deathpire

 「ど、どういうことですか!?」

 僕は聞いた。ここは薄暗い部屋。それに、杉坂と名乗った人物が答える。
 「言ったとおりだ。君たちの中に、1人の殺人鬼がいる。それを探せということだよ。」
 「この中に殺人鬼が!?」 「ど、どういうつもりだよ!!」
  杉坂の言葉に、多くの人がブーイングを飛ばす。しかし、杉坂は冷静だ。
 「殺人鬼を見つけたら、戸惑いなく処刑室にあるギロチン台で始末してくれ給え。もしギロチン台で殺人鬼以外を処刑してしまったら、ここのカウンターの『5』という数字が減っていく。それだけだ。殺人鬼を処刑したら、それで終わり。ハッピーエンドだ。以上。」
 杉坂は、そう言って消えていった。何があったのか?いや、それよりも。
  「お前だろ!!」 「君でしょ!!」 「何をしているんだ!!」 「平和第一!!」
  うるさい。これじゃあ、推理なんてできないじゃないか(推理小説の見すぎ)。
 そう思ったが、まあいい。友達を探そう。 そう思った僕は、とりあえず大親友の大須賀和彦(6年4組9番)を呼ぶことにした。
  「一緒に行動しようぜ。」 「そうするか。」
 というわけで、早速始まった二人行動。いつまで経っても慣れない優介。どんな時でも明るい和彦。いつでも仲良しこよしの2人。
 「そういえば―」
 和彦が切り出した。ここらへんの言動も怪しまないとなと思った。
  「―あいつ、怪しくね?」 「あいつ?...ああ、芦川か。」
  芦川健太郎。6年4組4番。いつでも影が薄いのに、今は盛んに喋っている。確かに怪しい。
 「そうだな。」 「そうだね。」
  脳内のリストに追加しておくとしよう。だが、まず最初にすることがある。
 「ごめん。ちょっとトイレ行ってくるわ。」
 僕はそう言うと、トイレの方へ向かった。しかし、別に行きたかったわけではないのだ。少し気になるボタンがあったのだ。
  「ここ、だな。」
  そこは、杉坂のいた部屋。最初の部屋だが、もう誰もいない。
  「このスコアボード、...ん?」
  後ろから気配を感じる。足音も聞こえてくる。
  「え...?」
  怖くて振り返れない。その間にも、足音は近くなる。
 「え、ちょ...。」
  足音は最接近。僕は、あ、死んだな...。と思った。
  しかしっ!!足音は遠くなり、やがて消えた。
  「え...!?」
  僕は振り返った。しかし、そこにあったのは、延々と続く血痕のみだった。

  とりあえずまずは、血痕を追うことにした。
 血痕を追っていくと、だんだんと視界が悪くなってきた。血痕はどうやら、遥か遠くの暗い道まであるようだった。
 追うときりがなさそうだし、トイレに行っているという設定なので戻ることにした。
 (遠くで聞こえた悲鳴が気になるけれど...。)
 元いた場所に戻ると、和彦も近くを探索しているようで、「すぐもどる」という伝言があった。
 どうせボタン好きの和彦のことだ、どこかの怪しいボタンを押しているんだろうと割り切って、待つことにした。
 そして、2時間後。
 「来ないっ!!!!」
 全く来ない。しかも、そんなこんなしている間に時刻は7時を回り、腹がグーと鳴る。
 なので、とりあえず和彦は無視して、ご飯を探すことにした。
 そういえば、6年のみんなはどこへ行ったのだろう?さっきからどこにもいない。すると、近くに誰かが駆け寄ってきた。
  「いた!!ようやっといたよ!!」
  「君が大事なんだよ、君が!!」
 「いや、とりあえずなんでここにいたのかだけでも聞こうよ。」
 駆け寄ってきたのは3人。一人は僕の幼馴染、萩月愁斗(6年4組26番)。もう一人も幼馴染の榎本真里花(6年4組8番)。しかし、もう一人は名前も最近知ったばかりの影が芦川並みに薄い清武侑一(6年2組8番)だった。
 「そういえば、なんで清武君がここに?」
 僕の素朴な質問には、クラスでも活発なタイプの真里花が答えた。
  「それを今から解説するんだけれど、ええと...。現時点での『確白』なのよ。とりあえず、まずは拠点に行ってからだね!!」
  「きょ、拠点〜!?」
 乗りかかった船。

  「拠点」という名らしい小部屋には、20人程度が集まっていた。どうやら、ここは図書室のようだ。多くの人が本を囲んで話し合っている。その中には、友達も何人かいる。
 僕は、とりあえず安心したので愁斗と雑談していた。
  「ここは...?」
 「ああ、ここが拠点。ここならご飯も一定数ある。ただ問題は、寝具が無いことと、確白がまだ1人しかいないということかな。」
 「そう、それ!!確白って何なの!?」
 「ああ、人狼ゲームやっている人なら知っている人もいるかも知れないけれど、確実に味方だということ。ここでは、殺人鬼ではないと証明できる人のことをいっているn...」
 「え、どうやって証明するのソレ!?」
 「だから、この本だよ、この本。」
  そう言って取り出されたのは、一冊の薄すぎる本。8ページくらいしかないのではないか。
  「これは、証明の書だよ。俺がここを探して偶然見つけたんだけれど、『殺人鬼ではありません。』っていうところに書かれていた名前が、清武侑一、堀悠、そして岸本優介だったんだよね。だから俺は君を連れてきたんだよ。確白がいれば、警備を任せられるからね。」
  「ってことは、警備をしろと?」
 「そう。ってことで、まずは夕ごはんを食べてくれ。あっちの部屋にあるんだけど、みんなもう食べちゃったというのもあって、一人だが我慢してくれ。」
  「大丈夫だ。1人は孤独じゃない。」
  「わかった。」
 というわけで、隣の部屋へ移って、焼きそばを食べる。現時点で時刻は8時を回っている。寝る場所についても考えなくてはならないな、いや、もう寝れないな、とか考えながら食べていた。
  そして、ちらりと今はどんな感じかなと拠点を見ようとすると...。

  拠点へのドアは、消えていた。
 (つづく)