記憶喰いの呪剣《ラストメモリア》を、俺は使いたくない

みんなは連携をとりつつ人形に立ち向かう。
だが、人形は強くなっているため、みんなは押されていた。

「こんなの無理だ。誰か助けて」

久遠は戦いながら考えていた。

(このままじゃみんながやられる)

スプリットセイバーがいきなり輝いている。

(……なんで光ってるんだ!)

驚きを隠せなかった。久遠はスプリットセイバーを鞘から抜く。
また、口にした。

「……連斬(れんざん)」

人形に向かって斬った。
斬撃が次々と人形へ連鎖した。そのまま人形は倒れた。

「ドサッ!」

(い、今のはなんなんだ!また知らない技を出したのか)

「よし、これならいける」

久遠は人形に向かって斬りかかり、みんなを助けた。
黒刃先生が声をかける。

「お前ら頑張れ。後ひと踏ん張りだ」

ようやく人形が倒れた。怪我人もかなり出ていた。黒刃先生は救助班を呼んだ。

「お前ら大丈夫だったか?」

「ハァハァハァ。なんとか」

「……うん」

「ハァハァ」

「今のなんだったの?」

雪乃が朔に尋ねた。

黒刃先生は少し考えてから答えた。

「わからない。今から、調査する。お前らは寮に戻ってくれ」

「はい!」

「俺らは帰るか」

四人は帰ることにした。だけど、小夜だけは知っていた。

「二人は先に帰ってて。私、朔君に話したいことあるの」

「わかった。朔、小夜、また後でな」

「うん」

「小夜、どうしたんだ?」

「朔君怪我してるでしょ?」

「何言ってるんだ。怪我なんかしてないよ」

「嘘ついてるでしょ」

「嘘ついてないよ」

「怪我してる所見せて」

「やだよ」

小夜は久遠の服を少しめくった。すると、血が出ていて怪我をしていた。

「ほら。怪我してるじゃない」

「なんでわかったんだ?」

「朔君みんなを守りながら戦ってたでしょ?」

「うん。守りながら戦ってたら人形に囲まれててやられた」

「保健室行くよ。このままにしてたら危ないから」

「わかった。ありがとう」

小夜は少し照れながら答えた。

「……う、うん。今度から隠さないで」

「わかった」

小夜と久遠は保健室に行って久遠の怪我を治療してもらった。

「これで、血は止まるはずよ」

「ありがとうございます」

「もし、まだ血が止まらないようであれば、また来てちょうだい」

「わかりました」

小夜は廊下で待っていた。そして久遠が保健室から出てきた。

「大丈夫?」

「うん。血は止まったから大丈夫だよ」

「よかった。無理しないで」

「ごめん。このままだとみんなが危ないと思ったから」

「確かにそうよね。なんであんなことになったんだろう?」

「わからない。黒刃先生に聞いたらわかるけど」

「グゥ〜〜〜」

「もしかして?お腹すいたの?」

「聞こえた?」

「……うん。聞かないでよ。バカ」

「ご、ごめんって」

「お腹すいたから帰ろ」

「うん」

その頃

「これでよかったんでしょうか?」

「よくやった。それでいい。また、お前には期待をしてるぞ」

「わかりました」

「ピッ」

「クソッ!」

男は画面を睨みつけた。

「何かわかったことあったか」

「調べてはいるんですが。結構複雑なコードがあるので時間がかなりかかるかと。分かったことは、内部にあの組織と繋がっている可能性があるということです」

「それはどうしてだ?」

「それは、人形は外部からは変えられないように作られてます。それに、人形を動かせる先生だけです」

「先生の中に、ここの情報を漏らしてる奴がいると?」

「それはわかりませんが。時間がかかってもいいなら探ります」

「お願いしてもいいか?私も探ってみる」

「わかりました」

「他の人には内緒にしていてくれ。何かと騒ぎになるかもしれん」

「わかりました」

トーナメントにむけてクラス全員が練習を始めた。
初めてクラスの人が久遠に話しかけてきた。

「久遠君、昨日は助けてくれてありがとう」

「久遠、ありがとな」

「お前って凄いんだな」

「そうかな。俺はみんなを助けたくて助けたんだ」

久遠は、みんなからお礼を言われて嬉しかった。

「助けた甲斐があってよかったな」

「うん。なんか身体が動いてたんだ」

「朔らしいな」

「ありがとう」

練習を終えたクラス全員は、着替え室へ向かい、シャワーを浴びた。

「シャー」

「結構ハードだよな」

「うん。トーナメントが近いからな」

「久遠は鬼塚と戦って以来だよな?」

「うん。緊張はする?」

「緊張はしてるよ」

「そうだよな」

みんなは、あの合宿で起きた事件のことを知らない。
久遠のラストメモリアを狙って現れた組織。
黒宮冥人と如月無音の存在を知っているのは、久遠、小夜、綾人、雪乃、そして先生達だけだった。

あの合宿はまだ調査が続いている。
そして、今は、封鎖をしてるようだ。

トーナメントまで、後5日となっていた。

学生寮に戻る。

「朔、お互い頑張ろうな」

「あぁ」

「俺、いつか、朔と勝負したいな」

「どうした急に」

「朔と勝負したらどっちが勝つのかって思って」

「そうなんだ」

「あぁ。その時は勝負してくれるよな?」

「考えとくよ」

「わかった」

「プルルルル」

「ガチャ」

「私だ。どうした?」

「黒刃先生。あの人形の暴走の件なんですが」

「どうした。早く答えろ」

「わかりました。言いにくいんですが。人形を暴走させた犯人は──」

「何?それは本当なのか?」

「はい。おそらく、組織とも何か関わりがあるのかも知れません」

「なるほどな。もう少し泳がせておくか」

「いいのですか?すぐ捕まえなくて」

「あぁ。今捕まえても話さないだろうな」

「わかりました。もう少し調べてみます」

「よろしく頼む」

「はい」

「ピッ」

「これは大変なことになったな。アイツに話すべきか。いいや、ここはやめといたほうがいいな」

トーナメントまで、後4日となった。クラス全員練習を頑張ってる。

スプリットセイバーで勝てたとしても、決勝までラストメモリアを使わずに勝ち進めるのか。不安でいっぱいだった。

まだトーナメントが始まっていないのに、冷や汗が止まらない。

「朔、どうした?凄い汗だけど。大丈夫か?」

「大丈夫だと思う。ハァハァハァ」

意識が朦朧として綾人の声が遠く聞こえる。

「おい。朔」

「大丈夫、少し休憩してくる」

「朔君、どうしたの?」

「なんかみたら顔つき悪かったしフラフラしてる」

「そうなんだ。心配だね」

「そうなんだよ」

小夜は心配そうにしていた。
綾人と雪乃が小夜に答えた。

「小夜、朔の事心配なんだろ?」

「うん」

「じゃあ、行ってこいよ」
「私達が先生には話しておくから」
「ありがとう」

「行っておいで。小夜が1番、ここに入って朔君の事知ってるんだから」

「うん。二人ともありがとう」

小夜は久遠を追いかけて走った。久遠がどこにいるのかは、大体分かっていた。