楽しそうに話す夕に、陽道も笑顔で朗らかに返す。
互いにまだ距離間を図っているような雰囲気はあるものの、和やかに話す2人は、すぐにでも仲良くなれそうな雰囲気だった。
そんな彼らを見ながら、俊樹は静かに弁当を食べ進める。
こういう時、陽道は率先して話してくれるから、気楽でありがたい。
自分の食事に集中しつつ、なんとなく話を振られたら混じろう、なんてことを考えていたが、
「お、それさ」
不意に手元を指さされ、俊樹は食事の手を止めた。
思っていたよりも早い声がけだった。
「昔ボクも使ってたよ。懐かしい」
俊樹が使っている箸は、小学生の頃からずっと使っているものだ。
元々はスプーンやフォークとセットになっていたものだったが、高校に入る際、箸入れを別で用意して、箸だけを使用していた。
大人用の箸としては少し短いサイズではあるものの、手も口も小さい俊樹には使いやすいサイズ感のものだった。
何より、この箸には思い入れがあるのだ。
「……ずっと使ってるから、なんとなく、愛着があって」
「ああ、分かる分かる。ボクもなんかずっと使ってるタオルケットとか家にあるもん。その箸もいいよね、ボクが使ってたやつ、遠足に持っていった時に折れちゃってさぁ」
お弁当を食べ終えた後、遠足先の広い丘がある公園で走り回っていたら、リュックごと盛大に転んで、中身がぐちゃぐちゃになったんだ、と彼は笑った。
一見、大人しそうな色白の彼にもやんちゃな面があるというのは意外だと、勝手ながらに思いつつ、俊樹は同じ食器を使っていたという点に親近感を覚えた。
「わりともう今じゃ珍しい感じになっちゃったよね、それ。さすがに虫はあんま許されない感じだったのかなー、カッコいいのにねぇ、トノサマバッタ」
夕の言う通り、俊樹の持っている箸には、リアルなトノサマバッタのイラストが小さく描かれていた。
年季が入っている分、その絵もかなり薄れてきてはいるのだが、それでも俊樹が好んでこの箸を使っているのは彼の言う通りバッタが描かれているからである。
「なんだ、夕も虫好きなのか?」
「うん、好きだよ。小さい頃は飼ったりもしてたけど、今は引っ越しも多くなったからやめちゃったんだよね。あ、そうだ」
彼はおもむろにスマホを取り出すと、写真を見せてきた。
「これ、昔夏休みの時に自由研究で作った標本。めっちゃ大変だったけど面白かったな」
そこには、丁寧に整えられた虫たちが何体もピンで止められた箱と、あまり見た目の変わっていない私服姿の夕の姿があった。
互いにまだ距離間を図っているような雰囲気はあるものの、和やかに話す2人は、すぐにでも仲良くなれそうな雰囲気だった。
そんな彼らを見ながら、俊樹は静かに弁当を食べ進める。
こういう時、陽道は率先して話してくれるから、気楽でありがたい。
自分の食事に集中しつつ、なんとなく話を振られたら混じろう、なんてことを考えていたが、
「お、それさ」
不意に手元を指さされ、俊樹は食事の手を止めた。
思っていたよりも早い声がけだった。
「昔ボクも使ってたよ。懐かしい」
俊樹が使っている箸は、小学生の頃からずっと使っているものだ。
元々はスプーンやフォークとセットになっていたものだったが、高校に入る際、箸入れを別で用意して、箸だけを使用していた。
大人用の箸としては少し短いサイズではあるものの、手も口も小さい俊樹には使いやすいサイズ感のものだった。
何より、この箸には思い入れがあるのだ。
「……ずっと使ってるから、なんとなく、愛着があって」
「ああ、分かる分かる。ボクもなんかずっと使ってるタオルケットとか家にあるもん。その箸もいいよね、ボクが使ってたやつ、遠足に持っていった時に折れちゃってさぁ」
お弁当を食べ終えた後、遠足先の広い丘がある公園で走り回っていたら、リュックごと盛大に転んで、中身がぐちゃぐちゃになったんだ、と彼は笑った。
一見、大人しそうな色白の彼にもやんちゃな面があるというのは意外だと、勝手ながらに思いつつ、俊樹は同じ食器を使っていたという点に親近感を覚えた。
「わりともう今じゃ珍しい感じになっちゃったよね、それ。さすがに虫はあんま許されない感じだったのかなー、カッコいいのにねぇ、トノサマバッタ」
夕の言う通り、俊樹の持っている箸には、リアルなトノサマバッタのイラストが小さく描かれていた。
年季が入っている分、その絵もかなり薄れてきてはいるのだが、それでも俊樹が好んでこの箸を使っているのは彼の言う通りバッタが描かれているからである。
「なんだ、夕も虫好きなのか?」
「うん、好きだよ。小さい頃は飼ったりもしてたけど、今は引っ越しも多くなったからやめちゃったんだよね。あ、そうだ」
彼はおもむろにスマホを取り出すと、写真を見せてきた。
「これ、昔夏休みの時に自由研究で作った標本。めっちゃ大変だったけど面白かったな」
そこには、丁寧に整えられた虫たちが何体もピンで止められた箱と、あまり見た目の変わっていない私服姿の夕の姿があった。
