旧校舎は、
夜になるとほとんど使われていなかった。
電気も半分以上切れている。
湿った空気。
ひび割れた壁。
その地下へ続く階段を、
黒崎レイは無言で降りていく。
コツ。
コツ。
コツ。
靴音だけが響く。
スマホ画面には、
位置共有アプリ。
点が一つ。
地下最奥。
「趣味悪……」
小さく呟く。
すると。
奥から笑い声が聞こえた。
男の声。
複数。
「だからさー、お前黙ってれば済む話だったんだって」
「マジで空気読めよ」
「泣くなって」
レイの目が冷える。
地下通路を抜ける。
古い視聴覚室。
扉が少し開いていた。
中を覗く。
白石ゆあがいた。
床に座り込んでいる。
髪は乱れ、
顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
そして。
桐谷蓮。
その後ろに、
取り巻きの男子二人。
机の上にはスマホ。
録画中。
「ほら」
桐谷が笑う。
「自分で言えよ。“私が悪かったです”って」
ゆあが震えながら首を振る。
「や……」
「は?」
桐谷の声が低くなる。
「じゃあ動画出すけど」
ゆあの顔が青ざめる。
男子たちが笑った。
「終わるねー人生」
「家族にもバレるかも」
「また死にたくなる?」
その瞬間。
バンッ!!
扉が勢いよく開いた。
全員が振り向く。
黒いパーカー。
無表情。
黒崎レイ。
「……は?」
桐谷が眉をひそめる。
レイは室内を見回した。
泣いている少女。
録画スマホ。
笑っている男子。
数秒。
そして。
「あー」
レイは小さく頷いた。
「思ったよりクズだった」
空気が凍る。
「お前……」
桐谷が立ち上がる。
「なんでここ……」
「GPS」
「は?」
「君のスマホ、
セキュリティ弱すぎ」
桐谷の顔が引きつる。
「あと」
レイは机のスマホを見た。
「脅迫動画撮影とか、
証拠残すタイプなんだ」
男子の一人が叫ぶ。
「うるせぇ!!」
勢いよく近づいてくる。
だがレイは避けない。
むしろ。
ニヤ、と笑った。
次の瞬間。
男子のスマホが鳴る。
ピコン。
男子が反射的に画面を見る。
そこには。
【お母さん】
メッセージ。
『今学校から電話きたけど、どういうこと?』
男子の顔色が変わる。
「……は?」
もう一人のスマホも鳴る。
【父】
『警察って何だ』
「……ッ!?」
桐谷がレイを見る。
レイは静かに言った。
「君たちの保護者と学校、
あと教育委員会」
一拍。
「全部にデータ送っといた」
沈黙。
男子たちの顔から血の気が引く。
「う、そ……」
「ちなみに」
レイはスマホを軽く振る。
「今この部屋、
配信中」
全員が凍った。
画面。
ライブ配信。
【視聴者数 48,211人】
コメント欄。
『えぐ』
『リアル犯罪じゃん』
『警察呼べ』
『女子泣いてるんだけど』
『胸糞すぎる』
「……ッ!!」
桐谷がスマホを奪おうとする。
だがレイは一歩下がった。
「無理だよ」
「配信止めろ!!」
「嫌」
「ふざけんな!!」
桐谷が怒鳴る。
その瞬間。
レイの目から、
完全に笑みが消えた。
「ふざけてるのは君たち」
静かな声。
でも。
恐ろしいほど冷たい。
「女の子壊して、
動画で脅して」
一歩。
「泣いてるの見て笑って」
また一歩。
「で、自分が晒された瞬間だけ被害者面?」
桐谷が後ずさる。
初めて。
彼は“恐怖”を感じていた。
レイは止まらない。
「ねえ」
配信カメラを向ける。
「今どんな気分?」
コメント欄が爆速で流れる。
『逃げんな』
『謝れ』
『クズすぎ』
『配信切るな』
桐谷の呼吸が乱れる。
「……っ」
「君たちさ」
レイは笑った。
でも目だけは冷たい。
「壊していい人間、
選べる立場だと思ってた?」
夜になるとほとんど使われていなかった。
電気も半分以上切れている。
湿った空気。
ひび割れた壁。
その地下へ続く階段を、
黒崎レイは無言で降りていく。
コツ。
コツ。
コツ。
靴音だけが響く。
スマホ画面には、
位置共有アプリ。
点が一つ。
地下最奥。
「趣味悪……」
小さく呟く。
すると。
奥から笑い声が聞こえた。
男の声。
複数。
「だからさー、お前黙ってれば済む話だったんだって」
「マジで空気読めよ」
「泣くなって」
レイの目が冷える。
地下通路を抜ける。
古い視聴覚室。
扉が少し開いていた。
中を覗く。
白石ゆあがいた。
床に座り込んでいる。
髪は乱れ、
顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
そして。
桐谷蓮。
その後ろに、
取り巻きの男子二人。
机の上にはスマホ。
録画中。
「ほら」
桐谷が笑う。
「自分で言えよ。“私が悪かったです”って」
ゆあが震えながら首を振る。
「や……」
「は?」
桐谷の声が低くなる。
「じゃあ動画出すけど」
ゆあの顔が青ざめる。
男子たちが笑った。
「終わるねー人生」
「家族にもバレるかも」
「また死にたくなる?」
その瞬間。
バンッ!!
扉が勢いよく開いた。
全員が振り向く。
黒いパーカー。
無表情。
黒崎レイ。
「……は?」
桐谷が眉をひそめる。
レイは室内を見回した。
泣いている少女。
録画スマホ。
笑っている男子。
数秒。
そして。
「あー」
レイは小さく頷いた。
「思ったよりクズだった」
空気が凍る。
「お前……」
桐谷が立ち上がる。
「なんでここ……」
「GPS」
「は?」
「君のスマホ、
セキュリティ弱すぎ」
桐谷の顔が引きつる。
「あと」
レイは机のスマホを見た。
「脅迫動画撮影とか、
証拠残すタイプなんだ」
男子の一人が叫ぶ。
「うるせぇ!!」
勢いよく近づいてくる。
だがレイは避けない。
むしろ。
ニヤ、と笑った。
次の瞬間。
男子のスマホが鳴る。
ピコン。
男子が反射的に画面を見る。
そこには。
【お母さん】
メッセージ。
『今学校から電話きたけど、どういうこと?』
男子の顔色が変わる。
「……は?」
もう一人のスマホも鳴る。
【父】
『警察って何だ』
「……ッ!?」
桐谷がレイを見る。
レイは静かに言った。
「君たちの保護者と学校、
あと教育委員会」
一拍。
「全部にデータ送っといた」
沈黙。
男子たちの顔から血の気が引く。
「う、そ……」
「ちなみに」
レイはスマホを軽く振る。
「今この部屋、
配信中」
全員が凍った。
画面。
ライブ配信。
【視聴者数 48,211人】
コメント欄。
『えぐ』
『リアル犯罪じゃん』
『警察呼べ』
『女子泣いてるんだけど』
『胸糞すぎる』
「……ッ!!」
桐谷がスマホを奪おうとする。
だがレイは一歩下がった。
「無理だよ」
「配信止めろ!!」
「嫌」
「ふざけんな!!」
桐谷が怒鳴る。
その瞬間。
レイの目から、
完全に笑みが消えた。
「ふざけてるのは君たち」
静かな声。
でも。
恐ろしいほど冷たい。
「女の子壊して、
動画で脅して」
一歩。
「泣いてるの見て笑って」
また一歩。
「で、自分が晒された瞬間だけ被害者面?」
桐谷が後ずさる。
初めて。
彼は“恐怖”を感じていた。
レイは止まらない。
「ねえ」
配信カメラを向ける。
「今どんな気分?」
コメント欄が爆速で流れる。
『逃げんな』
『謝れ』
『クズすぎ』
『配信切るな』
桐谷の呼吸が乱れる。
「……っ」
「君たちさ」
レイは笑った。
でも目だけは冷たい。
「壊していい人間、
選べる立場だと思ってた?」



