あがく。もがく。

 「藤丘顔赤くなってんぞぉ~」

 「かわいいねふじもとぉ~」

 「練習なのにガチってんのかよ」

 藤丘(うらら)、私と同じ1年6組に在籍する女子だ。

話しかけてもなかなか返事しない、表情が変わらない、うじうじしている、運動音痴、顔が有名アニメのブスキャラと似ている、爪をいじっている、課題を提出しないなどの要因から、いじられ者の立場にいる。

 「麗ちゃんが過労死するぞ」

 「誰だよ、アイツを100m担当にしたヤツ」

 クラスメイト達がだんだんとピエロに見えてくる。釣り上がった目と口角を持つ白い仮面。意地悪く甲高い笑い声。

 ムカつく。ムカつく。ムカつく。ムカつく。

 この状況を声をあげて止めることに勇気を出せない他の人間にも、ムカつく。

 周りに責任転嫁して自分は悪くないように考え、結局みんなを止めずに過ごそうとする卑怯な自分を恨めしく思う。

 「嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ…」

 騒音に紛れて呟いた。




 体育直後の給食というのは、本当に急いで真剣に準備をしなければ間に合わないものである。給食当番であれば尚更だ。

 それにもかかわらず、熱中症予防の水分補給によってトイレに行かなければいけなくなった。

 しかし、トイレの近くまで来てみると、やたらと騒がしく、やたらとミント臭い。

 どうやら鏡の前に群がって、櫛で髪をとかすだの制汗シートを使うだの体育の愚痴をぶつけるだのしている陽キャどもがいるようである。

 学校のトイレというものは、どうも出入り口が狭い。目隠してきなしきり壁によってそもそもスペースが狭い上、水道とフロア唯一の鏡が設置。

 女子が3人いるだけで、もう通れなくなる。

 私のような陰キャ野郎は話しかけることもできず、スペースが空いて通れるようになるのを待つのみなのだ。

 「そろそろ戻らないとダメじゃね?」

 「それなぁ~」

 ゴソッと廊下に抜けていく。

 そもそも鏡のために教室抜けてる時点でダメだろ。お前らも給食当番だろうが。

 イライラをどうにか隠しつつ個室に入った。服を脱いだ。アレが来ていた。