その問いに、冬乃は少しだけ考えるように雪を見る。
「……分からない」
──外へ出たい。
その感情自体が、冬乃にはよく分からなかった。
離れの外を知らないわけではない。
ただ、自分がそこへ行く理由を考えたことがない。
「でもね──」
冬乃は小さく言葉を続ける。
「伊織の話を聞くのは、嫌いじゃない」
一瞬、塀の向こう側が静かになった。
白夜がわずかに眉をひそめる。
やがて伊織は、困ったように笑った。
「……それは光栄ですね」
その声は、どこか柔らかかった。
ふと、伊織は本邸の方へ視線を向ける。
屋敷の中が、妙に慌ただしい。
普段より多い人の気配に結界に触れる霊力の流れ。
そして、張り詰めた空気。
「……そろそろ、お客様が来る時間ですね」
「伊織はお客様が誰か知ってるの?」
冬乃がぽつりと呟く。
「ええ。九条家の方だとか」
「ふーん」
九条家とは名門陰陽師の家名だ。
「……分からない」
──外へ出たい。
その感情自体が、冬乃にはよく分からなかった。
離れの外を知らないわけではない。
ただ、自分がそこへ行く理由を考えたことがない。
「でもね──」
冬乃は小さく言葉を続ける。
「伊織の話を聞くのは、嫌いじゃない」
一瞬、塀の向こう側が静かになった。
白夜がわずかに眉をひそめる。
やがて伊織は、困ったように笑った。
「……それは光栄ですね」
その声は、どこか柔らかかった。
ふと、伊織は本邸の方へ視線を向ける。
屋敷の中が、妙に慌ただしい。
普段より多い人の気配に結界に触れる霊力の流れ。
そして、張り詰めた空気。
「……そろそろ、お客様が来る時間ですね」
「伊織はお客様が誰か知ってるの?」
冬乃がぽつりと呟く。
「ええ。九条家の方だとか」
「ふーん」
九条家とは名門陰陽師の家名だ。
