「ああ。って、あ、そうか、俊樹まだ連絡先交換してなかったよな」
言いながら、陽道がスマホを取り出す。
おそらくは、夕の連絡先を共有してくれているのだろう。
普段であれば、とてもありふれた光景と行動。
もし今日、俊樹が体調を崩したりせず、学校を早退しなかったのであれば、放課後にでもごく自然に行われていたであろう出来事。
ただ、今は、今だけは、その陽道の行いがあまりにも、不快、だった。
「よっし、これで――」
「ねえ、陽道」
インターホン越しだからか、俊樹の硬い声は、陽道には正しく伝わっていないようだった。
「おう、どうした?」
いつも通りの爽やかな笑みで、陽道は言う。
俊樹は少し間を置いてから、ゆっくりと言った。
「夕のこと、だけどさ」
「ああ」
陽道はようやく、俊樹の様子がおかしいことに気が付いたのか、モニターの向こうで表情を硬くした。
続けて出そうとしていた言葉を、ハッと我に返った俊樹は、必死に飲み込んだ。
もう話さないようにしよう。
会っても無視しようよ。
連絡先も消してほしいな。
あらゆる言葉が、最悪のものばかりだった。
夕と趣味が合いそうだとか、仲良くできそうに思ったのはどちらかと言えば自分の方だというのに、いざ実際、陽道が仲良くなっているのを見たら、こんなことを言いそうになるだなんて。
あまりにも短絡的で、身勝手な自分に、俊樹は真底嫌気がさした。
「……ごめん、なんでもない。連絡、しとくよ」
続く言葉に間があったからか、陽道は納得していない様子だった。
「俊樹、本当に大丈夫か? 俺、なんでも聞くぜ」
陽道の声は真剣そのもので、俊樹のことを心から想ってくれているのが、モニター越しにもよく分かった。
だからこそ、俊樹はこれ以上、陽道に厄介なことは言えないと、より強く思ってしまった。
ただでさえ、陽道は普段、傷痕のことを気にして、あの日の事故の分もこちらを気に掛けて生きているというのに、そんな彼に、さらに縛り付けるようなことを言っては、本当に愛想を尽かされてしまいかねない。
それに、夕のことだって、まだ、信じたい気持ちがあった。
言いながら、陽道がスマホを取り出す。
おそらくは、夕の連絡先を共有してくれているのだろう。
普段であれば、とてもありふれた光景と行動。
もし今日、俊樹が体調を崩したりせず、学校を早退しなかったのであれば、放課後にでもごく自然に行われていたであろう出来事。
ただ、今は、今だけは、その陽道の行いがあまりにも、不快、だった。
「よっし、これで――」
「ねえ、陽道」
インターホン越しだからか、俊樹の硬い声は、陽道には正しく伝わっていないようだった。
「おう、どうした?」
いつも通りの爽やかな笑みで、陽道は言う。
俊樹は少し間を置いてから、ゆっくりと言った。
「夕のこと、だけどさ」
「ああ」
陽道はようやく、俊樹の様子がおかしいことに気が付いたのか、モニターの向こうで表情を硬くした。
続けて出そうとしていた言葉を、ハッと我に返った俊樹は、必死に飲み込んだ。
もう話さないようにしよう。
会っても無視しようよ。
連絡先も消してほしいな。
あらゆる言葉が、最悪のものばかりだった。
夕と趣味が合いそうだとか、仲良くできそうに思ったのはどちらかと言えば自分の方だというのに、いざ実際、陽道が仲良くなっているのを見たら、こんなことを言いそうになるだなんて。
あまりにも短絡的で、身勝手な自分に、俊樹は真底嫌気がさした。
「……ごめん、なんでもない。連絡、しとくよ」
続く言葉に間があったからか、陽道は納得していない様子だった。
「俊樹、本当に大丈夫か? 俺、なんでも聞くぜ」
陽道の声は真剣そのもので、俊樹のことを心から想ってくれているのが、モニター越しにもよく分かった。
だからこそ、俊樹はこれ以上、陽道に厄介なことは言えないと、より強く思ってしまった。
ただでさえ、陽道は普段、傷痕のことを気にして、あの日の事故の分もこちらを気に掛けて生きているというのに、そんな彼に、さらに縛り付けるようなことを言っては、本当に愛想を尽かされてしまいかねない。
それに、夕のことだって、まだ、信じたい気持ちがあった。
