記憶喰いの呪剣《ラストメモリア》を、俺は使いたくない

薄暗い森の中、久遠たちは黒宮と向かい合っていた――

「それがお前の名前か?」

「そうだ。教えるまでもなかったけどな。お前らはここで終わりなんだからよ。先にコイツらから始末するか。久遠朔、お前は後で殺してやるから待ってろ」

「辞めろ。アイツらには手を出すな」

「もう遅い」

黒宮の刃が閃き、三人を一瞬で斬り伏せた

「うわぁ〜」

「キァ〜」

3人はそのまま倒れ込んだ。

「クソッ!」

久遠は3人が目の前でやられて。怒りが込み上げ、我を失った。

「うわぁ〜〜。お前だけは許さない」

「来るか。俺を殺してみろ」

久遠はラストメモリアを振るい、怒りのまま黒宮へ斬りかかった。
次の瞬間、黒宮の刃が久遠を捉えた。

「グハッ!」

久遠はそのまま地面に叩きつけられた。

「これで終わりだ」

(……ここまでなのか!)

「お前はここで諦めるのか?」

「キィイン」

「なんだ?」

黒宮が久遠にトドメを刺そうとした瞬間。黒刃先生が剣で止めた。

「……く、黒刃先生?」

「黒刃……だと!」

「私のこと知ってるのか?」

「お前は、零界の魔導剣士(れいかいのまどうけんし)」

「懐かしいなその呼び名。お前はなにが目的だ?」

「久遠朔が持っているラストメモリアが目的なのさ」

「やはり、そうか。私がいる限りお前には渡せないな」

「元Sランカーさんと戦えるなんて、嬉しいぜ」

(えっ。元Sランカーに零界の魔導士?)

久遠は意識もうろうとしながら二人の会話を聞いていた。
三人は意識こそあるものの、動けずに倒れていた。

二人の戦いが激しくなっていく。

黒宮は影を伸ばし、足元を縫い止めようとする――だが黒刃先生は一瞬でそれを見切った。

黒刃先生も技を出す。

「万華剣装(ばんかけいそう)」

剣に複数の属性が宿り、空気が震えた。

「この俺が元Sランカーに負けるわけにはいかない」

「もうお前の負けだよ。大人しく降参して捕まってはくれないか?」

「ここで捕まってたまるか」

黒宮は黒刃先生に斬りかかろうとした瞬間。森の奥から人が出てきた。

「黒宮ここまでだ」

「なんでお前が来てるんだ?」

「お前を見張ってろと言われましたからね」

「ラストメモリアを奪って何をする気だ?」

黒刃先生が男に問いかけた。

「貴方には関係ないことですよ。零界の魔導剣士さん。これだけ教えときましょう。ラストメモリアの中にいるドラゴンを復活させ、この世界の全員の記憶を奪うことですよ」

「なんだと。昔、ドラゴンがみんなの記憶を奪ったといい伝えを聞いたことある。それがラストメモリアだったのか!」

「正解です。さすが、零界の魔導剣士さん」

「その呼び名はあいにく好きではないんだが」

「また、いずれ会いましょう。私の名前は 如月 無音(きさらぎ むおん)です。次、会う時は容赦はしません。それでは、また」

「ここで仕留める」

「それは無理ですね」

如月は丸い玉を地面に叩きつけた。そこから煙が一面に広がった。

「また会いましょう。零界の魔導剣士さん。その時はラストメモリアをいただきます」

「逃げられたか。お前達大丈夫か?息はしてるが怪我はやばいな」

黒刃先生は救助班に電話をかけた。

「私だ。早く救助班来てくれ。重症者が四人いる」

「わかりました。今から行きます」

「わかった。急いでくれ」

黒刃先生は四人を同じ場所に慎重に置いていった。

「……黒刃先生みんなは?」

「息はあるが重症だ。少し黙ってろ。傷口が広がるぞ」

やっと、救助班がきた。倒れた四人をヘリに運び病院に行った。そして手術が始まった。

やがて、久遠は目が覚めた。

「ここは?」

「病院だよ」

隣に寝ていたのは綾人だった。

「綾人大丈夫か?」

久遠は起き上がった。

「イテテテテ」

「無理するなよ。大丈夫。だけど、俺ら四人いたのに黒宮に負けたんだよな」

「うん。黒刃先生が来なかったら、俺ら死んでた」

「クソッ!」

綾人は悔しがっていた。

「もっと強くなりたい」

「うん。俺もだよ」

「ガラガラ」

突然、病棟の扉が開いた。来たのは黒刃先生だった。

「お前ら目が覚めたか」

「……はい」

二人は落ち込んでいた。

「お前らどうした?」

「俺らはなにも出来なかった」

「はぁ〜。そうだな。戦う相手が悪すぎた」

「アイツは逃げたんですよね?」

「そうだ」

「黒刃先生にききたいんです」

「なんだ?」

久遠は黒刃先生にあのことを聞いてみた。

「黒刃先生はここの生徒で元Sランカーだったんですか?」

「そうだな。あれも聞いたのか?」

「はい。零界の魔導剣士って聞きました」

「そうか。私は元ここの学生で元Sランカーだった。私は負けなしの生徒だった。そしていつの間にか魔導剣士と言われるようになった」

「魔導剣士って。なんで呼ばれてたんですか?」

「私は唯一魔導が使える生徒だった。みんなは魔導は使えたものもいたがそれまでに詠唱が必要だった。私は詠唱を数秒で詠唱していた」

「そうなんですね」

「あぁ。だけど三年生の時、任務の授業があって。そこで私の友達と一緒に敵の討伐した。友達は敵に斬られて大怪我をした。私もいっしょに戦ったが敵わなかった。その後は仲間達がやってくれたが、私はそこで初めて負けを知った。友達はもう戦えない状態だった。その子は卒業間近に学校を辞めた」

「……そうなんですね」

「今もその友達とは会ってるぞ。ここで、本題に入る。篠宮と久遠強くなりたくないか?」

「なりたいです」

「もちろん」

「そうか、それならいい。夜桜も月城も同じ返事をしてくれた。治った次第、私が訓練をする覚悟しな」

「はい」

「おうよ」

そして2ヶ月たって退院した。四人は黒刃先生の元に向かった。

「先生!」

「お前達きたか?今日は訓練はしないぞ。まだ治ったばかりだろ」

「それでも俺らは強くなりたいんです」

「ハァ〜。わかった。お前ら今から準備しろ」

久遠たちは訓練所へ向かい、準備を整えた。

「よし準備出来たな」

「篠宮の得意な技はなんだ?」

「解析領域だな。相手の動き、癖、分析して動くかな。黒宮には通用しなかった」

「なるほど。もっと動けるために訓練だな」

「了解」

「夜桜はどんな技を出すんだ?」

「桜が現れて、相手に向けて飛んで斬る技と。存在ごと消えて、気配、視覚を使って攻撃します」

「なるほど。お前は存在を消しながら攻撃をするならそれを特訓だな」

「はい」

「月城はどんな技を出すんだ?」

「私は、剣に氷属性を付与して攻撃します」

「そうか。それなら私と同じ魔導を使うのか?」

「はい。まだ詠唱には時間がかかります」

「わかった。詠唱をもっと早くして戦えるようにするために」

「わかりました」

「久遠はわかっているな」

「はい。ラストメモリアを使いこなすことです」

「そうだ。お前らは人形と戦ってもらう。その後に私と一人一人戦うぞ」

「はい!」