氷の花嫁は愛を知らない

 玲司は静かにその様子を見ながら、このままでは危険であることを感じていた。

 屋敷どころか、周囲一帯まで凍りつきかねない。

 玲司はゆっくり冬乃へ近づくが、白夜が鋭く玲司を睨む。


「……それ以上近づくな」


 低い唸るような声。

 白夜の周囲へ冷気が走るが、玲司は足を止めない。


「暴走を抑えます。このままではあなたがたの主ごと壊れますよ」

「貴様に主様を触れさせると思うか」


 白夜が玲司の腕を掴もうとした、その瞬間。

 玲司は素早くその手首を払い落とした。


「っ!」


 その一瞬の隙で、冬乃の目の前へ膝をついていた。


「触るなと言ったであろうっ……!!」


 怒声が響き渡ると、白夜が霊力を放ちながら玲司へ手を伸ばす。

 だが玲司は持っていた鞘に入ったままの刀を一振すると攻撃を弾いた。

 そして、静かに自身の首元へ手を伸ばし小さな青い石のペンダントを取り出す。


「……応急処置程度にしかなりませんが」


 玲司はそれをはずし、そっと冬乃の首へかけると淡い青白い光が冬乃を包み込んだ。

 暴れていた霊力がほんのわずかに抑え込まれ、白夜が驚きに目を見開いていく。


「…………」


 その一方、暴走の反動で冬乃の体力は限界だった。