「……」
目を覚ました瞬間、俊樹はすさまじい怒りで、おかしくなってしまいそうだった。
最後に見たあの少年の笑顔。
明らかにこちらに向けられた悪意が、胃袋の奥にこびりついているかのようで、腹の奥底が熱くすら感じた。
あの夢は、一体どういうつもりで見せられていたのか。
様々な可能性が考えられたが、ひとまず俊樹がやるべきだと思ったのは、陽道に連絡を取ることだった。
体のだるさは取れていて、幸い、熱はすっかり下がっているようだった。
しかし、左腕の痛みは治まるどころか、さらに酷くなっている。
もはやまともに動かすことすら難しく感じながら、なんとか起き上がって、愕然とした。
左腕から生える木はさらに成長し、もはや袖の中に納まっていなかった。
無数に分かれた枝先はすでにスウェットを突き破っており、二の腕の木肌は大きく剥き出しになっていた。
掛布団やシーツも無事では済んでいないだろうが、しかし今は、それどころではない。
外はまだ暗く、スマホを手に取って、俊樹は頭を抱えた。
寝る前に電源を切ったせいで、すぐに時間も確認できない。
仕方なく電気をつけて、時計を見てみればまだ日付の変わる手前のようだった。
今の時間であれば、まだ、陽道も起きている時間のはずだ。
スマホが立ち上がるのをじれったく待ちながら、俊樹は左腕を見た。
こんな大きさになってしまっては、服で隠したまま出歩くことも難しい。
折ったり、切ったりするべきでは?
そんなことを思って軽く触れて、やはり鋭い痛みが走り、ため息と共に手を離す。
感覚としては、無理に髪を抜いたり爪を剥がしたりする時のような、体の1部を毟り取られるような感じと、体に刺さった棘を刺さったまま動かしてしまったような不快な痛みが、入り混じっているかのようだった。
ベッドから降りて姿見に映してみると、今まさに、木に侵食されつつある姿があった。
寄生されている、とでも言うべきか、ヤドリギのように、腕から木が生えて伸びてきている形だ。
このまま放置していいわけがない。
でも、触れればあまりの痛みで、何もできなくなってしまう。
一息に、思い切って除去すべきなのかもしれないけど、それができるのであれば、とっくにやっている。
何もせずとも感じる鈍い痛みも、非常に厄介なもので、慣れつつはあるがそれでも、嫌な気分にはさせられる。
そこまで考えて、あまり焦っていないことに気付き、俊樹は苦笑した。
自らの体に起きている恐ろしい変化に対して、妙に冷静な自分がいる。
起きてしまったものはしょうがないと、受け入れてしまっているのは、さすがにどうかと思う。
