大学生の時分に今となっては練習艦になっている護衛艦はたかぜに乗った。私はもともと大型船舶が好きだ。が、実際に海運業者で働いて、あまりの口の悪さに嫌気がさした。危険が伴うので語気が荒くなるのは仕方ないが、私には我慢ならなかった。そんなことはどうでもよい。はたかぜに乗ったのは学部4回生のころ、兵庫かどっかの港で乗船し見学した。見学できるスポットは限られていて、ブリッジは見学したか覚えていない。やたら狭い通路を降りた気がする。見学者は多かったのでデッキに集められて主砲の発射を見た。砲台がクルクル回っていて少し感動した。2士の自衛官がずっと立っていたのを覚えている。それ以外は何も覚えていない。随分と昔のことを思い出して『暗夜行路』を書いた志賀直哉の記憶力に改めて敬服させられる。私は20年前のことはほぼ覚えていない。尾道水道はわからない。が、少なくとも境水道は大型船舶が通ると周囲の民家は少し揺れる。蛍光灯のカバーが若干ゆらゆらしている。



