もし向こうが悪いやつだった場合、このまま体格差を活かして、酷いことをされてしまうかもしれない。
でも、良いやつだった場合、自分を受け入れて、この場所を利用する仲間に入れてくれるかもしれない。
そんな、期待と不安の入り混じった陽道の瞳に、俊樹は分かりやすい微笑ましさを感じて、小さく笑った。
「あ、あの」
おずおずと、陽道が声をかけると、少年はようやく陽道の存在に気付いたように、顔を上げて妖しく笑った。
どこか作り物めいた、張り付けたような笑みだった。
相手を油断させるためのものというか、本性を隠すためのものというか、そんな印象を俊樹は抱いた。
「こんにちは……えっと……」
話しかけてはみたものの、微笑むだけで何も言わない少年に、陽道は見るからに困惑していた。
ようやく服装の物珍しさにも気が付いたようで、明らかに動揺している。
何か言うべきか、と陽道が次の言葉を探していると、不意に、少年が陽道に軽く手招きをした。
そして、踵を返すと、そのまま歩き出してしまう。
驚く陽道だったが、呼ばれるままに少年に続いて、歩き出した。
巨木の根元にまで来ると、何かを確認するように見てから、少年はもう1度振り向いて、陽道に手招きをした。
駆け足で近づいて、少年の隣に並んだ陽道は、嬉しそうに歓声をあげた。
「すげぇ……!」
巨木から漏れ出た樹液に、たくさんの昆虫が集まっていた。
色鮮やかな蝶やカナブンがひしめき合い、その中心には立派なカブトムシが鎮座している。見たこともないサイズのカブトムシに、陽道は見るからに目を輝かせていた。
「こ、これ、取ってもいいの?」
興奮した様子の陽道に、少年はこくりと頷く。
嬉々として陽道はカブトムシを掴むと、籠に入れて、じっくりと眺めた。
網状になっている虫籠の中、カブトムシはのそのそと動き、それを見る陽道は、とても満足そうだった。
「……へへ、ありがとう! 俺、陽道って言うんだ!」
改めて自己紹介する陽道だったが、少年は笑顔のまま、何も答えなかった。
てっきり、同じように名前を教えたりしてくれるものだと思っていたらしい陽道は面食らっていたが、それでも、嬉しさのままに、興奮した様子で続けて言った。
でも、良いやつだった場合、自分を受け入れて、この場所を利用する仲間に入れてくれるかもしれない。
そんな、期待と不安の入り混じった陽道の瞳に、俊樹は分かりやすい微笑ましさを感じて、小さく笑った。
「あ、あの」
おずおずと、陽道が声をかけると、少年はようやく陽道の存在に気付いたように、顔を上げて妖しく笑った。
どこか作り物めいた、張り付けたような笑みだった。
相手を油断させるためのものというか、本性を隠すためのものというか、そんな印象を俊樹は抱いた。
「こんにちは……えっと……」
話しかけてはみたものの、微笑むだけで何も言わない少年に、陽道は見るからに困惑していた。
ようやく服装の物珍しさにも気が付いたようで、明らかに動揺している。
何か言うべきか、と陽道が次の言葉を探していると、不意に、少年が陽道に軽く手招きをした。
そして、踵を返すと、そのまま歩き出してしまう。
驚く陽道だったが、呼ばれるままに少年に続いて、歩き出した。
巨木の根元にまで来ると、何かを確認するように見てから、少年はもう1度振り向いて、陽道に手招きをした。
駆け足で近づいて、少年の隣に並んだ陽道は、嬉しそうに歓声をあげた。
「すげぇ……!」
巨木から漏れ出た樹液に、たくさんの昆虫が集まっていた。
色鮮やかな蝶やカナブンがひしめき合い、その中心には立派なカブトムシが鎮座している。見たこともないサイズのカブトムシに、陽道は見るからに目を輝かせていた。
「こ、これ、取ってもいいの?」
興奮した様子の陽道に、少年はこくりと頷く。
嬉々として陽道はカブトムシを掴むと、籠に入れて、じっくりと眺めた。
網状になっている虫籠の中、カブトムシはのそのそと動き、それを見る陽道は、とても満足そうだった。
「……へへ、ありがとう! 俺、陽道って言うんだ!」
改めて自己紹介する陽道だったが、少年は笑顔のまま、何も答えなかった。
てっきり、同じように名前を教えたりしてくれるものだと思っていたらしい陽道は面食らっていたが、それでも、嬉しさのままに、興奮した様子で続けて言った。
