大荷物(バケツいっぱいに雑巾が入っている)を持った使用人の女が入ってくる。
梅「…奥様!」
梅、櫻子に駆け寄る
梅「奥様!いかがされましたか?どこか具合が悪いでしょうか?」
櫻子、びっくりして涙が止まる
梅「どうしましょう。この梅、医学の心得がなく…そうだ!こちらお庭の枇杷にございます!甘くて美味しゅうございますので、きっと奥様もお気にめ…」
梅「奥様…?」
櫻子「…ふ、あははははは」
櫻子、梅の慌てぶりを見て吹き出す
梅、頭にクエスチョンマークが浮かぶ
櫻子、しばらくお腹を抱えて笑い、笑い泣きした涙を拭いて梅に向き直る
櫻子「あなたお名前は?」
梅「う、梅と申します!」
櫻子「そう、梅。ここは旦那様の書斎だと聞いているけど、あなたは入っても大丈夫なの?」
梅、辺りを見回して青ざめる
梅「もももも、申し訳ございません!書斎から大きな音と呻き声のようなものが聞こえ、奥様に何かあったのかと思い…」
櫻子、梅の頬に優しく手を当てる
櫻子「ふふ、怯えないでください。少し意地悪をしただけです。ここには私以外おりませんから、問題ありません」
櫻子「それに、久しぶりにこんなに笑わせてもらいました。ありがとうございます」※にこやかな表情(女性でも見惚れるくらい綺麗)
梅、顔を赤くし、俯く
梅「…も、勿体無いお言葉でございます」
櫻子モノ「日向と同じくらいの子だろうか」
梅「まさか、奥様がこんなにお綺麗でお優しい方だとは…」
櫻子「?」
梅「お噂では財産目的で旦那様に近づいた卑怯な女だと…お顔も般若のような形相で…」
櫻子「…それは私のことでしょうか?」
梅、ハッとした表情
梅「ももも申し訳ありません!つい口が…余計な口は聞くなとあれほど…」
梅、自分の頭をぽかぽか殴る
櫻子(心)「この子はこの調子で大丈夫だろうか…」※呆れている
梅「梅は断じてそんなふうには思っておりません!
櫻子「疑っていませんよ。先ほど本気で私の身を案じてくれていたのが伝わっていますので」
梅「お、奥様…!」
櫻子、梅がひっくり返したバケツと大量の雑巾に目をやる
櫻子「ところで、その大量の雑巾をどうするのですか?」
梅「わわわ、すぐに片付けます!」
梅、バケツの中に雑巾を投げ込んでいく
櫻子「こんなに大量の雑巾、あなた一人で使うのですか?」
梅「そ、それは…」※暗い表情
梅「私が要領が悪いのがいけないんです。やること全て時間がかかってしまうので、それで…」
櫻子「他の方の雑巾も一緒に洗っているのですね」
梅、こくんとうなづく
櫻子「…そうだ!これからこんな時は私にもお手伝いさせてください」
梅「え?」
櫻子「私もこれからしばらくずっとお勉強しかやることがなくて、退屈なんです。お手伝いする代わりに私の話し相手になってくれませんか?毎日このくらいの時間には終わるはずなので」
梅「お待ちください!奥様にそんなことさせられません!」
櫻子「あら、こう見えて家事は得意なんですよ?もし怒られたら私に無理やり連れられたと言って
梅「…わかりました。でも、お洗濯は手が荒れてしまうのでお任せできません」
櫻子「梅…」
梅「なので、奥様のお部屋でお洗濯をさせていただいてよろしいですか?もちろん、お部屋を汚さないようにお庭で!これなら奥様とお話しできます」
櫻子「それじゃあただ梅の手間になってしまいます」
梅「そんなことありません!梅は奥様と話できるのが嬉しいのです!退屈なお洗濯の時間が楽しみに変わります!」
櫻子「…そう、ですか。では、お言葉に甘えます。ありがとうございます、梅」
梅「はい!」※満面の笑み
時間経過
◆夕方 自室(周防邸)
櫻子、手紙を書いている
櫻子モノ「それから梅は時間を見つけて私を訪ねてくれるようになった」
梅、縁側でほつれた着物を直している
梅「奥様、お手紙ですか?どなたへ?」
縁側から櫻子の手元を覗くようにしている
櫻子「ええ、日向への手紙です」
櫻子「そんなことしないでこちらにきたらいいのに」
梅「それはできません!いくら奥様に許していただいても、見つかればどんなお仕置きを受けるか…」※怯えた様子で
櫻子「そう…」※しょんぼりした様子で
梅「そ、そういえば日向様とは奥様の弟君ですよね?そんなにマメに便りを送るとは仲が良いのですね」
櫻子「…そうですね。仲はいいと思います」※暗い表情
櫻子モノ「手紙を出しても返事が来ない。ちゃんと届いているのだろうか。なにか便りを送れない状態なのか」
櫻子モノ「ただ無事を祈ることしかできない今がもどかしい」
梅「…奥様?」
櫻子「なんでもありません。梅、この手紙を出しておいていただけますか?」
便箋を封筒に入れ、梅に差し出す
梅「お安い御用でございます!日向様もさぞお喜びになるでしょうね!」
櫻子「そうね…」※不安そうに微笑む
◆夜 国親の書斎(櫻子に使用許可を出していない方の書斎)
護衛「国親様、奥様が梅に持たせた手紙でございます」
護衛、国親に手紙を渡す
国親、受け取り一瞥
国親「…届けておけ」
護衛「は」
出て行かない様子
護衛「…」
国親「まだ何か?」
護衛「その、良いのですか?奥様…櫻子様は一度旦那様に刃を向けております。手紙で外の人間とやり取りをするなど…」
国親、護衛の片手で護衛の首を持ち、壁に押さえつける
国親「私がいいと言ったらいいのだ」
国親「一つ忠告しておく」
国親「このことが外部に漏れた瞬間、お前の首が飛ぶと思え」
国親、護衛の首から手を離す
護衛「………っ、…御意」※息を切らしながら
梅「…奥様!」
梅、櫻子に駆け寄る
梅「奥様!いかがされましたか?どこか具合が悪いでしょうか?」
櫻子、びっくりして涙が止まる
梅「どうしましょう。この梅、医学の心得がなく…そうだ!こちらお庭の枇杷にございます!甘くて美味しゅうございますので、きっと奥様もお気にめ…」
梅「奥様…?」
櫻子「…ふ、あははははは」
櫻子、梅の慌てぶりを見て吹き出す
梅、頭にクエスチョンマークが浮かぶ
櫻子、しばらくお腹を抱えて笑い、笑い泣きした涙を拭いて梅に向き直る
櫻子「あなたお名前は?」
梅「う、梅と申します!」
櫻子「そう、梅。ここは旦那様の書斎だと聞いているけど、あなたは入っても大丈夫なの?」
梅、辺りを見回して青ざめる
梅「もももも、申し訳ございません!書斎から大きな音と呻き声のようなものが聞こえ、奥様に何かあったのかと思い…」
櫻子、梅の頬に優しく手を当てる
櫻子「ふふ、怯えないでください。少し意地悪をしただけです。ここには私以外おりませんから、問題ありません」
櫻子「それに、久しぶりにこんなに笑わせてもらいました。ありがとうございます」※にこやかな表情(女性でも見惚れるくらい綺麗)
梅、顔を赤くし、俯く
梅「…も、勿体無いお言葉でございます」
櫻子モノ「日向と同じくらいの子だろうか」
梅「まさか、奥様がこんなにお綺麗でお優しい方だとは…」
櫻子「?」
梅「お噂では財産目的で旦那様に近づいた卑怯な女だと…お顔も般若のような形相で…」
櫻子「…それは私のことでしょうか?」
梅、ハッとした表情
梅「ももも申し訳ありません!つい口が…余計な口は聞くなとあれほど…」
梅、自分の頭をぽかぽか殴る
櫻子(心)「この子はこの調子で大丈夫だろうか…」※呆れている
梅「梅は断じてそんなふうには思っておりません!
櫻子「疑っていませんよ。先ほど本気で私の身を案じてくれていたのが伝わっていますので」
梅「お、奥様…!」
櫻子、梅がひっくり返したバケツと大量の雑巾に目をやる
櫻子「ところで、その大量の雑巾をどうするのですか?」
梅「わわわ、すぐに片付けます!」
梅、バケツの中に雑巾を投げ込んでいく
櫻子「こんなに大量の雑巾、あなた一人で使うのですか?」
梅「そ、それは…」※暗い表情
梅「私が要領が悪いのがいけないんです。やること全て時間がかかってしまうので、それで…」
櫻子「他の方の雑巾も一緒に洗っているのですね」
梅、こくんとうなづく
櫻子「…そうだ!これからこんな時は私にもお手伝いさせてください」
梅「え?」
櫻子「私もこれからしばらくずっとお勉強しかやることがなくて、退屈なんです。お手伝いする代わりに私の話し相手になってくれませんか?毎日このくらいの時間には終わるはずなので」
梅「お待ちください!奥様にそんなことさせられません!」
櫻子「あら、こう見えて家事は得意なんですよ?もし怒られたら私に無理やり連れられたと言って
梅「…わかりました。でも、お洗濯は手が荒れてしまうのでお任せできません」
櫻子「梅…」
梅「なので、奥様のお部屋でお洗濯をさせていただいてよろしいですか?もちろん、お部屋を汚さないようにお庭で!これなら奥様とお話しできます」
櫻子「それじゃあただ梅の手間になってしまいます」
梅「そんなことありません!梅は奥様と話できるのが嬉しいのです!退屈なお洗濯の時間が楽しみに変わります!」
櫻子「…そう、ですか。では、お言葉に甘えます。ありがとうございます、梅」
梅「はい!」※満面の笑み
時間経過
◆夕方 自室(周防邸)
櫻子、手紙を書いている
櫻子モノ「それから梅は時間を見つけて私を訪ねてくれるようになった」
梅、縁側でほつれた着物を直している
梅「奥様、お手紙ですか?どなたへ?」
縁側から櫻子の手元を覗くようにしている
櫻子「ええ、日向への手紙です」
櫻子「そんなことしないでこちらにきたらいいのに」
梅「それはできません!いくら奥様に許していただいても、見つかればどんなお仕置きを受けるか…」※怯えた様子で
櫻子「そう…」※しょんぼりした様子で
梅「そ、そういえば日向様とは奥様の弟君ですよね?そんなにマメに便りを送るとは仲が良いのですね」
櫻子「…そうですね。仲はいいと思います」※暗い表情
櫻子モノ「手紙を出しても返事が来ない。ちゃんと届いているのだろうか。なにか便りを送れない状態なのか」
櫻子モノ「ただ無事を祈ることしかできない今がもどかしい」
梅「…奥様?」
櫻子「なんでもありません。梅、この手紙を出しておいていただけますか?」
便箋を封筒に入れ、梅に差し出す
梅「お安い御用でございます!日向様もさぞお喜びになるでしょうね!」
櫻子「そうね…」※不安そうに微笑む
◆夜 国親の書斎(櫻子に使用許可を出していない方の書斎)
護衛「国親様、奥様が梅に持たせた手紙でございます」
護衛、国親に手紙を渡す
国親、受け取り一瞥
国親「…届けておけ」
護衛「は」
出て行かない様子
護衛「…」
国親「まだ何か?」
護衛「その、良いのですか?奥様…櫻子様は一度旦那様に刃を向けております。手紙で外の人間とやり取りをするなど…」
国親、護衛の片手で護衛の首を持ち、壁に押さえつける
国親「私がいいと言ったらいいのだ」
国親「一つ忠告しておく」
国親「このことが外部に漏れた瞬間、お前の首が飛ぶと思え」
国親、護衛の首から手を離す
護衛「………っ、…御意」※息を切らしながら

