ずっと一緒に



「はっ……!」
 夢から覚めて、俊樹は慌てて起き上がった。
 左腕を見て、ホッと息を吐く。
 昨日折られたままの状態で、二の腕の木肌は変わっていないようだった。
 慌ててスマホを手に取り、先程の夢のことを陽道に確認しようとして、今度は全く違うことに驚いてしまった。
 時計はすでに9時過ぎを指しており、両親や陽道たちからのメッセージが大量に届いていた。
『おばさんが起こしても起きないって言ってたから、まだ体調悪そうだし、先生には休むって伝えとくな』
 陽道からのメッセージを見て、俊樹はため息を吐いた。
 体調は、悪くない。
 相変わらず腕は痛みがあったが、昨日枝を折ってもらった直後からすれば、ずいぶんとマシになっていた。
 熱もなさそうだし、学校に行くことも問題はなさそうだった。
 思っていた以上に参っていたのか、あるいは、体が限界を迎えていたのか、理由は分からないものの、陽道と別れてから、ずっと眠りこけていたらしい。
 全く起きられなかったことは予想外だったが、今からでも学校に行くべきだろうか。
 おそらくは、このまま、休んでいても許されるだろう。
「……やっぱ、行こう、かな」
 授業を受けるのは面倒だったけど、それよりも、陽道に会いたかった。
 夕とも話もしたいところだし、もしかしたら、先に昨日の話を陽道がしてくれているかもしれない。
 2人に会うためにも、今日は学校に行くべきだ。
 何より、今日は金曜。このまま休んでしまったら土日を挟むことにもなる。
『体調も良くなったし、遅れて行くことになりそうって先生に伝えてもらえる?』
 陽道にメッセージを送ると、了解したことを示すスタンプが返ってきた。
 これでよし、と頷いて、俊樹は自分の恰好を改めて見て、またため息を吐いた。
 陽道のおかげで、すっきりした気分で寝られたのは良かったものの、着替えることをすっかり失念していたため、俊樹は片腕のないスウェットを着たままだった。
 雨のせいもあって肌寒い夜だったというのに、よく風邪が悪化しなかったものだ。
 そんなことを思いながらスウェットを脱ぎ捨てて、俊樹は固まった。
 自分の体を見て、愕然とする。
 確かに枝は、伸びていなかった。
 木肌もそのままではあった。
 しかし、そこから明らかに、体の内側に広がっている、何かがあった。
 皮膚の下に広がる、線状の何か。
 木肌の下から放射状にうねっている、いくつもの膨らみ。
 まるで、根を張っているかのようなその広がりに、俊樹は寒気がした。
 表に出る形ではなかったけど、それでも、やはりこの木は何かしらの成長をしていた。
 あの夢を見る度に、こうやって、大きくなるのだろうか?
 今の状態を成長してるいと言うべきかは分からなかったが、それでも、体の中で変化が起きているのは間違いなさそうだった。
 これもまた、陽道に相談すべきだろう。
 そんなことを思いながら、俊樹は急いで制服に着替えて、家を飛び出した。
 いつもなら2人で歩いている道を、1人だけで進む。
 時間帯も違うことから、大きな違和感を覚えつつも、気付かないうちに早足で、俊樹は学校へと向かっていた。