ずっと一緒に

 だからあえて指摘もしないし、茶化したりもしない。
「気付いたら全然話せないぐらいになってたりするんじゃないの、転校生」
「それならそれで、仲良いやつができたってことだから別にいいだろ。無理にクラスのやつ全員と友達付き合いしなきゃいけないわけでもないし」
「それ、僕が言うなら分かるけど、陽道が言う……?」
 俊樹が知る限り、彼はクラスの誰とでも仲が良い、ように見える。
 よく話しかけられている姿を目にするし、どのグループの人間でも、陽道に話しかけられれば自然と会話に混ぜていたりするし、何より、よく遊びに誘われているのも知っている。
 気付けば人が周りにいる、というのが陽道の特徴だと、俊樹は思っていた。
 だからこそ、ドライな反応がやはり、少し気になった。
「何か、気になることでもあるの?」
 転校生について、とはあえて言わなかった。
 何か、別の問題があって、転校生に構っている暇がない、なんてこともあるかもしれない。
 だからこそのぼんやりとした質問だったが、陽道はきょとんとした顔で首を横に振っていた。
「別に何もねぇって。そんなに変な感じか、俺?」
「うーん、いや、変、って程でもないけど……」
 言われてみれば、なぜこんなにも、陽道の様子が気になっているのか、俊樹も自分で不思議に思えてきた。
 朝から噂の話をしていたわけだし、陽道が転校生のことを気にしているものだと思っていたから、だろうか。
 俊樹が首を傾げていると、陽道は時計をちらっと見て、机から降りて笑った。
「ま、なんでもいいけどさ。そろそろ席戻るな」
「あ、うん……」
 席に戻って行く姿もいつも通りで、やはり、考え過ぎだったのかもしれない、と俊樹はもう1度首を傾げ、授業の準備を始めるのだった。