記憶喰いの呪剣《ラストメモリア》を、俺は使いたくない

「……やっぱりここにいた」

久遠がいた場所は訓練所のベンチだった。

「朔君大丈夫?」

「うん。なんとか」

「これ飲んで」

「ありがとう」

「急にどうしたの?」

「小夜と同じだよ。俺も緊張や不安があるんだよ」

「みんな緊張したり不安はいっぱいあるよ。それに、クラスのみんなが朔君のこと認めてきてるところじゃない」

「それは、小夜のおかげだよ」

「違うよ。朔君が頑張ってるからだよ」

「そうなのかな」

「うん。クラスの人達は朔君のこと怖がってたからね」

「うん」

「少し顔色良くなってきてるね」

「少しは楽になってきたかな」

「よかった」

「小夜、いつもありがとう」

「いいよ。私はなにもしてないよ」

「それでも、ありがとう」

「うん」

「大丈夫になったから戻るか」

「わかった。頑張ろう」

「あぁ」

久遠と小夜は訓練所に戻った。

「朔、大丈夫だったか?」

「もう、大丈夫だよ」

「よかった」

「二人にも心配させてごめん」

「それぐらいいいよ」

「そうよ」

「午後からは頑張る」

訓練は夜まで続いた。
久遠達は帰ろうとしたが黒刃先生に止められた。

「お前ら少し待ってくれ」

「わかりました」

「四人だけ残したのは。トーナメントの話だ」

「それがどうしたんですか?」

「トーナメントは上級生とも戦うことになる」

「そうなんですか?」

「あぁ。今のお前らは勝てないだろう」

「まぁ、確かにな」

「そうよ」

「勝てるかもしれないじゃないですか?」

「月城、それは甘いな」

「うっ」

雪乃は黙ってしまった。

「四人は今日から合宿に連れて行く」

「え〜〜〜」

「今からですか」

「そうだ」

「そんな〜」

「嘘でしょ」

「もう時間がないぞ。どうする?」

「行きます」

「仕方ないなぁ」

「私も行きます」

「私も」

「じゃあ、今から準備してここに集まってくれ」

黒刃先生から一枚の紙を渡された。

「わかりました」

四人は、急いで学生寮に戻って準備をする。

「これで大丈夫かな」

「コンコン」

「ガチャ」

「準備出来たか?」

「うん。出来た」

「二人がロビーで待ってるから行くぞ」

「わかった」

「合宿って何処でやるんだ?」

「わからないけど。メモにはここにこいと書いてあるだけなんだ」

「そうなんだ」

「うん」

「あっ、やっときた」

「遅いじゃない」

「ごめん、ごめん」

そして四人は学生寮から出てメモに書いてある通りに歩いた。
歩いた先には訓練所だった。

「ここ訓練所だよな」

「うん」

「なんでここなの?」

「わからない」

そして黒刃先生がきた。

「お前らきたか」

「なんでここなんですか?」

「まぁ、みてな」

黒刃先生はリモコンを取り出した。すると訓練所の床から階段が現れ四人は驚いた。

「なんだ」

「こんな所に階段が出てきたぞ」

「こんな場所にこんなのがあったなんて」

「ここにはなにがあるの?」

「入るぞ」

「はい」

四人と黒刃先生は階段を降りていった。
1番下まで降りると、電気がついた。

「パチッ」

そこにはいろんな道具が置いてあった。

「なんですかこれは?」

「これは自分を強くする道具だ」

「なるほど」

「私たちはここでトーナメントが始まるまで練習するんですか?」

「そういうことだ。ここは男女別の部屋がある。それも二人部屋だ。ご飯は出てくるから安心しろ。今日のところはゆっくり休んでくれ」

「わかりました」

「小夜、雪乃。おやすみ」

「おやすみ」

「おやすみ」

「ここが俺らの寝る場所か」

「そうだな」

「明日から特訓だよな」

「うん。大丈夫かな?」

「黒刃先生のことだから厳しいぞ」

「うん。訓練する時何回死にかけたことやら」

「朔、めっちゃへばってたからな」

「綾人もへばってたじゃないか」

「そうだったかな」

「綾人、テメェ」

「アハハハハ」

「笑い事じゃねえぞ」

二人は楽しい時間を過ごしていた。

「もう寝るか」

「うん。おやすみ」

「うん。おやすみ」

一方、小夜と雪乃はというと──もうベッドで話しながら寝ていた。

「明日から訓練なのよね」

「うん。頑張らないとね」

「そうよね。トーナメント決勝まで行きたいわね」

「うん。勝てるかな?」

「頑張ってみないとわからないよ」

「そうよね。私、頑張るよ」

「私も頑張るから。もう寝ましょ」

「うん。おやすみ」

「おやすみ」

朝になった。

「綾人、おはよう」

「おはよう」

「ファ〜」

「眠そうだな」

「眠いよ。綾人は眠くないのか?」

「眠いに決まってるだろ」

小夜と雪乃も目が覚めた。

「朔君、綾人君おはよう」

「おはよう」

「二人はゆっくり寝れた?」

「うん。寝れたよ」

「二人は?」

「まだ眠い」

「眠いよ」

「まだ眠たいって顔してる」

「そうだよ」

「ここの食堂に行くか」

「そうしよ」

「私、お腹すいた」

四人は食堂に向かった。食堂に入ったら黒刃先生がもうご飯を食べていた。

「お前ら起きたか」

「おはようございます」

「今日から訓練だからしっかりご飯を食べるんだぞ」

四人は朝ご飯を食べて、顔を洗って歯を磨いて地下の訓練に行った。

「お前ら、来たな。これから特訓といくぞ」

「特訓は先生と戦うんですか?」

「今日は違う。この戦闘シミュレーションをやってもらう。各自、訓練室に入れ」

四人はそれぞれ隣にある扉へ入り、部屋の中へ入った。

「お前ら、中に入ったな。これから戦闘シミュレーションを開始する」

黒刃先生の声が部屋に響く。

「今回の相手は――お前ら自身だ」

「自分と……?」

久遠は驚きながら、部屋の中央にある装置を見つめた。

「そうだ。お前らの戦闘データをもとに、同じ能力を持った仮想の相手を作る。つまり、自分自身と戦ってもらうってことだ」

装置が起動し、久遠の目の前に光が集まり始める。

やがて光の中から、一人の人影が現れた。

「……俺?」

「それでは、各自開始」

もう一人の久遠はラストメモリアを出して前に突っ込んできた。

久遠はスプリットセイバーを出して前に突っ込んだ。

「カン!」

「キィン!」

もう一人の久遠が技を繰り出す。

「くる」

「黒閃二連」

黒閃二連をギリギリ受け止めた。

「自分と戦うのはきついな。俺もスプリットセイバーじゃあなく、ラストメモリアを出さないと勝てない。やるしかない」

久遠はスプリットセイバーを鞘に収めて、ラストメモリアを出した。

黒刃先生は上でカメラの映像で観戦していた。

「ほぅ。ラストメモリアを出したか」

「ラストメモリアを出すと、使うたびに記憶を奪われそうだ」

久遠はそんな事考えているともう一人の久遠が攻撃を仕掛けてくる。

「黒断連斬!」

もう一人の久遠は技を繰り出す。

久遠も同じ技で迎え撃った。

「黒断連斬!」

「全部、俺と同じだ……」

久遠は相手の動きを見て驚いた。

「当然だ。俺自身の戦闘データから作られてるんだからな」

「このままじゃ……勝てない」

久遠は距離を取り、考える。

「俺の戦い方を知っているなら、俺が予想できる攻撃は全部読まれる」

「だったら……俺が今までやったことのない戦い方をするしかない」