ただでさえ、クラスの中でも地味で小柄な俊樹は、いじめられるとしたら恰好の標的、といった姿をしている。
その自覚は本人にもあったし、だからこそ、あえて触れてこないクラスメイトたちとの距離感を心地良くも感じていた。
新しく入ってくる彼とも、そんな適度な距離感を保てるといいのだが。
「うーい待たせたな」
松崎が戻ってくると、一緒にやってきた生徒も、教室に入って来た。
途端、さらにざわめきが強くなり、クラス中の視線が正面に集まる。
それなりに長身の松崎の隣に並ぶ姿は非常に小柄で、細く、俊樹よりもずっと低身長に見えた。
制服を着ていなければ、小学生に間違われてもおかしくないぐらいだ。
少し癖のある髪を目元が隠れるぐらいに伸ばしていて、どことなく、不気味な雰囲気すらあった。
しかし対照的に、口元に浮かべた笑みは人懐っこく、松崎に促されて発された声も、はきはきと明朗なものだった。
「金木夕(かなきゆう)です、これからよろしく!」
夕の座席はクラスの端っこ、微妙に凹んでいた窓際の最後尾になり、彼が席につくのを見届けると、松崎は連絡事項を軽く伝えてからクラスを出て行った。
始業までの間、クラスの面々が一斉に転校生を取り囲む、ということもなく、遠巻きにそわそわと見ている者が大半だった。
俊樹も当然、なんとなく目だけで彼の方を見るだけだ。
その中でも、やはり声をかけに行く連中はいて、数名の陽気なクラスメイトたちが話しかけると、夕は朗らかに応答した。
「どこ出身なの?」
「生まれは東京だけど、あちこち飛び回ってるから地元らしい地元がないんだよね」
「なんか部活入ったりすんの?」
「うーん、入ってもいいけど、また転校することになったら困るからさ。前の学校もそれで何もやんなかったんだよね。あとほら、僕、この通り運動とか苦手だからさぁ」
あれこれと質問責めにあいながらも、夕は気さくに返していた。
話せば乗って来るやつ、と知られたからか、気付けはどんどんと取り囲む人間が増えているようで、いつの間にか彼の小さな姿はたくさんのクラスメイトたちによって隠されてしまっていた。
「大人気だな」
俊樹が考えていたことを代弁するかのように、いつの間にかすぐ隣にやって来ていた陽道が苦笑を浮かべた。
軽く肩を竦めて、俊樹は笑う。
その自覚は本人にもあったし、だからこそ、あえて触れてこないクラスメイトたちとの距離感を心地良くも感じていた。
新しく入ってくる彼とも、そんな適度な距離感を保てるといいのだが。
「うーい待たせたな」
松崎が戻ってくると、一緒にやってきた生徒も、教室に入って来た。
途端、さらにざわめきが強くなり、クラス中の視線が正面に集まる。
それなりに長身の松崎の隣に並ぶ姿は非常に小柄で、細く、俊樹よりもずっと低身長に見えた。
制服を着ていなければ、小学生に間違われてもおかしくないぐらいだ。
少し癖のある髪を目元が隠れるぐらいに伸ばしていて、どことなく、不気味な雰囲気すらあった。
しかし対照的に、口元に浮かべた笑みは人懐っこく、松崎に促されて発された声も、はきはきと明朗なものだった。
「金木夕(かなきゆう)です、これからよろしく!」
夕の座席はクラスの端っこ、微妙に凹んでいた窓際の最後尾になり、彼が席につくのを見届けると、松崎は連絡事項を軽く伝えてからクラスを出て行った。
始業までの間、クラスの面々が一斉に転校生を取り囲む、ということもなく、遠巻きにそわそわと見ている者が大半だった。
俊樹も当然、なんとなく目だけで彼の方を見るだけだ。
その中でも、やはり声をかけに行く連中はいて、数名の陽気なクラスメイトたちが話しかけると、夕は朗らかに応答した。
「どこ出身なの?」
「生まれは東京だけど、あちこち飛び回ってるから地元らしい地元がないんだよね」
「なんか部活入ったりすんの?」
「うーん、入ってもいいけど、また転校することになったら困るからさ。前の学校もそれで何もやんなかったんだよね。あとほら、僕、この通り運動とか苦手だからさぁ」
あれこれと質問責めにあいながらも、夕は気さくに返していた。
話せば乗って来るやつ、と知られたからか、気付けはどんどんと取り囲む人間が増えているようで、いつの間にか彼の小さな姿はたくさんのクラスメイトたちによって隠されてしまっていた。
「大人気だな」
俊樹が考えていたことを代弁するかのように、いつの間にかすぐ隣にやって来ていた陽道が苦笑を浮かべた。
軽く肩を竦めて、俊樹は笑う。
