ずっと一緒に

 その全てが、今、こうして俊樹を苦しめる姿になって現れたと、陽道は考えている。
 俊樹には、それが全て、今の一言で、分かってしまった。
「俺がまた、お前に背負わせちまったんだ。だから、こんなことになった」
「それは――」
「ごめんな……全部、代わってやれたら、1番いいんだけど」
「そんなの、僕が嫌だよ!」
 陽道が傷ついてほしいだなんて、思ったこともない。
 痛い想いを自分の代わりにしてほしいだなんて、考えたことすらなかった。
「僕は自分が痛かったり、苦しかったりするより、陽道がそうなる方が、ずっと、嫌だ」
 迷いなく出てきた言葉に、陽道は少しだけ、救われたような表情を見せた。
「……そう思ってくれるなら、なおさら、だよな」
 小さな彼の呟きは、俊樹の耳に届かず、夜闇に溶けていった。
 何を言ったのか尋ねるよりも早く、陽道は続ける。
「なあ、あの日のことで、俺を恨んでるか?」
 突然の問い掛けに、俊樹は一瞬きょとんとしながらも、すぐに首を横に振った。
 恨んでなんて、いるわけがない。
 痛いのも、動かしにくいのも嫌だったけど、だからって、陽道を恨んだことなんて1度もなかった。
 むしろ、あの日の傷があったから、あの事故があったからこそ、自分は陽道と一緒にいられたのだ。
 おかしなことだとは理解しつつも、あの出来事に感謝はしても、恨んだことなんて、1度もなかった。これは、本心だ。
「陽道のこと、恨んだことなんてないよ」
 でも、それを伝えられた陽道は、今まで見たこともないぐらいに、苦しそうな顔をした。
 悲しそうな、嬉しそうな、辛そうな、喜ばしそうな、どんな想いを抱けばいいのか分からないような、そんな顔だった。
「……なら、今からでもいい」
 固く目を閉じて、陽道は低い声を出す。
 何を、と俊樹が反応する暇もなかった。
「俺を恨んでくれ」
 そう言うと同時に陽道は、唐突に、俊樹の腕から生える枝をへし折った。
 乾いた軽い音で折れた枝を、どこか現実感のない感覚で、俊樹は見つめていた。
 陽道が握っていただけで、あんなにも、痛みを発していたのに。
 少しでも触れたり動かしたりするだけで、あんなにも耐え難い苦痛を与えてきていたというのに。
 こんなにもあっさりと――