ずっと一緒に

 また、なんだ、と。
「また生えてきたらさ……俺が、また、どうにかしてやるからさ。だから、すぐに言ってくれよ、な。俺がさ、ずっと、なんとかしてやるからさ……」
 あの事故の日のすぐ後だ。
 大きな傷跡が二の腕に残った俊樹を見て、陽道は泣きながら言った。
「ごめん、ごめんな……! 俺が、俺がなんでもするから! 俊樹のこと、ずっと助けるから! 何かあったら、すぐに言ってくれ! ずっと一緒だ、ずっと隣にいるから、いつでも、お前を、助けてやれるように……!」
 腕に引き攣るような痛みが走ることも、そのせいで左腕全体が動かしにくいことも、陽道は全て受け入れて、自分が起こしたと思い込んでいる事故の責任を、取ろうとし続けてくれた。
 そしてまた、今も、俊樹の抱える苦痛に対して、背負おうとしてくれているのだ。
 1人で抱え込むしかないと思っていた俊樹に、隣にいると、ずっと、どんなことをしてでも共にいてくれると、彼は行動で示してくれたのだ。
「陽道……」
 転がったままに、俊樹は右手を伸ばして、陽道の頬に触れた。
 次々に零れてくる涙の雫を親指で拭ってあげながら、俊樹は小さく笑って見せた。
「ありがとう。陽道に相談して、良かったよ」
 きっと、自分1人だけでは、こんな決断はできっこなかった。
 苦しみながら部屋に引きこもったりして、どうにもならないままに、痛みに耐えかねて、自死を選んでいたかもしれない。
 不気味がったり、怖がったりして、陽道が離れていくだなんて、とんでもない想像すらもしていた自分が恥ずかしかった。
 腕から感じる凄まじい痛みも、なんだか、愛おしく思える。
 陽道が自分のために、全てをかけて、助けてくれると誓ってもらった証のような気さえした。
「……こんなことしかできなくて、ごめんな」
「ううん、僕だったら、こんなこと言われてもたぶん、何もできないよ」
 優しく頬を撫でる俊樹の手を取って、陽道はもう1度だけ「ごめん」と呟くと、目元を拭って、倒れたままでいる俊樹をそっと抱き起こした。
「座れるか?」
「うん、大丈夫」
 改めてベンチに腰を下ろして、敏生は左腕を見た。
 根本から少し先を残した状態で、枝はすっかり折り取られていた。
 断面は乾いていて、どことなく、枯れ木のようにも見える。
 折った先の枝は未だに陽道の手に握られていたが、そちらの質感もどことなく、枯れ枝のような感じで、生命の瑞々しさが感じられなかった。