ずっと一緒に

「そうだね、ちゃんと晴れてたら行こうかなって。近くの森で見に行きたい場所があってさ」
 スマホを取り出して、最近見かけたブログを俊樹は表示した。
 旅行がてら昆虫採集などをしている人のものらしきそこには、確かに近隣の森の情報が書かれていた。
「ほら、これ。この子はまだ僕も見たことがないから、ちょっと見てみたくてさ」
 見せられた画面を覗き込んで、陽道は少しだけ、険しい顔をした。
 ああ、と俊樹は笑顔を作ってみせる。
「この子は基本的に朽ち木の中にいるから、地面に落ちてる木を見て回る感じなんだよね。ちょっと探すのには苦労しそうなんだけど、だからこそ見つけてみたいんだよねぇ」
 地面を探して回る、という話を聞いて、陽道は見るからに表情を和らげた。
 その様子を見て、俊樹も内心、ホッとする。
 これでもし、少しでも高いところにいる虫を探すのだと言ったら、きっと陽道は苦言を呈していたはずだ。
「見つかるといいな」
 すぐにからっと笑って見せた陽道からは、先程の険しさは少しも感じられない。
 そうして明るく振舞ってくれる方が、俊樹としても嬉しかった。
 ……今朝も見た、かつての記憶。
 懐かしく、最悪の結果に終わってしまった、苦い思い出。
 陽道と2人で毎日のように遊んでいたあの秘密基地に行かなくなってから、もう、10年以上が経つだろうか。
 思い返すだけで、腕の傷が疼くような気がした。
「そういや話は変わるんだけど、聞いたか? 転校生の話」
「転校生?」
 首を傾げる俊樹に、陽道は頷いた。
「クラスのやつらがさ、噂してたんだよ。なんか今の時期になって転校生が来ることになった、って」
「へぇ」
「……興味なさそうだな」
「いや、ないわけじゃないけど……」
 陽道の指摘は概ね正しかった。
 大して興味がないのは事実であり、俊樹としては、どんな人であっても迷惑をかけてこないならそれでいい、ぐらいの気持ちでしかなかった。
「相変わらず、友達作りたがらないよな、俊樹は」
「別に作りたくないわけじゃないよ」
「それは分かってるけどさ」
 分かっていない。