死神の旦那様は花嫁菓子しか食べられない 〜捨てられた霊草菓子職人は、主神様の唯一の救いになりました〜




「夕立がきそうですよ。そのお荷物で、ご実家へ行かれるんですか?」

 靴を履いていた小春に、志乃が声をかけた。その視線は小春の抱える大きな鞄へ向けられている。

「ええ。今日は少し荷物が多くて」

 小春はそう言って立ち上がり、志乃へ振り返った。

「志乃さん、ご心配ありがとうございます。では行ってきますね」

 いつも以上に丁寧な挨拶だった。満面の笑みを浮かべ軽く頭を下げる。
 その様子に、志乃はなぜか胸騒ぎを覚えた。しかし理由まではわからない。志乃は首を傾げながら、小春の背を見送った。

 けれど小春が向かった先は実家ではない。
 朔夜の勤める内務省だった。