しかし、その声はクラスメイトたちの雑談の中に紛れ、誰の耳にも届いていなかった。
ホッとしたような、残念なような。
痛みに顔をしかめながら、俊樹はそのままぼんやりと窓の外を眺め続けた。
その背中をじっと、陽道が見つめていたが、俊樹はついぞ気付かないままだった。
ちょうど、雨音とクラスのざわめきを聞きながら教室にそっぽを向く形で、俊樹は窓際にナメクジを見つけ、なんとなく目で追いかけていたからだ。
孤独にじりじりと進む姿を見て、なんとなく、俊樹は自分とナメクジを重ねて見ていた。
このままなんとなく生きていたら、このナメクジのように、孤独に過ごさなくてはならない時が、たくさんくるかもしれない。
その時、自分はどこまで平気でいられるのだろうか?
考えた時、真っ先に浮かんだのは、やはり、陽道のことだった。
1人でいることは、耐えられる。
誰とも大して関わらずに生きることも、別に問題ない。
ただ、陽道がいない日々だけは耐えられない、と強く思った。
だからと言って今、唐突に立ち上がって、陽道たちが話しているところに混ざりに行くような勇気が俊樹にあるはずもなく、静かにナメクジを眺めているうちにホームルーム開始のチャイムが鳴り響いた。
「お前ら席につけー」
まだわずかに席を立っている生徒に視線を投げることもなく、気だるげに入って来た担任の松崎はいつもの調子でお決まりの台詞を口にした。
毎日、全員がきっちり席についていたとしても、彼の最初の言葉は変わらない。
生徒たちも慣れ切ったもので、特に何か返事をするでも悪態をつくでもなく、席に戻っていく。
全員が座ったのを見て、松崎は面倒そうに朝の挨拶を促し、いつものように出席簿を開きかけて、「あ」と気の抜けた声を出した。
「そうだ、今日から転校生がうちのクラスに入るんだ。ちょっと呼んでくるわ」
途端、クラス中からブーイングと楽しそうな声が上がり始めた。
松崎は面倒くさそうにひらひらと手を振って生徒たちをあしらい、クラスから出て行ってしまった。
陽道が言っていた転校生、うちのクラスなんだ。
騒ぐクラスメイトたちを横目に、俊樹は大して興味もないままに、一応考える。
どんな人が来るんだろう。
自分から話しかけるようなことはどうせしないし、友達になるようなこともないだろうけど、それでも、気になる点はある。
横柄なやつだったり、乱暴者だったり、厄介な人だったりして、目を付けられたら大変だ。
そんな可能性もないとは言い切れない。
ホッとしたような、残念なような。
痛みに顔をしかめながら、俊樹はそのままぼんやりと窓の外を眺め続けた。
その背中をじっと、陽道が見つめていたが、俊樹はついぞ気付かないままだった。
ちょうど、雨音とクラスのざわめきを聞きながら教室にそっぽを向く形で、俊樹は窓際にナメクジを見つけ、なんとなく目で追いかけていたからだ。
孤独にじりじりと進む姿を見て、なんとなく、俊樹は自分とナメクジを重ねて見ていた。
このままなんとなく生きていたら、このナメクジのように、孤独に過ごさなくてはならない時が、たくさんくるかもしれない。
その時、自分はどこまで平気でいられるのだろうか?
考えた時、真っ先に浮かんだのは、やはり、陽道のことだった。
1人でいることは、耐えられる。
誰とも大して関わらずに生きることも、別に問題ない。
ただ、陽道がいない日々だけは耐えられない、と強く思った。
だからと言って今、唐突に立ち上がって、陽道たちが話しているところに混ざりに行くような勇気が俊樹にあるはずもなく、静かにナメクジを眺めているうちにホームルーム開始のチャイムが鳴り響いた。
「お前ら席につけー」
まだわずかに席を立っている生徒に視線を投げることもなく、気だるげに入って来た担任の松崎はいつもの調子でお決まりの台詞を口にした。
毎日、全員がきっちり席についていたとしても、彼の最初の言葉は変わらない。
生徒たちも慣れ切ったもので、特に何か返事をするでも悪態をつくでもなく、席に戻っていく。
全員が座ったのを見て、松崎は面倒そうに朝の挨拶を促し、いつものように出席簿を開きかけて、「あ」と気の抜けた声を出した。
「そうだ、今日から転校生がうちのクラスに入るんだ。ちょっと呼んでくるわ」
途端、クラス中からブーイングと楽しそうな声が上がり始めた。
松崎は面倒くさそうにひらひらと手を振って生徒たちをあしらい、クラスから出て行ってしまった。
陽道が言っていた転校生、うちのクラスなんだ。
騒ぐクラスメイトたちを横目に、俊樹は大して興味もないままに、一応考える。
どんな人が来るんだろう。
自分から話しかけるようなことはどうせしないし、友達になるようなこともないだろうけど、それでも、気になる点はある。
横柄なやつだったり、乱暴者だったり、厄介な人だったりして、目を付けられたら大変だ。
そんな可能性もないとは言い切れない。
