ずっと一緒に

 俊樹はそう言いそうになった口をぐっと噤み、曖昧に笑った。
 本当のことを言えば、陽道の言う通りだ。
 別に友達なんて、他に作らなくていいと思っている。
 ただ隣に陽道がいてくれれば、それでいい。
 毎日彼と一緒に過ごせるのであれば、それ以上の人間関係なんて、余計なだけだとすら思っている。
 でも、口には出さないし、出せない。
 この気持ちがただの依存でしかないということは分かっている。
 男友達に対してこんな重い気持ちを抱いたところで、いずれは破綻することも目に見えている。
 陽道はわりと誰とでも、分け隔てなく仲良くできる人間だし、優しい、いいやつだ。
 昔からクラスの中心人物というわけではなかったが、気付くと目立つグループの連中と遊びに行っていたり、一緒にいたりする。
 そんな姿を見る度、もやもやとした気持ちに襲われて、俊樹はそんな自分が嫌でしょうがなかった。
 陽道とは幼馴染で、親友と呼んで差支えのない間柄だ。
 彼と一緒に過ごす日々が俊樹の中では当たり前になっていて、だからこそ、彼が別の人と一緒にいるのを見るだけで、微妙な気持ちになる。
 陽道には陽道の人生があり、彼が誰と仲良くしていようがそれは自分には関係がないこと、と頭では理解しているものの、それでも、受け入れがたい気持ちが生まれてきてしまうのは、どうすることもできない問題だった。
 自分には陽道だけがいればいいけど、陽道にとってはそうではない。
 そんな状況が、とても辛い。
 言ってしまえれば楽になるだろうけど、言えばきっと、今の関係性が少なからず変わってしまう。
 そう思えば思う程に、俊樹はこの気持ちを表に出さないよう、気を付ける必要があった。
「俊樹はいいやつだって、もっといろんな人に知ってもらいたいけどな、俺は」
 だというのに、陽道は平然と、こんなことを言う。
 彼の言葉が、本心から幸せを願って出されていることも、俊樹は分かっている。
 分かっているからこそ、もどかしく、苦しかった。
 もう10年以上の付き合いになるというのに、肝心なところでばかり、陽道はいつも、こちらの幸せを願って、間違った言葉を吐き、間違った選択ばかりをする。
 ……それでも、俊樹は幸せだった。
「あはは、まあ、その転校生の人とは、もしかしたら気が合うかもしれないから、その時は頑張るよ」
 陽道が自分のことを想って、考えてくれることが、何より嬉しかった。
 もちろん、本人には決して、伝えられやしないのだが。