ずっと一緒に

 木の種類までは分からないが、相当な樹齢の木であることは、誰の目にもすぐに分かるほどだった。
 小学生の頃の記憶だからだろうか、あまりにも大きく見える。
 俊樹は、圧倒的な存在感を示す巨木の根本に視線を向けた。
 やはり、と目に入った2人を見て、ため息を吐く。
 あの時の記憶だ。
 見ているものの正体に思い至り、俊樹は暗澹たる気持ちになった。
 何度も、何度も何度もフラッシュバックしている、この記憶。
 夢に見るのはさすがに初めてだったが、当時から今まで、いったいどれだけの数、思い返してきたことだろうか。
 夏休みが始まってから少し経った、7月も終わりかけの時期のことだった。
 この場所はいつでも湿っており、道中の雑草はそのどれもが常に露で濡れそぼっていた。
 だから、開けた場所に出るまでの間にいつも、服がびしょ濡れになってしまうのだった。
 汗だか朝露だか分からない水分をたっぷりと含んだTシャツは不快だったが、常にうす暗い日陰であるこの場所は肌寒く、服を脱ぐ気にはならなかった。
 そよそよと流れてくる風が冷たくて、身震いしてしまう程だった。
「行ってみようぜ!」
「あ、危ないよ……」
 少年たちの声が響いてきて、視線を向けると、巨木の根本の辺りで、2人の小学生が遊んでいるのが見えた。
 快活そうな少年が樹上を指さして、大人しそうな少年がおどおどと怯えながら、指さした先を見つめている。
 ここは2人の秘密基地だった。
 どこからか持って来たブルーシートを巨木の根本近くに敷いて、そこに座って他愛もない話をしたり、一緒にゲームをしたり、周囲の雑木林を巡って虫取りをした。
 毎日のように集まって遊んでいる中で、ある日、巨木の上に虫のたくさん集まっている場所がある、と彼に言われたのだ。
 樹液が漏れ出している場所があって、そこにカブトムシとか、珍しい虫が集まっているのだと。
「けっこう簡単に登れるからさ!」
 快活に笑う彼の姿を見て、俊樹は目を細めた。
 眩しいまでの笑顔は、今も昔も変わっていない。
 そうして笑いかけられると、自分が断れないことを、彼は知っていただろうか。
「う、うん……」
 不安に満ちた少年――かつての自分は、運動が得意なわけではなかった。
 もちろん今も大して得意ではない。