放課後、西原は部活紹介の準備があるとかで、さっさと教室を出ていった。
悠生の周りには相変わらず女子たちが群がっている。
そして、悠生はまた不機嫌な顔に戻っている。
俺はちょっと気になっていた。朝から女子に話しかけられているところしか見ていない。
もしかして、モテすぎて男子からは敬遠されてる?
そのとき、教室のうしろのドア付近がにわかに色めき立った。
「きゃっ」と女子が黄色い悲鳴を上げるのが聞こえる。入ってきたのは……真郷?!
真郷、いつの間に女子に「きゃっ」なんて言われるようになったんだ?
どっちかというと、男子から熱のこもった目で見られることのほうが多いのに。
なんて考えていると、真郷は女子たちの間をすーっと通り抜け、片手を軽く上げながら俺のところにきた。
…あ、うん、そうだよな。
と思いながら、俺も片手を上げて答えつつ、女子たちの目線の先に注目する。
入ってきたのは、見るからに一軍と思われる、2人の男子だった。
やたら顔が良い!背が高い!
2人は穏やかな笑みを崩さないまま、見つめる女子たちに手を振っている。
そのまま、不機嫌顔の悠生に躊躇なく話しかけた。
「悠生、帰ろう」
「一人だけ離れちゃったなー」
話しかけられた悠生は、やっと肩の力を抜いて「おう」と短く答えて立ち上がった。
背の高いのが3人も並ぶと、ものすごい迫力だ。
それから、悠生がふと俺のほうを見ると
「……麻人、また明日」
と、固い声で言った。
急に話しかけられたからとっさに返事ができず、
「っ!う、うん!」
やばい!なんか変な声出た。
いや、心臓に悪すぎる!
悠生はすぐに背を向けるが、2人の一軍男子は真郷と、ついでに俺に向かって
「またなー」
と手を振り、俺たちも呆気にとられながら、小さく振り返した。
彼らがキャーキャー言う女子たちを引き連れて出ていくと、教室内はあっという間に静かになった。
「なんだあれ」
ボソッと呟く。
真郷は西原の席に座って、体ごと俺のほうを向いた。
「すげーよなー、あいつら」
「真郷、同じクラス?」
「そう!ていうか、あの3人組知らねーの?」
「知らない。芸能人かなにか?」
あまりにも疎い俺に、真郷は首を横に振って「やれやれ」とわざとらしく言った。
ちょっとムッとする。
「短髪の黒髪で、前髪上げてるのが橘涼介。あの男らしい顔は憧れだよなー!」
「ふんふん」
「もう一人の、色気ムンムンなのが三枝千晴。オレ、あいつになら抱かれてもいいわー」
おーい、可愛い顔の真郷が言うと洒落にならない。
「すげー人気だよ。陽キャとはまたちょっと違うんだけど、なにせ顔がいいし」
「なんか、アイドルみたいだな」
「そうなんだよな。高嶺すぎてガチ恋ってより、俳優やアイドルみたいな感じ」
「推し活だ」
「あの余裕のある大人な感じもいいよなー」
確かに、年上の彼女とかいそうな雰囲気だ。
「それに性格もいい!俺がカバンの中身ぶちまけたらすぐ拾ってくれたし、それなのに『気にすんな』って、ずっとニコニコしてるし。仏かよって感じだわ!」
「ほう」
……真郷、カバンの中身ぶちまけたんだ
真郷は美容男子で、やたら荷物が多い。
彼女のコスメも持ち歩いてるらしいし。
「ここだけの話、橘は大学生の彼女がいるし、三枝はなんと!社会人と付き合ってるんだってさ。今日聞いた!」
やっぱり…
でも、あれ?
こうして聞くと、なんだか悠生だけちょっとイメージが違う気がする。
すると、真郷は声を低くして言った。
「あ、でも、お前のクラスの高橋悠生は愛想なくて《氷の王子》なんて呼ばれてるけどな」
「あー、うん……なんか…ぽいな」
「女子的にはそのなびかないところがいいらしいけど。まぁ、ただしイケメンに限るってやつだよ。あ!でも麻人、仲良くなったんじゃん!名前呼ばれてたし!」
うーん。
首を傾げる。
仲良くなった…のか?
ほとんど絡んでないのに、いきなり名前を呼んできた。
ちょっと変なやつ。
「麻人、高橋に彼女いるのか聞いてみてよ!」
「いやー、聞けるかなぁ」
「隣の席なんだし、話しかける機会いっぱいあるだろ?」
俺の性格を分かってるくせに、真郷はなんでもないことのように言う。
「無理無理。俺が《氷の王子》に話しかけられると思う?」
「や、無理かぁ。麻人とは人種が違うもんなぁ」
「人種ってなんだよ……」
まあでも、友達がいないのか?なんておせっかいなことを考えていたけど、杞憂のようだ。
他人事ながら、ホッと息をついた。
やっぱりイケメンはイケメン同士、つるむんだろうな。
なにか通じ合うものがあるんだろうか。
女子にモテすぎる苦労とか。
悠生の周りには相変わらず女子たちが群がっている。
そして、悠生はまた不機嫌な顔に戻っている。
俺はちょっと気になっていた。朝から女子に話しかけられているところしか見ていない。
もしかして、モテすぎて男子からは敬遠されてる?
そのとき、教室のうしろのドア付近がにわかに色めき立った。
「きゃっ」と女子が黄色い悲鳴を上げるのが聞こえる。入ってきたのは……真郷?!
真郷、いつの間に女子に「きゃっ」なんて言われるようになったんだ?
どっちかというと、男子から熱のこもった目で見られることのほうが多いのに。
なんて考えていると、真郷は女子たちの間をすーっと通り抜け、片手を軽く上げながら俺のところにきた。
…あ、うん、そうだよな。
と思いながら、俺も片手を上げて答えつつ、女子たちの目線の先に注目する。
入ってきたのは、見るからに一軍と思われる、2人の男子だった。
やたら顔が良い!背が高い!
2人は穏やかな笑みを崩さないまま、見つめる女子たちに手を振っている。
そのまま、不機嫌顔の悠生に躊躇なく話しかけた。
「悠生、帰ろう」
「一人だけ離れちゃったなー」
話しかけられた悠生は、やっと肩の力を抜いて「おう」と短く答えて立ち上がった。
背の高いのが3人も並ぶと、ものすごい迫力だ。
それから、悠生がふと俺のほうを見ると
「……麻人、また明日」
と、固い声で言った。
急に話しかけられたからとっさに返事ができず、
「っ!う、うん!」
やばい!なんか変な声出た。
いや、心臓に悪すぎる!
悠生はすぐに背を向けるが、2人の一軍男子は真郷と、ついでに俺に向かって
「またなー」
と手を振り、俺たちも呆気にとられながら、小さく振り返した。
彼らがキャーキャー言う女子たちを引き連れて出ていくと、教室内はあっという間に静かになった。
「なんだあれ」
ボソッと呟く。
真郷は西原の席に座って、体ごと俺のほうを向いた。
「すげーよなー、あいつら」
「真郷、同じクラス?」
「そう!ていうか、あの3人組知らねーの?」
「知らない。芸能人かなにか?」
あまりにも疎い俺に、真郷は首を横に振って「やれやれ」とわざとらしく言った。
ちょっとムッとする。
「短髪の黒髪で、前髪上げてるのが橘涼介。あの男らしい顔は憧れだよなー!」
「ふんふん」
「もう一人の、色気ムンムンなのが三枝千晴。オレ、あいつになら抱かれてもいいわー」
おーい、可愛い顔の真郷が言うと洒落にならない。
「すげー人気だよ。陽キャとはまたちょっと違うんだけど、なにせ顔がいいし」
「なんか、アイドルみたいだな」
「そうなんだよな。高嶺すぎてガチ恋ってより、俳優やアイドルみたいな感じ」
「推し活だ」
「あの余裕のある大人な感じもいいよなー」
確かに、年上の彼女とかいそうな雰囲気だ。
「それに性格もいい!俺がカバンの中身ぶちまけたらすぐ拾ってくれたし、それなのに『気にすんな』って、ずっとニコニコしてるし。仏かよって感じだわ!」
「ほう」
……真郷、カバンの中身ぶちまけたんだ
真郷は美容男子で、やたら荷物が多い。
彼女のコスメも持ち歩いてるらしいし。
「ここだけの話、橘は大学生の彼女がいるし、三枝はなんと!社会人と付き合ってるんだってさ。今日聞いた!」
やっぱり…
でも、あれ?
こうして聞くと、なんだか悠生だけちょっとイメージが違う気がする。
すると、真郷は声を低くして言った。
「あ、でも、お前のクラスの高橋悠生は愛想なくて《氷の王子》なんて呼ばれてるけどな」
「あー、うん……なんか…ぽいな」
「女子的にはそのなびかないところがいいらしいけど。まぁ、ただしイケメンに限るってやつだよ。あ!でも麻人、仲良くなったんじゃん!名前呼ばれてたし!」
うーん。
首を傾げる。
仲良くなった…のか?
ほとんど絡んでないのに、いきなり名前を呼んできた。
ちょっと変なやつ。
「麻人、高橋に彼女いるのか聞いてみてよ!」
「いやー、聞けるかなぁ」
「隣の席なんだし、話しかける機会いっぱいあるだろ?」
俺の性格を分かってるくせに、真郷はなんでもないことのように言う。
「無理無理。俺が《氷の王子》に話しかけられると思う?」
「や、無理かぁ。麻人とは人種が違うもんなぁ」
「人種ってなんだよ……」
まあでも、友達がいないのか?なんておせっかいなことを考えていたけど、杞憂のようだ。
他人事ながら、ホッと息をついた。
やっぱりイケメンはイケメン同士、つるむんだろうな。
なにか通じ合うものがあるんだろうか。
女子にモテすぎる苦労とか。


