ずっと一緒に

 夜の公園は全く人気がなく、誰も遊んでいない遊具は大きな動物が静かに鎮座しているかのようにさえ見えた。
 ベンチの前にまで来て、雨の跡が残っているのも気にせず、俊樹は腰かける。
 隣に座ろうとして、陽道は少し考えてから、俊樹の左に腰を下ろした。
 座ったまま、また、沈黙が続いた。
 1度姿を見られたからか、俊樹は不思議と、落ち着いていた。
 見た瞬間に陽道が不気味がったり、逃げ出したりしなかったことが大きかったのだろうか。
 あるいは、見せることへの不安が大きすぎたせいで、見せてしまった以上、もう全てがどうでも良くなったのか、それは自分でも、よく分からなかった。
 とはいえ、このまま、ただ静かにしているだけでは何も意味がない。
「あの、さ」
「……ああ」
 ようやく口を開いた俊樹に、陽道は真剣な顔で、背筋を伸ばした。
 俊樹は大きく息を吸い込んで、
「陽道……助けて」
 口から出せたのは、泣きそうな、震えたか細い声だった。
 怖かった。
 突然体にこんなものが生えてきて、ずっと痛くて、誰かに相談することもできないままに過ごしてしまった。
 それほど長い期間ではない。
 だとしても、俊樹の中で募った恐怖は、吐き出せないままに膨らみ続けていた。
 怒りや熱の影響もって、たまたま見ないふりをし続けることができただけ。
 その身に起こった恐怖から、偶然、目を逸らし続けることができに過ぎない。
 すぐ隣に、誰よりも、信頼できて安心できる、そんな相手がいると思った瞬間、もう、どうすることもできなかった。
 堰を切ったように、俊樹の目から、涙が溢れ出た。
「いきなり、こんなのが、生えてきて……ずっと痛くて……でも、誰にも見せられなくて、どうしたらいいかも分からなくて……」
 泣きながら、子供のように、胸の中にある気持ちを取り出す。
 出て来る言葉は脈絡もなければ、繋がりも分かりにくいものだったが、それでも、俊樹は今、陽道に全てを聞いてほしかった。
「病院に行くとか、考えもしてたけど、なんか、できなくて……気付いたら伸びて来ちゃって、もう、本当に、どうしたらいいのか、分からなくて……陽道に、知られたら、怖がられるかも、とか、思っちゃって……もう、もう、どうしたらいいのか、分からなく、て……」
 とつとつと紡がれる言葉の数々を、陽道は静かに聞いていた。