死神の旦那様は花嫁菓子しか食べられない 〜捨てられた霊草菓子職人は、主神様の唯一の救いになりました〜




 その夜、朔夜は小春が泣いている夢を見る。
 ただひたすら、小春が声を上げて大粒の涙を流している。
 朔夜が声を上げても、それは届かない。手で小春を掴もうとして、するりと指の間を抜けていく。もどかしさで頭が狂いそうだった。

「──はっ」

 飛び起きるように目が覚める。まだ、夜は明けていなかった。
 息を乱し、額に汗が浮かんでいた。ぐっと胸の奥から不安が押し寄せる。いつもの癖で手は隣の小春を探してしまった。そして畳の冷たさで、はっと気がつく。

 小春はもういない。

 その事実を改めて思い知る。両手で頭を抱えた。

(自分から離れておいて、なんと情けない)

 眠りの浅い中、覚醒すれば小春の手を探している自分にうんざりした。

 縋ろうとするその手を離したのは自分だというのに。