ずっと一緒に

 そもそも陽道の家を訪ねること自体が珍しく、たいていの場合、陽道が俊樹の家を訪ねてくるようになっていた。
 実際、小さい頃も今も、陽道の家は住宅街のどん詰まりにあるため、俊樹の家に陽道が道すがら寄っていく方が、何かと都合がいい。
 虫取りに走り回っていた昔でも、街中に繰り出したり俊樹の家で過ごしたりする今でも、どちらにせよ、陽道の家の方面に行く理由がなかった。
 だからいつでもこの道は、陽道と一緒にどこかに行って、陽道と一緒に帰ってきて、陽道を見送る道だった。
 でも今日は、1人だ。
「……何、当たり前のことを」
 自分に対して呆れて笑いながら、俊樹は家の中に入った。
 どうにも、体が弱っているせいで、ナイーブな思考に陥っているようだ。
 体を温めるようにして、薬を飲んで、早いところ寝てしまおう。
 そう決めて、俊樹はさっさと薬を飲み、冬用の寝巻である厚手のスウェットを着て、掛布団を1枚多く被り、ベッドの中で目を閉じた。
 静かに屋根を叩く雨音が、かすかに聞こえる。
 目を瞑ったままじっとしていると、様々なことを考えてしまう。
 それも、余計なことばかり。
 今頃、陽道たちはどうしているだろうか。
 ベッドに入った時点で、5限目の授業が終わるぐらいの時間になっていた。
 休み時間に、夕と話したりしているのだろうか。
 今日も、朝学校についた時から、2人はすでに仲が良さそうに話していた。
 自分も話に混ざりたかったけど、まるで頭が回っていなかったことを考えると、朝の時点ですでに、ある程度熱があったのかもしれない。
 こんなことなら、家を出る前に体調をもっと確認しておくべきだった。
 そうは言っても、他に心配ごとがあったのだから、仕方ない。
 寝返りを打とうとして、やめた。
 多く被った掛布団が思いのほか重く、動かそうとすると二の腕が痛んだからだ。
 ちょっとした動作にも痛みが走るのを、俊樹はだんだん煩わしく感じ始めていた。
 普段、傷痕の痛みを感じる時には、嫌な気分と共に少しだけ、嬉しい気持ちがあった。
 それは優越感や満足感。
 気持ちの先には、この傷があるからこそ一緒にいてくれるという、陽道への期待や信頼があった。
 でも、今感じる痛みの先に、陽道はいない。
 彼に知られてはいけないと、思ってしまった。
 知られれば、そして、手に負えないと思わせてしまったら、彼はきっと、離れていってしまう。