夢に出てきたあの少年と、確かに夕はよく似ていたけど、学校で見た夕はまるで違う雰囲気だった。
腕に生えてきた木と彼が関係しているとは限らない。
それに、新しい友達ができるかもしれない、せっかくの機会なのだ。
俊樹だって、友達がほしくないわけじゃない。
どうしても、陽道のことや、夢のことが気になってしまって、夕を信じ切れずにいる自分がいた。
きっと、夕とのことは、自分なりの折り合いをつけなくてはいけない。
自分の中で納得のできる妥協点のようなものを、探る必要がある。
……なんて、何様のつもりなのか、と自嘲気味に笑って、俊樹は陽道に言った。
「本当に大丈夫。明日元気になったらまた、連絡するからさ。そうしたら一緒に学校行こう」
陽道が何か答える前に、俊樹はインターホンの通話を切った。
「おい、どうしたんだよ俊樹! おい!」
再びインターホンが鳴らされ、玄関を叩く音さえしたが、俊樹は何も答えず、自室へと戻った。
相変わらず二の腕は痛む。
刺さるような痛みはだいぶマシになったものの、じくじくと、棘でも残っているかのような、鈍い痛みばかりが感じられるようになっていた。
伸びた枝は相変わらずで、俊樹は溜息をつきながら、ベッドに転がった。
陽道は諦めたのか、外からの声はもうしない。
スマホが何度も鳴っているので見てみると、大量のメッセージが送られてきた。
『急にどうしたんだ?』
『俺、何かマズいことでも言っちゃったか?』
『もし悪いことしたなら謝るからさ』
並んでいるいくつもの言葉に、俊樹は落ち着いてほしいと伝えたかったが、何を言っても火に油を注ぐような気がして、何も返すことなくスマホの電源を落とした。
放っておいたらそのうち電話までかかってきそうな勢いだった。
でも今、何を言うにしても、陽道と話していたら余計なことをたくさん言ってしまいそうで、俊樹は困り果てていた。
もちろん、1番困っているのが陽道であることは、俊樹にだって分かっている。
困らせたいわけでもないのは当然だったけど、それでも、俊樹の思っていることをそのまま伝えたりしたら、陽道は余計に困ってしまう。
堂々巡りというか、どちらに転んでも困らせてしまう現状に、俊樹は頭を抱えた。
どう考えても悪いのは自分なのだから、何かしらの形で、事態を前に進めなければいけないというのに。
「……どうしたらいいんだろう」
自分がどうしたいのか、分からなくなってきた。
陽道と一緒にいたい、今までと同じように、2人で過ごしたい。
でも、夕と新たに友達にもなってみたい。
思う存分、陽道とはなかなかできないような、趣味の話題で盛り上がってみたい。
そして、そんな夕と、陽道が仲良くしている姿を見るのは、嫌だと思う。
夕と自分だけが仲良くしてほしいというのも、また少し違っていて、夕が誰と仲良くしていようが構わないとは思うけど、陽道だけは、嫌だと思ってしまう。
自分のことだというのに、あまりにも我儘過ぎて、呆れてものも言えない。
雁字搦めの感情に向き合うことに疲れてしまい、俊樹は今日何度吐いたか分からないため息と共に、目を閉じた。
いつの間にか雨は止んでいたようで、外から聞こえる雨音はなくなり、どこからか聞こえる虫たちの鳴き声だけが、静かに響き続けていた。
腕に生えてきた木と彼が関係しているとは限らない。
それに、新しい友達ができるかもしれない、せっかくの機会なのだ。
俊樹だって、友達がほしくないわけじゃない。
どうしても、陽道のことや、夢のことが気になってしまって、夕を信じ切れずにいる自分がいた。
きっと、夕とのことは、自分なりの折り合いをつけなくてはいけない。
自分の中で納得のできる妥協点のようなものを、探る必要がある。
……なんて、何様のつもりなのか、と自嘲気味に笑って、俊樹は陽道に言った。
「本当に大丈夫。明日元気になったらまた、連絡するからさ。そうしたら一緒に学校行こう」
陽道が何か答える前に、俊樹はインターホンの通話を切った。
「おい、どうしたんだよ俊樹! おい!」
再びインターホンが鳴らされ、玄関を叩く音さえしたが、俊樹は何も答えず、自室へと戻った。
相変わらず二の腕は痛む。
刺さるような痛みはだいぶマシになったものの、じくじくと、棘でも残っているかのような、鈍い痛みばかりが感じられるようになっていた。
伸びた枝は相変わらずで、俊樹は溜息をつきながら、ベッドに転がった。
陽道は諦めたのか、外からの声はもうしない。
スマホが何度も鳴っているので見てみると、大量のメッセージが送られてきた。
『急にどうしたんだ?』
『俺、何かマズいことでも言っちゃったか?』
『もし悪いことしたなら謝るからさ』
並んでいるいくつもの言葉に、俊樹は落ち着いてほしいと伝えたかったが、何を言っても火に油を注ぐような気がして、何も返すことなくスマホの電源を落とした。
放っておいたらそのうち電話までかかってきそうな勢いだった。
でも今、何を言うにしても、陽道と話していたら余計なことをたくさん言ってしまいそうで、俊樹は困り果てていた。
もちろん、1番困っているのが陽道であることは、俊樹にだって分かっている。
困らせたいわけでもないのは当然だったけど、それでも、俊樹の思っていることをそのまま伝えたりしたら、陽道は余計に困ってしまう。
堂々巡りというか、どちらに転んでも困らせてしまう現状に、俊樹は頭を抱えた。
どう考えても悪いのは自分なのだから、何かしらの形で、事態を前に進めなければいけないというのに。
「……どうしたらいいんだろう」
自分がどうしたいのか、分からなくなってきた。
陽道と一緒にいたい、今までと同じように、2人で過ごしたい。
でも、夕と新たに友達にもなってみたい。
思う存分、陽道とはなかなかできないような、趣味の話題で盛り上がってみたい。
そして、そんな夕と、陽道が仲良くしている姿を見るのは、嫌だと思う。
夕と自分だけが仲良くしてほしいというのも、また少し違っていて、夕が誰と仲良くしていようが構わないとは思うけど、陽道だけは、嫌だと思ってしまう。
自分のことだというのに、あまりにも我儘過ぎて、呆れてものも言えない。
雁字搦めの感情に向き合うことに疲れてしまい、俊樹は今日何度吐いたか分からないため息と共に、目を閉じた。
いつの間にか雨は止んでいたようで、外から聞こえる雨音はなくなり、どこからか聞こえる虫たちの鳴き声だけが、静かに響き続けていた。
