ずっと一緒に



「はっ……はっ……はっ……」
 目を覚まし、俊樹は周囲を見回して、自分がベッドの上に寝ていることを再確認した。
 荒れた息を整えるように、ゆっくりと呼吸をしても、土の匂いもしなければ、緑の濃い香りもしない。
 湿気はあるが、あの場所ほどではなく、梅雨の時期らしい空気が鼻や口を抜けていくだけだ。
 大きく息を吐いて、俊樹は先程まで見ていた恐ろしい夢を思い返していた。
 かつての出来事を見ながら、自分から生えてきた木に、飲まれていく夢。
 やけに生々しい痛みを伴って体から伸びていく、枝の数々と太くなっていく幹。
 体の内部を喰い進むように成長していった根に、全てを吸われていく感触。
 それは昨日見たものよりもずっと恐ろしく、痛み以上に、皮膚の下を自分のものではないものが蠢く気味の悪さが、不快感を強く抱かせた。
 思い出すだけで、全身に鳥肌が立つ。
 2日も続けて奇妙な、そして恐ろしい夢を見て、俊樹は自分の精神状態が不安になった。
 事故が起きた日が近いと言っても、まだ1か月以上も先のことだ。
 自分の誕生日だとか、期末試験だとか、あの日までの間にもっと気に掛けるべきことがあるにも関わらず、どうして、今になって急にあんな夢を?
 原因を考えたところで、1つの可能性に思い至った。
 夢の中で出会った、夕によく似た存在。
 最初に見た時は夕のことを知らなかったため、まるで知らない少年にしか見えなかった。
 しかし今はよく分かる。
 あれは、夕だ。
 髪は白くなっていたけど、顔立ちも小柄な背丈も、どれも夕そっくりだった。
 彼が転校してきたことが、何か、関係しているのだろうか?
 考えてはみたものの、理由も関連も、何も分かりそうになかった。
 昼間、夕と話した時は何も問題は起きなかったし、そもそも、彼自身こちらの地方に引っ越してきたのは初めてだと言っていた。