ずっと一緒に

 そんな願いを込めて、俊樹が口を開きかけた、その時だった。
「……」
 少年が静かに、腕を上げた。
 肩の高さにまで上げられた右腕から、俊樹に対して掌を向け、少年はまたじっと固まってしまった。
 こちらに向かって、何かを頂戴と言っているようにも、何かをあげると差し出しているかのようにも見えたが、彼の掌は空っぽだった。
 何を、と身構える俊樹の視界のほとんどが、少年の手から飛び出した何かにいっきに覆われた。
 固いざらざらとした感触の何かが、俊樹の体を絡め取り、視界を埋め、身動きを取れなくしていく。
 何もなかった少年の手から生えるようにして、木が襲い掛かってきていた。
 木の成長に巻き込まれるようにして、俊樹の体が絡め取られていく。
 腕が動かせなくなった。
 足があらぬ方向に捻じ曲げられた。
 首が絞めつけられ、視界の大半が育ち続ける樹木に覆われていった。
 痛みと苦しみにもがこうとしても、動かそうとする体の端から、全てが自然に飲み込まれていく。
 どうすることもできないままに、俊樹の体はどんどんと、少年から生える木に包まれていってしまった。
 何が起きているのか、把握することもできないままに、俊樹はかろうじて残った左目で、少年を見た。
 わずかに最後に残った視界の中、少年は俊樹と目を合わせ、とても満足そうに、にっこりと笑うのだった。