始業式が滞りなく終わり、教室へ戻る。
次のホームルームまでの休み時間、西原は別クラスの友達のところへ行くと言って出ていった。
俺はトイレで鏡を確認するが、目やにもついていないし、見慣れた地味な顔が映っているだけだった。
前髪はやっぱり少し縮んでいる。
必死になでつけても直らないから諦めることにした。
悠生の机の周りには、また女子が集まっている。
朝、左腕に絡んでいたポニーテールの女子は、悠生の正面に構えている。
「ゆうせい、1年間よろしくね」
「連絡先教えて!」
「今日遊びに行かない?」
ひっきりなしに話しかけられるが、曖昧に「うーん」とか「あー」とか言って、のらりくらりとかわしている。
なんとなく気になって横目で見ていると、目が合ってしまった。
「あ」とつい声が出る。
ここで目を逸らすのも感じが悪いかと思い、二へっと中途半端な愛想笑いをすると、今度は5秒くらい見つめられた。
なんだなんだ?困ってるんだから助けろよってこと?
でもあいにく、俺には女子の集団に切り込んでいく勇気はない。
用があれば話しかけられるけど、微妙に人見知りなんだ。
直後にチャイムが鳴り、担任が教室に入ってきた。
「すげーな、あいつ」
いつの間にか戻っていた西原が、俺に顔を寄せて、悠生のほうを見ながら小声で言った。
ちらと悠生がこちらを見た気がして、俺は頷きそうになったのを堪えた。
ホームルームが始まり、新年度の連絡事項を済ませると、担任が手をたたいた。
「さーて、自己紹介するぞ!」
あちこちから「え〜」「やだ〜」とブーイングがあがる……が、担任は有無を言わせないと言うように腕を組んでいる。
そうだよな…必須イベントだよな。
自己紹介、苦手なんだよな〜
そもそも得意なやついる?何しゃべったらいいか分からないし、無駄に声が震えるし。
そう思っていると、無難に名前と「よろしくお願いします」を言うだけの自己紹介が始まった。
「彼女募集中〜」なんて言ってるのは陽キャなんだろう。
名前を覚える気も、覚えさせる気もない、簡単な自己紹介を聞き流していると、あっという間に西原の番だ。
西原は立ち上がって
「西原裕貴で〜す。恋人はいませ〜ん。男でも女でも、可愛い顔の人がタイプです。我こそはと思う人、いつでも待ってま〜す」
と、いかにもチャラい自己紹介をした。
一気に和やかな雰囲気になる。
え!次、俺の番なんだけど。
西原の後はちょっと……いや、かなり嫌だ。
ドキドキしながら席を立つ。
顔だけ俺に向けて、いたずらが成功した子供のようにニシシと笑う西原を睨みつけながら、やや小さめの声を出す。
「春田麻人です。よろしくお願いします」
よし、声が震えだす前に言い切った!
が、さっきまで和やかな雰囲気だっただけに、俺の自己紹介に教室が白けたような気がする。
まばらな拍手の中「…えっ!」という微かな驚きの声が聞こえた。
教室の反応を見るに、俺にしか聞こえなかったらしい。
立ったままそっと右隣を振り向くと、目を見開いて俺を見つめる悠生がいた。
次のホームルームまでの休み時間、西原は別クラスの友達のところへ行くと言って出ていった。
俺はトイレで鏡を確認するが、目やにもついていないし、見慣れた地味な顔が映っているだけだった。
前髪はやっぱり少し縮んでいる。
必死になでつけても直らないから諦めることにした。
悠生の机の周りには、また女子が集まっている。
朝、左腕に絡んでいたポニーテールの女子は、悠生の正面に構えている。
「ゆうせい、1年間よろしくね」
「連絡先教えて!」
「今日遊びに行かない?」
ひっきりなしに話しかけられるが、曖昧に「うーん」とか「あー」とか言って、のらりくらりとかわしている。
なんとなく気になって横目で見ていると、目が合ってしまった。
「あ」とつい声が出る。
ここで目を逸らすのも感じが悪いかと思い、二へっと中途半端な愛想笑いをすると、今度は5秒くらい見つめられた。
なんだなんだ?困ってるんだから助けろよってこと?
でもあいにく、俺には女子の集団に切り込んでいく勇気はない。
用があれば話しかけられるけど、微妙に人見知りなんだ。
直後にチャイムが鳴り、担任が教室に入ってきた。
「すげーな、あいつ」
いつの間にか戻っていた西原が、俺に顔を寄せて、悠生のほうを見ながら小声で言った。
ちらと悠生がこちらを見た気がして、俺は頷きそうになったのを堪えた。
ホームルームが始まり、新年度の連絡事項を済ませると、担任が手をたたいた。
「さーて、自己紹介するぞ!」
あちこちから「え〜」「やだ〜」とブーイングがあがる……が、担任は有無を言わせないと言うように腕を組んでいる。
そうだよな…必須イベントだよな。
自己紹介、苦手なんだよな〜
そもそも得意なやついる?何しゃべったらいいか分からないし、無駄に声が震えるし。
そう思っていると、無難に名前と「よろしくお願いします」を言うだけの自己紹介が始まった。
「彼女募集中〜」なんて言ってるのは陽キャなんだろう。
名前を覚える気も、覚えさせる気もない、簡単な自己紹介を聞き流していると、あっという間に西原の番だ。
西原は立ち上がって
「西原裕貴で〜す。恋人はいませ〜ん。男でも女でも、可愛い顔の人がタイプです。我こそはと思う人、いつでも待ってま〜す」
と、いかにもチャラい自己紹介をした。
一気に和やかな雰囲気になる。
え!次、俺の番なんだけど。
西原の後はちょっと……いや、かなり嫌だ。
ドキドキしながら席を立つ。
顔だけ俺に向けて、いたずらが成功した子供のようにニシシと笑う西原を睨みつけながら、やや小さめの声を出す。
「春田麻人です。よろしくお願いします」
よし、声が震えだす前に言い切った!
が、さっきまで和やかな雰囲気だっただけに、俺の自己紹介に教室が白けたような気がする。
まばらな拍手の中「…えっ!」という微かな驚きの声が聞こえた。
教室の反応を見るに、俺にしか聞こえなかったらしい。
立ったままそっと右隣を振り向くと、目を見開いて俺を見つめる悠生がいた。


