ずっと一緒に

 それでも、やらなきゃいけない。
 力を込めようとして、体に対して力が入らないことに気付く。
 まともに起き上がれないのは、この枝のせいか、それとも熱のせいか。
 もう全てがどうでもいい。
 この枝も、見えていた木肌も、全部全部、折って剥がしてしまいたい。
 こんな姿を、陽道に見せられるわけがない。
 そう思った途端に、俊樹の目から涙がこぼれ落ちてきた。
 痛いからではない、嫌だからだ。
 ただでさえ、朝の時点で不安になっていた心が、さらなる変化で限界を迎えていた。
 もう自分がどうなっても構わない。
 痛みでおかしくなってしまったとしても、もう、耐えられない。
 そんな想いで、俊樹は枝にかけていた手に、どうにかして力を込めようとした。
「おーい、俊樹ー!」
 しかし、外から聞こえてきた声にハッと我に返り、インターホンの呼び出し音の余韻にようやく気が付いた。
 もう1度、呼び出し音が鳴る。
「……寝てるかな」
 かすかに聞こえた陽道の声に、俊樹は慌てて起き上がり、階段を駆け下りて、リビングにあるモニターの前にまで来た。
「は、陽道!」
「起きてたんだな。良かった、多少元気になったみたいで」
 言われて時計を見ると、いつの間にか2時間以上が経っていた。
 どうやら、いつの間にか、多少眠っていたらしい。
「あ、もしかして、俺が起こしちまったか?」
「ううん、起きてたから平気だよ。わざわざ来てくれたんだ」
「まあ、通り道だしな。親御さんまだ帰ってないんだろ?」
「うん、でもあと30分もしたら帰ってくるから」
「そっか。そうだ、いろいろ買って来たんだ、玄関のとこに置いとくから後で回収してくれよ」
 インターホンのモニターに、コンビニの袋を掲げて笑う陽道の姿が映っていた。
 袋の隙間から見えるプリンや冷えピタの箱に、嬉しさがこみ上げる。
 買ってきてくれたものがというよりは、陽道がそうして、気を使ってくれることにだ。
「そういえば、夕もすげぇ心配してたから、後で連絡してやれよ」
「……夕が」
 咄嗟に出した声がやけに低くなってしまい、俊樹は慌てて口元を押さえた。
 じくりと、腕が痛んだ気がした。