たどり着いた頃にはまだ授業時間の真っ最中であり、昇降口はとても静かだった。
廊下にも誰もおらず、なんとなく、人目につかないようにこっそりと、俊樹は自分の教室へと歩いて行った。
そうして進む中、チャイムが鳴り響き、あちこちから椅子を引く音が一斉に響いてきた。
教室の扉が開き、先生たちが廊下から職員室へと戻って行く。
そんな中、咄嗟に俊樹は隠れるようにトイレへと逃げ込んでしまった。
今のうちに教室に戻れば悪目立ちもしないで済むはずだが、なんとなく、廊下で先生たちと鉢合わせるのは少し、気まずいような気がしたのだ。
個室に入って、ホッと、息を吐く。
少ししたら出て、そのまま教室に向かおう。
そう思っていたところ、不意に、聞き覚えのある声がして、俊樹は思わず息を潜めた。
「そろそろ来る頃だと思うんだけどな」
「休んじゃってもいいのにわざわざ来るなんて、物好きだねぇ」
陽道と夕が、一緒に入ってきたようだった。
特に隠れる必要もないというのに、そのまま、俊樹は個室に入ったままでいた。
さっさと出てしまえばいいだけのことだというのに、どうにも、タイミングを逸してしまった。
盗み聞きをするつもりでもなかったのに、2人の会話は進んでいく。
「……まあ、どうしても来たい理由があったんだろ」
含みを持たせた陽道の言葉は、十中八九、夕に関することについてだ。
しかし言われた当の本人は、まるでピンと来ていない様子だった。
「そんなことあるのかなー。学校なんて休めるなら休みたくない?」
「まあ、それはそうかもしれないけどな」
「だよねぇ。実際、風邪とかで休むってなると全然何もできなかったりするから、ひたすら暇でしょうがないし、つまんないってのも分かるけどね。俊樹、元気になったのかなー」
「たぶん大丈夫だと思うぞ。熱もすっかり引いたって言ってたし」
「ならいっか。あとは来たら本人に聞こーっと」
言葉の端々から感じる気遣いに、嬉しくなる。
と、同時に、彼と夢の中の少年は、やはり別人なのでは、という思いが強くなっていった。
あの邪悪さを含んだ姿と、楽しそうに会話をしながらも心配を口にする夕が、どうにも、繋がらない。
もし違うのだとしたら、あれは、一体……?
「あ、そういえばさ」
俊樹が考え込んでいると、不意に、夕が話題を変えるように言った。
「明日、結局どうしようか?」
廊下にも誰もおらず、なんとなく、人目につかないようにこっそりと、俊樹は自分の教室へと歩いて行った。
そうして進む中、チャイムが鳴り響き、あちこちから椅子を引く音が一斉に響いてきた。
教室の扉が開き、先生たちが廊下から職員室へと戻って行く。
そんな中、咄嗟に俊樹は隠れるようにトイレへと逃げ込んでしまった。
今のうちに教室に戻れば悪目立ちもしないで済むはずだが、なんとなく、廊下で先生たちと鉢合わせるのは少し、気まずいような気がしたのだ。
個室に入って、ホッと、息を吐く。
少ししたら出て、そのまま教室に向かおう。
そう思っていたところ、不意に、聞き覚えのある声がして、俊樹は思わず息を潜めた。
「そろそろ来る頃だと思うんだけどな」
「休んじゃってもいいのにわざわざ来るなんて、物好きだねぇ」
陽道と夕が、一緒に入ってきたようだった。
特に隠れる必要もないというのに、そのまま、俊樹は個室に入ったままでいた。
さっさと出てしまえばいいだけのことだというのに、どうにも、タイミングを逸してしまった。
盗み聞きをするつもりでもなかったのに、2人の会話は進んでいく。
「……まあ、どうしても来たい理由があったんだろ」
含みを持たせた陽道の言葉は、十中八九、夕に関することについてだ。
しかし言われた当の本人は、まるでピンと来ていない様子だった。
「そんなことあるのかなー。学校なんて休めるなら休みたくない?」
「まあ、それはそうかもしれないけどな」
「だよねぇ。実際、風邪とかで休むってなると全然何もできなかったりするから、ひたすら暇でしょうがないし、つまんないってのも分かるけどね。俊樹、元気になったのかなー」
「たぶん大丈夫だと思うぞ。熱もすっかり引いたって言ってたし」
「ならいっか。あとは来たら本人に聞こーっと」
言葉の端々から感じる気遣いに、嬉しくなる。
と、同時に、彼と夢の中の少年は、やはり別人なのでは、という思いが強くなっていった。
あの邪悪さを含んだ姿と、楽しそうに会話をしながらも心配を口にする夕が、どうにも、繋がらない。
もし違うのだとしたら、あれは、一体……?
「あ、そういえばさ」
俊樹が考え込んでいると、不意に、夕が話題を変えるように言った。
「明日、結局どうしようか?」
