Counterfeit Hearts

~プロローグ~

「おーい、そろそろ行くぞー」
黒髪の青年が、ソファにだらりと座っている金髪の青年に声をかけた。
 金髪がゆっくりと身体を起こす。
「今日の依頼は?」
「呪物の処理」
金髪の問いに、黒髪はバックパックの中にいろいろなものを詰め込みながら答える。
 金髪は立ち上がると、黒髪が準備しているバックパックに横から机にあった小さいボトルを追加した。
「呪物って特級?指みたいな形だったら食べちゃう?」
「…漫画の読み過ぎ。だいたい、食べられないでしょ俺ら」
はぁ…と溜息をついた黒髪がバックパックのファスナーを閉めた。
「もぉ仕事前の緊張ほぐそうとしただけなのにー息抜き大事よー」
「…お前は息抜きの間に仕事してるだろ」
溜息をつく黒髪の手から金髪が、自然な動きでバックパックをとると、肩に下げた。
「ねぇねぇ、あの最強先生と俺とどっちがかっこいい?」
部屋を出て肩を並べて歩きながら金髪が、こつんと肩を黒髪にぶつけた。
「…そりゃ、先生だろ」
スマホを見ながら、黒髪が答えると、
「ひどいっ浮気だっ」
と、金髪が大げさに騒いで、黒髪の腕を掴んで振り回す。
「あのね、漫画の中の人と比べてどうすんだよ。つーか、最強だし、イケメンだし、かっけぇだろ」
掴まれた手をぶんっと振り払って、黒髪は足を早める。
「…俺、あの触れないヤツ…絶対習得する」
「絶対無理でしょ」
ジトっと拗ねた口調で言う金髪に、黒髪が怠そうに突っ込む。
「じゃ、じゃあっ使役するヤツ」
「食えないからもっと無理。それより、仕事の話するぞ」
さらに食い下がってくる金髪に黒髪は思わず笑ってしまう。それを見て金髪もふっと微笑んで、
「はーい」
と、素直に返事をする。
「じゃあ」
二人は視線を合わせた。
「「本日も、ご安全にー」」