ずっと一緒に

 最初に見た、木に飲まれる夢。
 あの時から、彼はずっと、変わってなどいないじゃないか。
 最初から十全に、彼は自らの主張を続けていたに過ぎなかった。
 陽道と話したことで、気が大きくなっていたのかもしれない。
 あるいは、対話ができる相手だと、勘違いしてしまったのかもしれない。
 深い後悔を抱きながら、俊樹はもう何かを考えることすらできないままに、ぼんやりと、少年を見つめていた。
 彼は変わらず嬉しそうに笑っている。
 でも、その姿に少しだけ、違和感があった。
 何かが、変だ。
 こちらを見て嬉しそうにしている姿は、先程から変わっていない。
 であれば、自分は一体、何に違和感を覚えているのだろうか。
 不思議に思っている俊樹の横で、がさがさと、物音がした。
 誰かがこちらにやってくるような、草を掻き分ける音だ。
「……俊樹」
 視界の外で、何度も聞いた声がした。
 良く知っている声だ。
 その声で呼ばれるだけで、少し嬉しくなる、大好きな声だ。
 ああ、そうか。
 ようやく分かった、違和感の正体。
 少年は笑いながら、木に飲まれていく俊樹を見ているわけではなかったのだ。
 わずかにずれた、彼の視線の先。
 彼が見ていたのは、俊樹の方に歩いて来る、もう1人の存在のことだった。