ずっと一緒に

彼が俊樹に向けている目……深い隈が刻まれた、爛々と光って見える瞳が、あまりにも強い視線を向けてきていた。
 何かを訴えようとしているかのような、あるいは、何か、狙いがあるかのような、そんな不気味な意志を感じる瞳だった。
 少年の姿に見覚えはなかった。
 幼い頃の記憶にも、最近の記憶にも、心当たりは1つもない。
 だからこそ、不思議でもあった。
 かつての出来事を思い返す夢の中で、出会ったこともないような相手が現れるというのは、どういうことだろうか、と。
「……」
 少年は何も言わない。
 ただ黙って、じっと、こちらに視線を向けている。
 恨めしそうかと言われれば、人によってはそう感じるかもしれない、という程度だ。
 怒りの形相であったり、にたにたと笑っていたり、ということはない。
 まったくの無表情で、しかし向けてくる瞳にはしっかりと邪悪な気配を乗せて、少年は記憶を眺める俊樹を見つめていた。
 何か、言葉をかけるべきだろうか。
 ただじっと見つめ合うばかりで、何かが起きる気配もない。
 夢であるのだから、当然、進行させなくてはならない、などということはなく、何か行動を起こせば覚めると保証されているわけでもない。
 しかし、何もしなければただ時間だけが過ぎていく感覚があり、それがどうにも、俊樹の不安を駆り立てていた。
 少年の背後で進む出来事が、良くなかった。
 かつての苦い記憶。
 幾度となく思い返してきたあの時が、繰り返されようとしているのが、嫌だった。
 目が覚めるのであれば、早く覚めてほしい。
 決定的なシーンに移る前に、早く終わってほしい。