ずっと一緒に

 口で物を言えないから、こういった行動で示すことしか、彼はできないのではないだろうか?
 これまでの出来事から、そんな予想を立ててみた。
 もしそうなのだとしたら、何か、力になれることがあるかもしれない。
 陽道は覚えていないようだったけど、ここを見つけるきっかけをくれたのが彼なのだとしたら、その恩返しがしたい。
 陽道と今も一緒にいられるのは、ここに来るようになったからだ。
 ここで2人で過ごす時間があったからこそ、陽道は今も隣にいてくれて、これからもずっと一緒にいてくれると言ってくれた。
 そのきっかけをくれたのは、間違いなく、彼なのだ。
「僕は、君に感謝しないといけない。僕らの関係を作ったのは、間違いなく、君なんだ」
 もしかしたら、陽道とは小学生のうちに、すぐに疎遠になっていたかもしれない。
 互いに趣味が違っていったことも考えると、一緒にいられなくなるのは、時間の問題だったのだろうと思う。
 今の関係性がないままであったのなら、きっと朝に並んで登校することも、お昼を並んで食べるだとか、ましてや、同じ高校に通うなんてことも、なかったはずだ。
 全てのきっかけに、あの日の出来事がある。
 それは悲しい事故であって、互いを縛るようなものでしかなかったけど、それでも、互いを手放さないための楔にもなっていた。
 感謝の気持ちを抱くのはおかしなことかもしれないけれど、でも、俊樹にとっては、何よりも大切なことだった。
「だから、君にも、何か、返してあげたい。君が望むことがあるなら、僕にできることで、力になってあげたいと思うよ」
 俊樹がそう言って笑った、直後だった。
 少年は、唐突に満面の笑みを浮かべると、顔を上げて、俊樹の左腕を指さした。
 二の腕を指さす彼の視線を追うようにして、俊樹が見ると、そこには、昨日折られたはずの枝が、大きく伸びてきていた。
「なん、で……?」
 困惑する俊樹をよそに、枝はどんどんと成長を続けていく。
 葉はつけないままに、伸び続けていく木が少しずつ、俊樹の体を飲み込んでいった。
 もはや我慢できるようなものではない痛みが、体のあちこちからしていた。
 叫ぼうにもすでに、力を入れることすらできやしない。
 少年は嬉しそうに、とても嬉しそうに笑っていた。
 これこそが望むことだと言わんばかりに、こうなることが望みだと説くように、彼はとても満足そうに笑っていた。
 その笑顔を見て、ああそうだった、と理解する。