ずっと一緒に

「……でも、その、問題はある、かも」
 陽道に引かれるのも、不気味がられるのも、嫌だ。
 不安は大きいし、今だって緊張で口の中が乾き、喉が張り付きそうだった。
 それでも、このまま、何も言えないまま1人で抱えていたところで、何にもなりやしないのだと、強く思った。
 夢の中で、夕は、陽道と2人で過ごしていた。
 2人だけの秘密を、共有する楽しみや嬉しさは、俊樹だってよく理解している。
 いくつも、いくつも、俊樹は陽道と、そんな思い出を積み上げてきた。
 お前にはこんな思い出があるのかと、挑発されているような気分だった。
 自分がいないところで、陽道はこんなに楽しく過ごしていたんだ、と。
 見せつけられた形だ。
 もちろん、陽道には陽道の人生があるんだから、その全てが、俊樹と一緒、というわけにはいかない。
 そんなものは俊樹からしてもそうだし、当たり前のことだ。
 でも、陽道の中で、1番心に残っている思い出は、1番一緒に過ごした記憶で鮮烈なのは、何よりも最初に思い浮かぶ出来事は、自分であってほしかった。
 負けられない。
 思い出に勝ち負けも何もないかもしれないが、そんな気持ちが強かった。
「問題って、何があったんだよ?」
 陽道は不安そうに聞く。
 その言葉の裏に薄っすらと混じる期待のようなものを、俊樹は見逃さなかった。
「ちょっと、口で説明するのは、難しくてさ。軽く、出て来られたりしないかな?」
 時計を見ると、ちょうど、日付が変わったタイミングだった。
 日中続いていた雨はすっかり止んでくれたみたいで、外から雨音は聞こえてこない。
「い、今、か?」
「うん。難しければ、明日でもいいけど……」
 沈む俊樹の声に、陽道は慌てた様子で返した。
「いや、行ける。とりあえず、そっちの家まで行けばいいか?」
「うん。ついたらメッセージくれる? 僕も行くから。少し、歩いて話そうよ」
 ばたばたと、立ち上がるような音と共に「分かった」と聞こえて、通話が切れた。
 すぐに出られるように着替えたり、準備を始めてくれたのだろう。
 自分も準備しないと、と思ったものの、自らの姿を見て、苦笑する。
 これで、どうやって外に出よう。