君のお腹を幸せにする部

 俺の名前は鈴木 猛宗(すずき もうそう)

 授業が終わった放課後、理科室や家庭科室のある特別教室棟へと向かっていた。

 昨日部活紹介や部活体験があり、新一年生はそこで思い思いの部活へと入部した。

 この俺はと言うと……昨日の部活体験で色々とあり、家庭科部に入る事となった。

 この学校は男子校である為、運動部の方が人気がある。
 文化部の方は人気が無いとは言え、美術部などに入る生徒は一定数居た。

 そんな中、俺は不人気なのは承知の上で家庭科部の部活体験へと向かい、さらには入部までしたのだ。

 それはなぜかと言うと……と思いを巡らせた辺りで、

「ぁ、鈴木くん」
「ようこそ、家庭科部へ」
 家庭科室に着いてしまい、その家庭科部の部長である佐藤 現実(さとう うつみ)……先輩に声をかけられる。


「ぁ、はい」
「どうも」
 部活体験で勢い余ったとは言え、佐藤先輩がやるはずだった料理デモンストレーションを俺がやってしまった。

 さらには佐藤先輩に料理を教える流れになり、毎日味噌汁を作ってあげることになって……しまったのだ。

 まぁ、料理を教える事自体は苦痛では無いし……あんなに美味しそうにご飯を食べてくれるなら、また作ってあげてもいいかな……なんて、いやいや料理の道は厳しいのだ!教えるなら厳しくいかないと。

「良かった〜来てくれて」
「ありがとうね」
 凄く純粋な満面の笑みをストレートに向けられて怯む俺。
 なんというか、こうも直接想いのこもった笑顔を向けられるとなんか……こう、照れると言うか。


 顔が赤らめそうな所をグッと堪えて表情を引き締める。
「……しっかりと覚えてもらいますから」
「覚悟して下さい」
 そう言って俺は佐藤先輩に脅しをかける。


「……優しく、してね」
 佐藤先輩が上目遣いで俺に迫って来る……、


「……そんな目をしてもダメです」
「厳しくいきますよ」
 その笑顔に一瞬絆されそうになるものの、釘を刺す様に佐藤先輩に返答する。
 


「じゃあ早速ヤリますか」
 俺が佐藤先輩に向かってそう言うと。


「もうヤルの?」
 キョトンとした顔で俺に向かって返してくる。


「そうですよ、その為に俺は来たんですから!」
 なんだかのらりくらりと躱されそうなやり取りだったので、俺は改めて叫ぶ。



「大丈夫だよ〜食材とかは準備してあるから」
 佐藤先輩がそう言い、なんだか相手のペースになりつつある気がして来たかと思うと、

「でもね」
「その前に見せたいものがあるんだ」
 そう言うと佐藤先輩は何やら箱を取り出した。


「……ほぅ、なんですか?それは」
 話の流れが変えられてる気もするが、ひとまず乗っておくことにする。


「これはね〜」
「じゃん!」
 佐藤先輩は子供っぽく叫んで取り出した箱の蓋を開けた。


 その箱の中には……手拭い?タオル?なのか布製の何かが入って居た。

「ゴソゴソ」
 ゴソゴソと自分で言って箱の中身を取り出す佐藤先輩。

「なんですかこれ?マフラー?」
 取り出した物体がマフラーっぽく見え、何故にマフラー?と思いつつなぜこんな春先に?と疑問が絶えない。


「ふっふっふ」
「腹巻き!」
 佐藤先輩は俺に向かって自信満々に叫んだ。


「……なんで腹巻き?」
 急に出て来た腹巻に困惑する俺。

 目の前に広げられた腹巻きには大きめのトマト?が描かれている……いや編み込まれている?とでも言うのか。

「なぜトマト?」
 困惑ついでについ俺は佐藤先輩に聞いてみる。


「ぇ、だって美味しいから」
 答えになっていないのだが、屈託のない笑顔でそう答えられて俺はトマト件についてはスルーする事にした。

「ほら、どうぞ鈴木くん」
「早速着てみてよ」
 そう言って謎のトマト腹巻きを手渡された。


「……ぇ!?」
「俺が着けるの?」
「なんで?」
 状況が把握出来ずに思わず変な声を出しながら叫んだ。


「……ダメ?」
 佐藤先輩が上目遣いとウルウルした目で脅迫して来る、いや脅迫はしていないけど迫ってくる。


「……」
「……はぁ」
「わかりました」
 自分でも何故だかわからないが、佐藤先輩に迫られて謎腹巻きをつける事を承諾してしまった。

 あんな顔で迫られたら断りづらいし、断ったら泣いてしまいそうだし、小動物みたいな目で見つめられてつい承諾してしまった。

 俺は渋々上着のブレザーを脱ぎ、机にかける。
 そして手渡された謎のトマト腹巻きをつけて佐藤先輩の方を向く。

「……これで……いいんですか」
 自分でも顔が赤くなっているのがわかる。


「うん!」
「すっごく似合ってる!」
「かわいい!」
 佐藤先輩は凄く喜んでいるようで、その笑顔からストレートな気持ちが伝わってくる。
 
 ただ、シャツの上に腹巻きという状態なのが少々恥ずかしい。

「でも何故に腹巻きを?」
 頭に浮かんだ素朴な疑問を佐藤先輩にぶつけてみる。


「……それはね」
「昨日の朝ご飯のと」
「おにぎりの件も含めてのお礼」
 佐藤先輩が俺の問いかけに答えてくれる……が、腹巻きの答えになっていない気がする。

「……お礼ですか?」
「いや、おにぎりのお礼なら」
「この謎縫いキーホルダー貰いましたよ?」
 そう言って俺は何故かおにぎりのお礼に貰ったつちのこの縫いキーホルダーを見せる。


「ぁ、鞄につけてくれてるんだ」
「ありがとう」
 佐藤先輩はその縫いキーホルダーを見て凄く喜ぶ。


「いや、俺キーホルダーとか持って無いから」
「鞄の目印とかに丁度良かっただけで……」
 自分の鞄と他の人の鞄を区別する為にキーホルダー等をつける事が一般的らしいのだが、そんなキーホルダーなんて俺は持っていなかった。


「このキーホルダー、あまり売ってなさそうなキャラで」
「他の人と被らないから区別しやすかったというか……」
 だから丁度良かっただけで別に何の他意も無い。
 なんて俺が言い訳をつらつらと喋っていると、


「ぁ、うん」
「それ、僕の手作りだから」
 佐藤先輩がさらっと意外な事を言う。


「ぇ、これ佐藤先輩が作ったんですか?」
 あんな料理の手際だったのに……なんてうっすら思ったが、人それぞれ得意分野はあるのか?と思い直す。


「うん、僕そういうのを昔からよく作ってたから」
「割と得意なんだ」
「かわいいでしょ」
 そんな事を言う佐藤先輩が可愛いかもしれない……なんて事は思って無い!
 俺はそんな事を思いながら貰ったつちのこのキーホルダーと佐藤先輩を交互に見つめた。


「僕、裁縫とか編み物とかが出来るから」
「新部長に選出されたんだ」
「ぇへん!」
 小さな佐藤先輩が頑張って大きく胸を張る。
 なんだか子犬かハムスターみたいに見えて来た。


「だからその腹巻も僕の手編みなんだ」
 そう言って俺の着けている腹巻きを見つめる。


「ほぅ、そうなんですね……」
「で、なんで腹巻きなんですか?」
 佐藤先輩の以外な特技を知れたというか、身に付けたというかなぜ腹巻きなのかの疑問が全く晴れていないので、改めて問いかける。


「ぁ〜、えとね」
「昨日の朝におにぎり貰った時、以外と肌寒かったから」
「昔編んだ自分用の腹巻きつけなきゃな〜なんて思ってたら」
「部活体験で鈴木くんに料理を振舞って貰っちゃったじゃん」
「だからお礼には腹巻きだ!って」
「閃いちゃったんだ」
 佐藤先輩が嬉しそうに説明してくれるが、腹巻きになるくだりがイマイチ納得出来ない。
 とは言え俺の為を思って作ってくれた事には間違い無い。
 さすがの俺でもそんな想いを無下には出来ない。


「ぁ、まぁそうなんですね……」
「ありがとう、ございます」
 なので腹巻きのお礼を少々照れくさそうに佐藤先輩に告げる。


「いえいえ」
「どういたまして〜」
「こちらこそありがとう」
 佐藤先輩は屈託のない笑顔で返してくれる。


「まぁ、それじゃあ」
「お礼も貰ってしまった事ですし」
「早速始めますよ」
 俺は恥ずかしい謎トマト腹巻きをしながら佐藤先輩に詰め寄る。


「……ぁ、はい」
 佐藤先輩は俺の顔を見て察したのか、おずおずと返事する。


 こうして俺は割烹着と三角巾をつけ、味噌汁を作る準備を始めた。

「昨日は詳しく説明せずに作ってしまったので」
「今日は説明しながら作りますね」
「よく聞いて覚えて下さい」
 俺は子犬の様に緊張し始めている佐藤先輩にそう言って作業を始める。


「まずは全ての基本、出汁の作り方からです」
「出汁は主に鰹節や昆布、煮干しなどを使って作ります」
「作る人によって様々な作り方があり、それが各家庭の味としての個性となっています」
「今日の所は基本的で簡単な所から始めていきますね」
 俺はそう説明し、佐藤先輩の方を見つめる。


「ほぇ〜、そうなんだ」
 佐藤先輩は目をくりくりさせて俺を見つめる。


「今日使うのは昆布と鰹節を使った出汁です」
「昆布は水出しと煮出しがありますが、水出しは時間がかかるので今回は煮出しでいきます」
 昆布の説明を佐藤先輩にした辺りで、


「よくあるインスタントの顆粒だしじゃだめなの?」
 素朴な疑問を俺にぶつけてくる。


「別に悪くはないです」
「忙しいときなど時間が無い時には重宝しますね」
「ただ」
「ちゃんと取った出汁の方が味の深みや雑味などの面で一段上の味わいが出せます」
「各々の事情に合わせて、と言った感じですかね」
 その佐藤先輩の疑問に俺は丁寧に答える。


「なるほど〜」
「じゃあ顆粒だしでもいいってこと、で?」
 そう言って佐藤先輩がお得意の上目遣いで攻めてきたので、


「佐藤先輩にしっかり教える、と約束したので」
「ちゃんとした出汁の取り方でいきます!」
「わかりましたか」
 俺はあえて厳し目に佐藤先輩へそう告げる。


「うっ!」
「……はい」
 俺に強めに来られておずおずと引き下がる佐藤先輩。
 こういう所が子犬っぽくて可愛らしい、いや可愛いなんて思ってない!


「とりあえず、昆布からいきますね」
「適切な分量の水と昆布を入れ、弱火に掛けます」
「その後、昆布を取り出し、軽く沸騰させたら」
「鰹節を入れて火を止めます」
「しばらく待ったら、茶こしやキッチンペーパーなどで濾して」
「出汁の出来上がりです」
 俺は手際よく作業し、出汁が出来上がる。


「凄い!」
「魔法みたい」
 佐藤先輩は俺の作業を見て色々な表情をしながら喜んでくれる。

「佐藤先輩にもいずれこれを作ってもらうんですよ」
 傍観者風にしている佐藤先輩にツッコミを入れる。


「ぁ、え?」
「ハードル高いかな〜」
 そんな事を言いながら視線を逸らす佐藤先輩。


「いずれ作って貰います!」
 逃げ腰になっている佐藤先輩に対し、強めにツッコむ俺。


「……はい」
 佐藤先輩は観念した様で静かに返事する。


「じゃあ、いよいよ味噌汁を作りますね」
 俺がそう言うと、


「はい、やった〜」
 なぜだか喜ぶ佐藤先輩。

「いや、佐藤先輩が部長なのだから立場がおかしいのでは?」
 そんな佐藤先輩に軽くツッコむ俺。


「あ、そうか」
「ぇと、じゃあ」
「鈴木くん、作ってくれたまえ」
「えへん」
 そう言ってなんだか変な返しをして来る佐藤先輩。


「いや……そう言う事では無くて」
「なんだか腹立つ、けど」
「まぁいいか」
 これ以上ツッコんで話を広げるとおかしな事になりそうな気がしたので作業を続ける事にした。


「ではこの出汁に豆腐を切って入れます」
「軽く中火で火を通したら」
「乾燥ワカメを投入し、しばらくしたら火を止めます」
「その後みそを味噌漉しや、お玉のなかでだしを少しずつ加えて溶きます」
「最後に切ったネギを入れ、軽く温めなおしたら完成です」
 こうして俺は手早く丁寧に味噌汁を作り上げた。


 コトリ

「さぁ、どうぞ」
 そう言って俺は佐藤先輩の前と自分の所に味噌汁を出し、対面に座る。


「これが……味噌汁」
 そう呟く佐藤先輩。


「いや、昨日も見てますよね」
「なんで初めて見た感じで喋っているんですか?」
 そんな佐藤先輩にツッコミを挿れる俺。


「ぁ、いや……ついね」
「てへっ」
 照れながら話す佐藤先輩。


「では」
「「いただきます」」
 そう言って俺と佐藤先輩は声を合わせる。


「いい香り……」
「ススス」
 自分で啜る音を喋りながら味噌汁を飲む独特な佐藤先輩。


「美味しい!」
「なんか……こう」
「おいしい!」
 佐藤先輩がそう叫ぶ。


「いや、美味しいしか言ってませんよ」
 そんな佐藤先輩にツッコむ俺。


「だって美味しいんだもん」
「というか……昨日より美味しい?」
「なんで?」
 不思議そうな顔で俺に問いかける佐藤先輩。


「ぁ〜」
「昨日は鰹節だけでしたから」
「今日のは昆布と鰹節の合わせ出汁なので」
「味に深みが出た、と言った所ですかね」
 その質問に対し、丁寧に解説する俺。


「美味しいよ、鈴木くん」
「凄いね、鈴木くん」
 味噌汁を飲む度に感想を言って褒めてくれる佐藤先輩。


「……大した事はしてません、よ」
 褒められすぎて少々照れる俺。
 


「いゃ!凄いよ」
「ありがとうね鈴木くん」
 何度も褒められるがまあ、悪い気分では無い。


「それにしても料理上手なんだね」
「まるで料亭みたい」
 佐藤先輩がそう言った辺りで俺はピクリと反応する。


「……そんな事ないです」
「まだ見習いですし」
 少しトーンダウンして返事する俺。


「そう言えば見習いって言っていたけれど」
「どういう事?」
 俺の態度が変わった事を見逃さず、俺にそう問いかける佐藤先輩。


「ぁ、いや」
「家が料亭で……」
「俺はそこの板前見習いで修行中なんです……」
 一瞬答えるか迷ったものの、佐藤先輩の問いに素直に答える俺。


「おお、だからこんなに美味しいんだね!」
「凄いよ鈴木くん」
 俺が板前見習いだと聞いてますます喜ぶ佐藤先輩。


「……凄くないですよ」
「家では怒られてばかりで」
「まだまだ、未熟なんですよ俺は」
 佐藤先輩の笑顔をまともに見れずに目を逸らしながらそう言う俺。


「この家庭科部に入ったのも、何か俺に足りないものを見つけれるかと」
「部活を修行に利用しようなんて言う小狡い気持ちで」
「不純な気持ちで入部したんですよ」
 そう、この家庭科部の為だとか佐藤先輩の為だとかでは無く、自分の都合で利用しようという聡い気持ちで入ったのだ。

 なんとなく佐藤先輩の前で隠し事をしたくない気持ちが何故か出て来て、つらつらと口が滑っていく俺。

「幻滅したでしょう、料理を教えるなんて言って」
「自分の修行に佐藤先輩を利用しただけなんですよ」
「俺はそう言う奴なんです」
 下を向きながら佐藤先輩に自分の聡い部分を話してしまう。
 なんでこんな事を言ってしまうのか自分でもよくわからない。

 きっと佐藤先輩は怒るか哀しむか、どちらにしろ笑顔では見てくれなくなるだろう。

 でも言わずにはいられなかった。


 ……すると、

「そっか〜」
「なら是非修行に使ってよ」
 佐藤先輩は怒りもせず哀しみもせず、笑顔のままそう答えた。

「ぇ?」
「俺は佐藤先輩を利用しようとしたんですよ?」
 予想外の返答に俺はそう返す。

「え〜?」
「いいんじゃない?」
「だって僕は毎日美味しい味噌汁が飲めて」
「鈴木くんは修行が出来る」
「ウィ〜ンウィ〜ンってやつでしょ」
 佐藤先輩は屈託のない笑顔で俺に微笑みかける。


「……」
「それを言うなら」
「ウィンウィン、ですけどね」
「ロボットダンスですよそれじゃ」
 その笑顔で場の空気が緩んだのか、俺は自然とツッコミを入れていた。


「ぁ、そっか」
「てへっ」
 あざとくウインクして舌を出す佐藤先輩。


「あと、味噌汁作ったのは」
「佐藤先輩に覚えて貰うため、ですよ」
 笑顔でごまかそうとしていたので、俺はすかさずツッコむ。


「ぁはは〜」
「そうだった、かな〜」
「鈴木くんの味噌汁が美味しすぎて忘れてた」
 すかさず俺をヨイショしてくれる佐藤先輩。


 正直褒めてくれるのは凄く嬉しい。
 家での板前修行では殆ど褒められるなんて事は無く、怒られてばかりの毎日だった。

 職人気質の祖父は自分もそうやって鍛えられてきたのか、教え方が厳しい昔ながらの修行となっている。

 最近の俺はその厳しい修行に褒められるという喜びを忘れかけていた。
 でもこの部活体験に来て、佐藤先輩に満面の笑みで褒められた時に思い出したんだ。

 自分の作ったもので喜んでくれるというその嬉しさに。


「うん、美味しい!」
「ごちそうさま」
 満足気な佐藤先輩を見て、なんだか俺は心まで暖かくなったような気がする。

「……って」
「本当になんだかお腹があったかい?」
 気がするどころでは無く、リアルにお腹がポカポカして来る俺。


「そだね〜」
「それが腹巻きの効果だから!」
 佐藤先輩がドヤ顔でそう返してくる。


「そうだった!」
 俺は佐藤先輩からプレゼントされた腹巻きをしていた事を思い出す。


「ふふっ」
「鈴木くんは味噌汁で僕のお腹を温めてくれたし」
「僕は腹巻きで鈴木くんなお腹を温めて」
「これじゃ家庭科部と言うよりは」
「お腹を幸せにする部、だね」
 佐藤先輩が上手いこと言ったでしょ、みたいな顔でこちらを見る。


「ぁ、いや」
「上手いこと言えてませんよ……」
 そんな佐藤先輩をみて俺はすかさずツッコむ。


「てへへ〜」
 佐藤先輩は俺のツッコミに照れくさそうに返す。


「まぁ、そう言う事で」
「これからもよろしく、鈴木くん」
 赤くなった顔を誤魔化す様に佐藤先輩が俺に向かってそう話す。

「ぁ、まあ」
「こちらこそ」
「よろしく……です」
 そんな佐藤先輩を見て俺は照れくさそうに返答する。


 色々あったしこれからも色々ありそうだけれど、この【君のお腹を幸せにする部】でなんとかやっていけそうな気がする。

 いや、家庭科部だけどね!

 徐々に沈み始めた太陽が二人の顔を赤く染めていた。