死神の旦那様は花嫁菓子しか食べられない 〜捨てられた霊草菓子職人は、主神様の唯一の救いになりました〜





(私は……必要ない?)

 胸の奥が、すうっと冷えていく。
 九条はそんな小春を見つめながら、ふっと薄く笑った。

「実家にも厄介払いされたんだっけ。……なら、僕が身請けしようか? 君、野花みたいな可憐さがあるし、嫌いじゃないよ」

 神経質さを隠すような柔和な微笑み。
 その顔が恐ろしく見えて、小春は思わず後ずさった。
 その時だった。

 廊下の奥から、床を揺らすような重い足音が響いた。
 空気が一変し、九条と小春が同時に視線を向けた。

 そこに立っていたのは、怒りの雷雲を纏ったかのような朔夜だった。