記憶喰いの呪剣《ラストメモリア》を、俺は使いたくない

「ちょっと蔵でラストメモリアに関する遺言状をまた見たいんだ」

「わかった。これが蔵の鍵だ。ラストメモリアに関する遺言状は奥にある」

「ありがとう。親父」

久遠は家の裏にある蔵に行って蔵の鍵を開けた。

「ガチャ」

久遠は蔵の中に入るのは初めてだった。親父から入ってはいけないと言われていた。

蔵の中はホコリだらけだった。数年も掃除してないみたいだった。
そして久遠は奥まで行く。目の前には箱が二つ綺麗に置かれていた。

「これかな。」

久遠は箱の中身を確認する。箱の中には巻き物が入っていた。それを箱から出し遺言状を開いてみる。

「なになに」

「ラストメモリアはドラゴンから作られた。だけど、この剣は人の記憶を喰う呪いだった」

「なるほど。ここまでしか書いてないのか」

久遠は遺言状を箱に戻す。もう一個の箱はおそらくラストメモリアが入っていたものだと思った。
辺りを見渡すと、久遠はもう一つの扉を見つけた。

「ここにまだ扉があったんだ」

「キィィィ」

久遠はおそるおそる扉を開いた。そこには箱がポツリと置かれていた。
久遠はその箱を興味本位で開けた。

そこには剣が入っていた。その剣は鮮やかで透き通るような剣だった。
久遠はその剣に触った。

次の瞬間何かが流れ込んでくる。

「……なんだ…これ。何かが流れ込んでくる」

久遠に流れてきたのは、初代久遠がドラゴンと戦っている記憶だった。

「……これは初代久遠の記憶なのか」

「久遠さん。あのドラゴンが現れました」

「なんだと!皆の者、準備は出来ているか?」

「はい」

「では、あのドラゴンを倒しに行くぞ」

「オー」

初代久遠が率いる一万人とドラゴン一匹の戦いが始まった。

「グォォォォォン!!」

「みんなひるむな。コイツを倒せば世界が平和になる」

巨大なドラゴンをみんなで戦った。
この戦いは数時間にも及び、ようやく勝利した。
生き残ったのは、わずか十人だけだった。
そして初代久遠はドラゴンの素材を剥ぎ取った。
その素材から剣を作り出した。

ラストメモリアが作られた。この時のラストメモリアは禍々しくなかった。少し今触ってる剣に似ていた。

「これじゃあダメだ」

初代久遠が何かの魔法を使ったのか、辺りが光って見えなくなった。
光が消え、再び見えるようになった時、剣は二つに分かれていた。
一つは今、自分が使ってるラストメモリア。もう一つは今触っている剣だった。
そして久遠は元の自分の蔵の中に戻っていた。

「今のは……初代久遠の記憶なのか」

久遠は我にかえった。箱の中に一枚の紙が入っていた。久遠はそれを読んだ。

「箱に入っている剣の名前は蒼閃《スプリットセイバー》だ。ラストメモリアを抑える剣。元々はラストメモリアとスプリットセイバーは一つの剣だった。なぜ二つにしたかというと。元々一つだった剣は私には扱えなかった。その理由はかなり強力で、凄まじい威力があった。山を消すぐらいの威力だ。こんな危険な剣があったら奪おうとする輩もいると思って、私の力で一つの剣を二つにした。それが、ラストメモリアとスプリットセイバーだ」

「そうだったのか。親父に聞いてみるか」

久遠はスプリットセイバーを蔵から持ち出し親父の部屋に行った。

「親父この剣のこと知ってる?」

「朔、蔵から見つけたのか?」

「う、うん。親父は知ってた?」

「あぁ。あの手紙も見たんだな」

「うん。スプリットセイバーに触れた瞬間。初代久遠の記憶が流れ込んできたんだ」

「なんだそれ。ワシが触った時はなにも起こらなかった」

「えっ!そうなのか?」

「うん。ただの剣だと思っていた」

「この紙は見たんだろ?」

久遠は紙を出した。

「見ているが。ラストメモリアとスプリットセイバーを使ったがなにも起こらなかった」

「へぇー。なんで俺には初代の記憶が流れてきたんだ?」

「もしかしたらなにか起こるのかもしれんな」

「それってなんだよ」

「わからない。お前にスプリットセイバーを託す」

「わかった」

久遠は親父の部屋から出て道場に行った。
道場は家の裏にあり小さい時から訓練していた場所だ。

久遠はスプリットセイバーの試し斬りをする。
危ないかもしれないから外で試すことにした。
一本の竹を中央に置き、スプリットセイバーを鞘から抜く。

そして竹に集中した。
スプリットセイバーを握り、一振りする。

「……裂空(れっくう)」

なぜその言葉が口から出たのか、自分でも分からなかった。

竹は綺麗に真っ二つになった。
斬った瞬間、少しだけ竹の周囲の空間が一瞬だけ歪んだ。

「……今の技、俺は知らない」

なのに、頭の中にはその技の名前だけが残っている。

「……なんで俺が、この名前を知ってるんだ?」

「この剣は凄いのか」

久遠は驚きで言葉に出来なかった。ラストメモリアは禍々しいオーラだけどスプリットセイバーは綺麗な輝きをしていた。

(一つになったら、凄い力になる剣か……なんか怖いような)

久遠は考えている。
後ろからなにか気配がした。

「お兄ちゃん。ここで何してるの?」

「なんだ紅羽か」

「なんだとは失礼ね」

「ごめん」

「ところで何してたの?」

「剣を試し斬りしてたんだ」

「へぇー」

「興味なさそうだな」

「お兄ちゃん。今暇?」

「暇だけど。どうした?」

「私と一戦だけ戦ってくれない?」

「いいけど。剣は危ないだろ」

「竹刀があるじゃない」

「あれも当たっても痛いぞ」

「大丈夫。寸止めなら大丈夫」

久遠と紅羽は道場に行って竹刀をとって、一本勝負をする。

「どっちかが一本とった方が勝ちね」

「わかった」

二人は構えた。
先に動いたのは久遠だった。

「ハァァァ」

紅羽は久遠の一振りを受け止めた。

「カン」

紅羽も負けずに久遠に一振りする。

「バン」

久遠も受け止めた。お互い一歩も引かなかった。

久遠が距離を詰めると、紅羽は竹刀を振ったが、避けられた。
そして紅羽は久遠に一本取られた。

「まいりました。お兄ちゃんは強いね」

「いやいや、紅羽も昔より強くなってるよ。俺も紅羽には負けてられない」

「一戦やってくれてありがとう」

「うん。俺もありがとう」

「もうそろそろご飯が出来る頃だろ」

「うん。お母さんのご飯久しぶりでしょ?お母さん、お兄ちゃんが帰ってくる話をしたら嬉しがってたよ」

「うん。お袋、ご飯張り切ってたな」

「うん」