ずっと一緒に

 俊樹の鳴き声と、鼻をすする音ばかりが、夜の公園に響いている。
「こんなの、あったらもう何もできないし……服だって、着替えられなくて、起き上がるのとかも、そもそも腕も、全然動かなくて……」
 陽道の方を見て、俊樹は泣きながら叫んだ。
「ど、どうしよう……! どうしたらいいの、ねぇ!」
 明確な答えが陽道から出て来るはずがないと、普段の俊樹であれば、すぐに分かるようなことだった。
 それでも、縋るしかなかった。
 優しく、誰よりも自分の味方でいてくれる彼に、無様に泣きつくことしか、できることは何1つ、今の俊樹には存在していなかった。
 泣き顔を向けられて、必死の叫びを聞いて、陽道は少しの間、考え込んでいた。
 そして、真剣な目をしながら、そっと、俊樹の二の腕から生える枝に触れた。
「っ!」
「……こんぐらいでも、痛いのか」
「……うん……」
 優しい手つきではあったが、陽道が少しでも掴んだ手を動かすだけで、俊樹の腕には激痛が走った。
 俊樹が苦痛に顔を歪ませても、陽道は手を離そうとしない。
「確かに、こんな状態じゃ、生活するのも難しいよな……」
 言いながら、陽道は静かに俊樹の腕を見つめていた。
 むき出しの二の腕には、大きな傷があった。
 今、その傷跡は、木肌のようになっていて、まるで樹木が人の皮膚を被っているかのように見えた。
 しばらく、真剣な目で陽道は俊樹の腕から生えた枝を見つめていたが、やがて、静かに口を開いた。
「……俊樹」
「う、うん」
 陽道は真っ直ぐに、俊樹を見つめている。
 とても真剣な眼差しの奥にかすかに怖いものを感じて、俊樹は少しだけ、嫌な予感がした。
「こうなったのはきっと、俺のせいだ」
 陽道の言葉に、違う、と返したかったが、彼が何を指して言っているのかがすぐに分かって、俊樹は口を噤んだ。
 あの日の事故。
 2人で巨木を登った日のこと。
 大きな傷を負って、2人の関係がどこか、離れてはいけないという、呪いのように変わってしまった出来事。