その曲聴いたとき、私は泣いた。
自分を理解してくれる人がいるんだと思った。
その曲はとあるシンガーソングライターの曲で、たまたま見ていたアニメのめちゃくちゃ好みな主題歌からその人を知り、ミュージックアプリで聴いたのだ。
私好みのアップテンポなロック調で、中毒性のあるメロディ。言葉の一つ一つが今までがむしゃらにもがいてきた自分の心に突き刺さった。
そのまま、彼の曲をひたすら聞き続けた。MVと歌詞を読んだ。その度に涙が溢れた。
9月はまだまだ夏だと思う。未だに連日猛暑と紫外線に苦しまされているのだから、「もう秋になったね」なんては冗談でも言えない。
そんな9月の頭に体育祭するなんて、本当に学校側は頭がおかしいよ。
体力テストは万年Cランクなうえ体重も推奨より下の私は綱引きや色別代表になんかに選ばれるわけもなく、余り物のクラス対抗リレーメンバーになっていた。
短距離走は全国平均とほぼ同レベルだったはずなのだが、どうも文化部と運動部では走力の伸びにさがあるようで、学年で5グループに分けたら一番下のグループかなという状態。つまり、35人のクラスのなかでは劣っているということだ。
できるだけ速く走っていじりを回避するべきか、フォームに気をつけて顔をいじられるのを回避するべきか。
とりあえず全力で走った。
「心桜ちゃん速かったよ」
隣のクラスの小学時代の友人に言われた。
なに、機嫌取りでもしたいのかお前は。運動が得意なバレー部のあんたに言われたってお世辞にしか聞こえないんだよ。
ここで「そんなことないよ~」て返したらなに謙遜してるんだなんて思われそうだし「ありがとう」て返したら遅いくせに一言で調子に乗るんじゃねえよと思われそうだし、返答に困るんだよ。
「明紗ちゃんも相変わらず速いね」
どんなに心のなかで黒い気持ちが渦巻いても、それは外には見せない。これが、地獄の中学校を生き延びるための武器であり、盾だった。
