒刃先生に聞いてみるけど。授業が終わったら、黒刃先生と訓練があるからその時に言ってみようかと」

「それがいいな。朔気をつけろよ」

「わかった。ありがとう」

朝食が終わって一旦部屋に戻ってカバンをとりにいった。
綾人と学園まで行く。前には小夜が友達と話していた。

「小夜ちゃん篠宮君と久遠君と仲いいね」

「うん。悪い人達じゃないしね」

「でも、久遠君怖くない?特にあの剣を持ってる時」

「そうかな。私は大丈夫だよ。あの剣ラストメモリアね。朔君はあれで苦しんでるんだよ」

「何で?」

「あの剣は使うと朔君の記憶奪われるんだよ。本人が一番苦しいんだよ」

「そうなの。知らなかった。私は、てっきり久遠君が誰かの記憶を奪って戦ってるんだと思った。試合しか使ってる所しか見てないから」

「朔君は少し前はラストメモリアを使いたくなかったらしいから。今は覚悟決めたらしいから、凄いなって思った。私も頑張らないと」

「私もそれを聞いてさ、久遠君の事もっと仲良くしたいって思った」

「朔君いい人だから、話したらわかると思うよ」

「ところでいつの間に久遠君の事、朔君呼びなの?詳しく教えなさい」

「教えない」

「教えなさいよ」

久遠と綾人は、その会話を聞いてしまった。

「小夜、お前の事話してたな」

「う……うん」

「なに照れてんだ?」

「照れてないし」

「嘘つけ」

「綾人、それ以上言うとマジで斬るぞ」

「おー。怖い怖い。やってみな」

「……何だと」

2人は笑いながら学園に行った。